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なぜ社員に商品企画を任せると儲からないのか?

SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所

代表取締役 

経営革新コンサルタント。イレギュラー対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特別ビジネス」をつくりあげる専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

新しい商品・サービスを企画する。これは企業が成長をし続ける上で非常に大事なことです。いくらいい商品やサービスを提供していても、それが特許で守られていない限りはいつかは競合に真似されますし、顧客もそのうち飽きてしまいます。

もちろん、ずっと売れ続ける超定番商品というのも世の中には多数存在します。たとえば日清のカップヌードルなんかはいい例です。一体何世代が食べ続けるのでしょう(笑)。

しかし、実はその日清も、定番を売り続けるために敢えていろんな味の新作を世に出しています。あまり知られていませんが、レギュラー、カレー、シーフードという3定番のほかにこれまでに70種類もの味がリリースされているそうです。

「そんなの売れてるの?」と思われるかもしれませんが、顧客が新しい味を試してみては「うーん、やっぱり普通のがいいなあ」と思って定番品に帰ってきてくれるというわけです。他社品に浮気されないためにも、新商品は出し続ける必要があるのですね。

これはもちろんBtoCの消費者向け商品に限った話ではありません。法人向けの商品・サービスでも同じことです。世の中は常に移り変わります。「うちの業界は関係ない」と胡坐をかいて痛い目を見た企業が痛い目にあった例は山ほどあります。

顧客に飽きられたり、あるいは競合に真似されたりする前に、常に一定のサイクルで新しい商品を立ち上げる仕組みを持つ必要があります。仕組みを持つというところがポイントで、そうでないとたまに思いつきで新しいものが出たり出なかったり…ということになってしまい、継続的な事業成長につながりません。

新商品開発を年間スケジュールに必ず組み込み、かつ開発のプロセスも標準化しておくことが継続的な事業成長には必須となります。そうでないと人は易きに流される生き物ですから、必ず「まあそのうち…」ということになってしまいます。

そしてもうひとつ、新商品開発を進める上で非常に大事なことがあります。これは強調しすぎてもしきれないぐらい大切な考え方となります。それは「新商品開発は社長主導でおこなう」ということです。こればっかりは社員に任せてはおけないのです。

なぜ社員が商品開発を主導してはいけないのか? その理由を一言でいうと、「無難な商品ができあがるから」です。

無難な商品というのは、これまでの既定路線を踏襲するようなものです。いままで扱ってきたものと基本的には大きく変わらないもの、あるいは自社ではこれまで持っていなかったけれど同業他社は持っているもの、そういった「よくある商品・サービス」を抜け出ないものになる可能性が極めて高いのです。

こうなる要員はいくつかありますが、一番はやはり社員はリスク回避の観点から「売上が確実に見込まれるもの」を出したくなるということです。

基本的に社員の方はこれまで経営者からずっと「量を売ること」「数をさばくこと」を求められてきたことでしょう。ですから、「売れるか売れないかよくわからないもの」とか「売れたとしても超ニッチで数が見込めないもの」なんていうのは怖くて提案できません。野球でいえば「全打席ホームラン狙い」ではなくシングルヒットを確実に取りにいく発想にどうしてもなるということです。

そして、そのような「数が見込まれる商品」は必ず低価格となります。もう出した瞬間から儲からないようなものが出来上がります。これは当然で、「よくありそうな無難なもの」が高価格をつけられるはずがありません。

日本の大手電機メーカーがやってきたことはまさにこれです。サラリーマンの商品開発担当者によって「新商品(来年のモデル)を出すこと」自体を目的に開発された製品は、旧モデルと何が違うのか消費者にはさっぱりわからないようなものばかりです。そして、経営トップ自ら商品開発を主導する海外勢(ダイソン、iRobot、Apple…)らにコンセプトがガラッと違う商品を出されて「はい、終わり」となりました。

結論、中小企業が「無難で安い商品」を出してはいけないのです。そして、普段から無難で安い商品ばかり買い求めている人たちが、消費者としての自分の感覚で商品開発をやったのでは、絶対に儲かる商売はできません。だから経営者主導で商品開発を進める必要があるのです。

では無難な既定路線ではない、これまでと違うユニークな切り口の商品やサービスを考えるにはどうすればいいのか? その方法論としてはさまざまありますが、非常にわかりやすく実践的な方法をひとつご紹介します。

それは「従来の価格の10倍の価格をつけられる商品やサービスを考えてみる」というものです。

たとえば散髪屋でしたら平均単価はせいぜい4千円ほどでしょう。でしたら4万円のサービスを考えてみるのです。1回4万円です。もはや髪を切っているだけでは無理でしょう。美人社員と店外デートでもさせないと無理かもしれません(笑)。

しかし、店外デートはさすがに難しくても、その発想でたとえばカットのあとにスタイリストの資格をもっている店員と新しい髪型に似合う洋服を買いにいく全身コーディネートサービスでしたら、やりようによっては数万円はいけるのではないでしょうか。

これはほんの例ですが、世の中の多くのビジネスが高価格帯の商品を用意していないばかりにビジネスの機会を逃していると私は感じています。

先日も大先輩のコンサルタントの方が奥様にエステのプレゼントをしようと思ってホテルを何軒も回ってみられたらしいのですが、「どこも高いのがない!」とご立腹でした。

どこのホテルへいってもせいぜい3万円のものしかなかったそうですが、その方は10万円のギフトを探されていたとのことで、「話にならない!」ということでした。

在庫がいらないエステサービスなのですから、10万円のコースをつくるだけつくっておいても何のマイナスもないはずなのですが、消費者として1〜3万円のコースしか想像できない人がやっているとこうなってしまうのです。

経営者はぜひ普段から世の中の「高い商品やサービス」に触れてください。自分で経験しないとわからない世界があります。エコノミーに座っていてはファーストクラスの価値は決して理解できません。世の中の高級なサービスがどんなニーズに応えているのか。そこを盗み、ぜひ自社の商品開発に生かしてください。

当社はこれからも、易きに流されることなく自社独自の視点でユニークな商品・サービスを生み出す企業を応援し続けます。中小企業において高価格は「正義」です。大胆に、そして楽しんで、自社の色を出していきましょう。

 

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