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ビジネスモデルが時代遅れだと株式時価総額が半分に!?

SPECIAL

銀行活用で新規開拓コンサルタント

株式会社結コンサルティング

代表取締役 

銀行活用で新規開拓の仕組みづくりを行うスペシャリスト。31年間の銀行員経験で、法人4,000社以上を担当、審査部担当者としての企業審査は1,000社超の実績を誇る金融のプロフェショナル。
売上が倍増した雑貨メーカー、バックメーカー、新事業を立ち上げた化粧品メーカー、更には海外進出に成功した事例など、累計で100社以上の会社を成功に導いた実績を持つ。

「親父から引き継いで8年が経過しましたが、これまでと同様の経営・事業内容で問題なく売上を計上し、このような環境でも何とか利益を確保できています。ただし、個人的には時代のニーズに対応していかないと大変なことになりそうな気がして落ち着かないのですが・・・
どうすれば、この落ち着かない、地に足がつかないような不安感を解消できますか?」──精密機械製造業の二代目経営者の方からのご相談です。

他企業の先代経営者から見たら「羨ましい・・・」とため息が出るほど、強い向上心をお持ちの二代目経営者ならではご相談です。通常、これまでと同様の経営・事業内容で問題なく売上を計上できて、利益も確保されているのであれば、現状維持できればいい、と「思考停止」に陥る経営者が多い(二代目に限らず)のですが・・・

まさに経営者になるべくして生まれてきた二代目経営者だと思います。肌感覚で「ビジネスモデルが時代遅れ」になることが危険であることを感じ、その感覚を払拭するための術を求めている。ただし、本人が肌感覚で感じているだけなので、社内で相談したとしても「この環境下でも、利益が出ているからいいじゃないですか!」と相手にされない・・・

経営者にしかわからない、自問自答を繰り返した上でのご相談であったためか、非常に真剣な眼差しで見つめられましたので、こちらも真剣に考え「第三者に認めて(=評価して)もらえる状況をつくりましょう。」とお伝えさせていただきました。

ここでいう第三者とは、利害関係者(=ステークホルダー)の中でも金銭的な関係がメインとなる金融機関、株主(上場企業の場合)をイメージしています。ステークホルダーは企業活動によって影響を受けるすべての相手に対して使う言葉であり、第三者の範囲をどこまでにするのかは経営者の判断次第。」となります。

未上場企業であれば、金銭的な関係がメインとなるのは金融機関だけで、株主は同族・親戚・知人関連が一般的なため相続などが発生しない限り変動はありません。このため、金融機関に認めて(=評価して)もらえる状況にします。

未上場企業の場合、金融機関の評価(=格付)はズバリ融資条件に反映されます。
融資時の、融資金額・適用金利・担保&保証条件・融資期間etc・・・全てにおいて、金融機関の評価(=格付)により決定されますので、この評価さえ上げればこれまでとは違うより良い条件での融資が可能となります。

金融機関の評価を上げるためには、会社の業績を上げなければなりません。
まずは、「貸借対照表」の純資産の部で「純資産合計」が、毎年着実に増えているか、その増減はどのように推移しているかを最低3期分はチェックしましょう。

「純資産合計」がマイナスだと、債務超過になりますので新規融資は原則不可となります。
また、プラスであったとしても、資産の部の「売掛金」「有価証券」「商品及び製品」「有形固定資産」「投資その他の資産」などで、計上している金額よりも実際の価値の方が低い場合には、その差額分を「純資産合計」から差し引く必要がありますので、ご留意ください。

次に、「損益計算書」の「売上高」「営業利益」「経常利益」を3期分チェックしてください。
「売上高」が、毎年着実に増えているか、その増減はどのように推移しているか。
「営業利益」「経常利益」はともにプラスか、その増減はどのように推移しているか。
「営業利益」「経常利益」がともにプラスでなければ、利益を稼ぎ出すことができないことになりますので、「融資をしても、返済してもらえない可能性がある」と金融機関に認識されてしまいます。

