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社長が事業承継の前に考えるべきこと

鈴木純二
SPECIAL

顧客接点強化による成長型IT導入コンサルタント

ベルケンシステムズ株式会社

代表取締役 

顧客接点の強化を軸に、業績に直結するIT導入を指導するスペシャリスト。世に無駄なIT投資が横行するのと一線を画し、顧客の利便性向上、新規取引先、深耕開拓、利用促進…などを主眼に置いた、実益のIT活用と投資戦略を、各会社ごとに組み立てることで定評。

鈴木純二

「鈴木さん、おかげさまでようやく自信を持って息子に事業承継できるようになりました。」という言葉をいくつかのお客様先で社長から頂いています。当社は成長直結型IT導入法を指導させて頂いているコンサルタント業ですが、それとあまり関係無いと思われる「事業承継」というキーワードで一定の評価を頂いているということになります。なぜ、IT導入法のコンサルティングが事業承継に役立つのか…。今回のコラムはITとは一見かけ離れている話題についてお話したいと思います。

事業承継については、正直なところ当社は専門家ではありませんし、それを売りとしてコンサルティングをしている訳ではないので、事業承継にまつわるお金のこと、顧客のこと、税金のこと、組織人事のこと、法制度のこと、そして何よりも誰に事業承継してもらうのか・・・等多方面にわたるサポートなどはできるはずもありません。ただ、これらの各種ハードルは必要条件であって充分条件では無い、つまりこれらのハードルを越えられたとしても、事業承継がスムーズに進むわけではありません。その最たることが・・・

 属人化があちこちで進んでしまっている社内業務の可視化

 それを整理し、承継先へ説明可能とすること

です。会社の規模にかかわらず、長年事業活動している組織の中で、業務のやりかたやその作業分担は日々刻々と変化し続けます。このコラムでも何回か話題に取り上げていることですが、取引先が新しく追加されれば、その相手先に合わせた帳票使用が必要になることもありますし、ものづくり系の会社であれば製造プロセスが変われば人の事務仕事も変わります。お客様からのなんらかのクレームや要望があれば、それに対応するために社内の仕事の仕方も変わります。

そんなとき、得てして複雑で細かい作業を特定の人が引き受けてしまい、それがどんどん進化することによって、いつのまにかその人の仕事として属人化してしまうことも頻発します。仕事が属人化するだけであればたいした問題ではないのですが、「その担当者にやっていることを聞いても良くわからない。何しろ細かすぎて理解しがたい。他の人に交代させることができない。」といった、業務の可視化が不能、ということも発生します。ここに至ると、それをなんとか可視化しようとすることは非常に難しい状態になります。

そして、社長が事業承継を考える時、これが大きな障壁として目の前に立ちはだかります。何しろ承継先の人に対して、自社の業務効率を客観的に説明できないわけですから・・・。承継先が例え親族であったとしても、社長の脳裏には「息子に業務がこんがらがった状態の会社を引き継ぐのは忍びない」と浮かぶことでしょう。実際、当社のお客様の中で幾人かの社長が「自分はゼロからこの会社を作ったから、感覚的に社内の負担感とか空気が解る。しかし、それを説明できないまままま息子に会社を渡すことなどできない。」と仰っていました。

更に、例え説明可能な状態に業務可視化できたとしても、その業務効率が目に見えて悪い状態であれば、改善してから承継しなければ済まなくなるのは自明の理です。その方法としては、やめるべきことをやめる、無駄なことは省く、複数人で分担できるようにするなどといった人的・組織的な業務改革となりますが、その最終的な手段としてシステム導入も選択肢に入ります。逆に言うと、ここまで至らないとシステム化はできないものなのです。

当社でシステム導入方針を策定されたお客様の内、事業承継を考えられていた社長からの一言「おかげでようやく自信を持って息子に事業承継できるようになりました」とは、このような業務可視化とヒトによる業務の改善、そして最後に最低限のシステムを導入することではじめて実現できる姿なのです。

事業承継を考える社長が整理しなければならないことは多岐に渡り、お一人ではそれをこなすことは難しいかもしれません。でも、法的な要件、お金の話の整理などができた後に、「ヒトに渡すには業務が汚すぎる」という状態に気がついてもそれでは手遅れです。これらを解決するためには、どうしても一定程度の時間がかかる活動が必要ですので、できることから今のうちに着手し、来るべき時に備えておくのも事業承継をスムーズに実行するための一つの条件なのです。

 

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