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会議に突如現れるガラスのカベ問題

SPECIAL

マインドポジション経営コンサルタント

株式会社アトリオン

代表取締役 

マインドポジション経営コンサルタント。社員と顧客の心に占める貴社の位置づけ―「マインドポジション」をアップし、業績向上を目指す仕組み構築のスペシャリスト。30年にわたる中小企業のブランディングと組織開発の経験を背景に、マインドポジション経営実践プログラムをオリジナル開発。時代に合わせて組織を刷新したい経営者や、2代目、3代目社長、社員の力を引き出して社内の体制を再構築したい経営者に高く評価されている。新しい切り口に基づく事業の見直しと組織の再開発を通して業績の2ケタ成長を実現するなど、持続可能な企業の成長に向けた力強い支援に定評。株式会社マインドポジション経営研究所代表取締役

ある会社の会議に参加させていただく機会がありました。年齢性別問わず主だった社員が集まって、新しい事業についてのアイデアを出そうという主旨です。

「どんなアイデアでもよいので出せ」と言われて、最初に口火を切ったのは元気のいい中堅。元気よく当たり障りのないことを言っています。次も社歴が長い男性、話す言葉は多いですが、内容はあまり変わり映えしません。

次に順番が回ってきたのが入社3年目くらいの若手。自信なさげではありますが、若者らしい面白いことを言います。賛同の声が上がる一方で、向こうの方から「それはもうやったけど、ダメだった」という太い声が飛んできます。

会社のなかでよくあるパターンです。経験も知識もない人ほど、羽目を外したことを言い、それが意外に的を射ていることがあります。でも、経験のある人ほど受け入れられない。

受け入れられない理由は二つありそうです。一つは、本当に過去にやってみてダメだったという実績がある。もう一つは、そのアイデアが組織のルールの根底を脅かす恐れがある。どちらの理由の場合も、論理的な判断を超えて、聞く側から感情的な反応を引き起こしているように見えます。

否定された側から見ると、それは突如現れたガラスのカベです。意見を出せと言われたから、つたないながらも意見を出した。理由もわからず否定された。否定された根拠がさっぱりわからない。何もないように見えるのに、確かにある超えられないカベ。このカベが無力感を生み出します。

こんな状況にならないように、場のルールをつくっておくということが大切です。場のルールを作っておくとは、発言しやすい雰囲気をつくるということです。ブレストやワークショップの時のグランドルールのようなものを、会議の場でも用意しておきます。

という話を先日、別のところでしたら、「グランドルールを作っても、グランドルール自体を理解してくれない」と悲しげに言われる方がおられました。心中、お察しします。繰り返し伝え、ルールが破られた時点で柔らかく指摘するしかありません。

会議の最中に場をコントロールする役割の人を置いておくことも大切です。参加者が余計なことに気をつかわずに会議のテーマに集中できるようにサポートするということです。

たとえば「それはもうやったけどダメだった」という声が遠くから飛んできたら、ルールに照らしてやめていただくという役割です。また、おかしな発言で参加者が混乱しているようなら、その発言の意図や背景を掘り下げ、全員が理解できるように言葉を補足するという役割。少し前に会議のファシリテータという役割が注目されましたが、あれです。

「働き方改革」がスタートしてから、改めて業務を見直し、効率的な働き方に変えていこうという動きが出てきました。日本のホワイトカラーの生産性は、先進国中最下位と言われるほどですから、よほど不要な仕事で時間を使っています。そういえば、報告事項だけの会議はやめようという声もたくさん聞きました。

前例を踏襲するのはリスクを避ける良い方法ですが、今までになかった新しい発想で未来を輝かせる事業をしたいなら、前例のなかにある盲点を見つけ出すことも大切です。違う角度から光を当てて、浮かび上がらせると、そこが突破口になる可能性があります。

社内の人間だけでは見つからない盲点が、部外者から見ると、「ここだよ」と手を振っているのがわかります。ぜひ一緒に考えましょう。

 

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