金融機関から見る場合には、「純資産合計」→「売上高」→「営業利益」→「経常利益」となりますが、実際のお金の流れは、「売上高」→「営業利益」→「経常利益」→「純資産合計」→「税引き後当期利益」→「純資産合計の増加」となりますので、経営者は如何にして稼ぐかが使命なのです。

ざっくりと把握していただくためにも、常に下記算式で各商品毎に利益を計算する癖をつけてください。そして、如何にして販売単価・販売個数・利益率・営業外収益を上げ、営業外費用を下げるかを日々妄想してください。
・販売単価(↑)×販売個数(↑)×利益率(↑)=営業利益(↑)(本業で得た利益)
・営業利益(↑)+営業外収益(↑)−営業外費用(↓)=経常利益(↑)(企業活動全体で得た利益)

経営者であるあなたが計算する癖をつけて、日々その実現に向けて妄想できるようになったら、今度は従業員の方々にも同様の思考パターンを教え込んでください。その際には、給与体系もきちんと反映させないと実効性がありませんので、緻密にご対応ください。

これらの活動の成果として、金融機関の融資条件が改善された場合には、間違いなく評価が上がっています。できれば、無担保でコミットメントラインの融資枠を確保しておきたいですね。

そして、VC(ベンチャーキャピタル)から出資の申し出がくるようになれば、間違いなく成長性を評価されていますので、ニッコリ微笑んで、出資の申し出をお断りください。
気持ちよく申し出を受けたりすると、金融機関やVC(ベンチャーキャピタル)の経営方針に従わされて、無理やり上場させられてしまいますので、ご用心を。

一方で、上場企業であれば、金融機関による評価は当然ながら、株式市場で日々売買されますので、株式市場というマーケットでも必然的に第三者に日々の株価として、認めて(=評価して)もらえます。

ただし、日々売買の対象となりますので、業績が不芳などの理由で株価が低迷している時には競合相手や買収ファンドからTOB(株式公開買い付け)をかけられることもあります。

直近事例では、SBIホールディングスによる新生銀行のTOB(株式公開買い付け)が成立し、経営陣が交代予定となりました。新生銀行の株価純資産倍率(以下PBRという:株価を1株あたり純資産(BPS)で除して算出)は0.4倍台と低迷しています。

PBRは1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表していますので、PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。一般的な目安として、PBRが1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。

2022年1月24日終値での新生銀行のPBRは0.47倍であり、仮に投資段階で会社が解散した場合、投資額の2倍以上のお金が戻ってくる計算になります(理論上の話であり、会社が解散した場合に本当に還元されるかどうかはわかりません・・・)

ちなみに、3メガバンクも全て0.4倍台で、三菱UFJフィナンシャル・グループが0.49倍、三井住友フィナンシャルグループが0.46倍、みずほフィナンシャルグループが0.42倍と低迷しています。語弊を恐れずに言うと、銀行業という「ビジネスモデルが完全に時代遅れ」でマーケットから見放されたということです。

海外ではマーケットから見放された銘柄は、再編の対象となるか、アクティビスト(もの言う株主)などにより新陳代謝させられます。しかし、主要株主認可が必要な日本の金融機関の経営は事実上、当局の監督下にあるために、再編の対象となることや、アクティビストなどから要求を突きつけられることもなく、「ビジネスモデルが完全に時代遅れ」であるがために低PBRでも放置される状況が続いてきました。今回の新生銀行に対するTBOがこれまでの状況を変える契機になれば、銀行のビジネスモデルももっと劇的に変化すると期待したい。

弊社としては、(たとえ株式公開できる実力があったとしても)経営者の裁量で全て決めることができる未上場企業をおすすめしますが、株式公開のメリット・デメリットを理解した上での株式公開は、経営者の方のご判断でご自由にとお伝えしています。

あなたは、自社の「ビジネスモデルが時代遅れ」にならないように、第三者に認めて(=評価して)もらえる状況をつくる覚悟はお持ちですか?

 

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