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バズワードにごまかされるな!「DX」と企業の関係性

鈴木純二
SPECIAL

顧客接点強化による成長型IT導入コンサルタント

ベルケンシステムズ株式会社

代表取締役 

顧客接点の強化を軸に、業績に直結するIT導入を指導するスペシャリスト。世に無駄なIT投資が横行するのと一線を画し、顧客の利便性向上、新規取引先、深耕開拓、利用促進…などを主眼に置いた、実益のIT活用と投資戦略を、各会社ごとに組み立てることで定評。

鈴木純二

IT業界はバズワードだらけ。一つのバズワードが流行し、すたれてくるとまた新しいものが作られる…。もう何十年もそれを繰り返してきました。日本で最初にIT関係ではやったバズワードは、私の経験の中では80年代の「ニューメディア」です。まだ電電公社が存在していた時に高速通信網INSの構想の中で作られたものだと思います。

そして、現在は言わずと知れた「DX」。Digital Transformationの略ですが、Transformationには適切な日本語の単語が存在していないので、ぼんやりした解釈になってしまいます。一般的には「デジタル改革」と言えば良いでしょうか。

この「ぼんやりとした解釈になる」ことによって、さまざまな変なことが日本で起きています。

曰く「DXツールを導入して業務を改善しましょう」とか、「様々なDXツールがある中で・・・」といった具合に、DXをツールに変換して説明する動きです。

DX=Digital Transformationなので、ツールでもなんでもありません。DXはあくまでも考え方の名前です。しかし、「当社もDXを進めないとかっこ悪い」と思う社長が一定数いるためか、手っ取り早く「DXツール」なるものを購入して取り繕う動きがあることも事実です。はっきりと断言できますが、そのような動機で何かを導入したとすれば、それは必ず失敗か効果不足に陥ります。

同様にして、業務プロセスの可視化を省いたり部分的にしか実施しない状態で、「DXツール」を導入して何かの改善をしようとしても、失敗か効果不足に陥ります。可視化コンサルティングを生業にしている業者も世の中に居ますが、中には「一日や二日程度のヒアリングで可視化する」といったサービスを展開している人がいます。この程度の浅い可視化では、本質的な突っ込みはできませんし、改革レベルでの議論もできませんので、それをベースに「DXツール」を導入しても成功するはずがないのです。

そもそもDXは

業務プロセスの改善のために導入する考え方ではなく、ビジネスのやりかたそのものをデジタルのチカラで改革するもの

です。業務プロセスの改善は改革とは呼びませんしDXとも呼びません。社内のプロセスがデジタル化され、商品やサービスがデジタルを使ってビジネスと直結することで初めてDX化が進んだ、と呼びます。

このあたりの考え方がわかりにくいため、ほうぼうで誤解に基づくツールの導入や、そのニーズに対応するための拡販活動が行われてしまっていて、私としては忸怩たる思いです。

DXを語るときには、ぜひ本質的な「考え方」や「ビジネス改革」の議論をしていただきたいと思います。

 

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