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「和える」チームづくりとは

SPECIAL

親子経営コンサルタント

ビジネス・イノベーション・サービス株式会社

代表取締役 

オーナー社長と後継者のための、「親子経営」を指導するコンサルタント。みずから100億円企業を築くも、同族企業ならではの難しさや舵取りの大変さで苦しんだ実体験を指導。親から子へ失敗しない経営継承の極意として「親子経営」を伝授する。

日本語は本当に奥が深く興味深く面白い。「和える」あえるという言葉がある。和食で和え物というのがある。会席料理などで必ずなにかの和え物が一品添えられている。私は和え物というとイカとわけぎのからし酢味噌和えがなによりの好物だ。和食の和え物は素材と素材をただ和えただけの料理だ。

同じような言葉に混ぜるというのがある。調べてみると混ぜるというのはいくつかの違った素材を混ぜ合わせひとつの別物をつくることだという。例えば白と黒の絵の具を混ぜると灰色になるということだ。和えると違い混ぜるは元々の素材を混じり合わせ姿かたちを違ったものに変えるということになる。

なにの話をしようとしているのかというと、「チーム」として仕事をする場合のマネジメントのあり方について考えたいと思っている。今朝近くに住む不動産エージェントをしている次女が相談したいことがあるとやってきた。これまでにも何度か書いてきたが、次女は現在5人のメンバーとチームとして仕事をしている。

メンバー5人はそれぞれ個人事業主か自分で会社を持っている。4人が女性で1人が男性だ。それぞれスキルに差があり得手不得手が明らかに違っている。よって個別に違った条件での業務契約になっている。次女が今朝来たのはそれぞれの業務契約条件の見直しについての相談だった。

そのような経過があって次女が帰った後、チームで仕事をすることの面白さや大変さに想いを馳せていたということだ。そんななかでふと思い浮かんだ言葉が「和える」だった。最近特に日本古来の言葉、大和言葉ともいわれるが日本語独特な言葉に興味を持っている。

話は変わるがスポーツの世界において日本はチーム競技いわゆる団体競技が特に強いようだ。以前は男女ともバレーボールが強かった。最近ではサッカーが男女ともまた強くなっている。その他、野球は言うに及ばずラグビーまでもが強くなりつつある。これら日本の団体競技のチームにおいても「和える」という言葉がひとつのキーワードとなるのではと思っている。

「和える」という言葉を団体競技のチームマネジメントで表現すると、チームのひとりひとりのメンバーの個性やスキルを活かしチーム力を上げることだといえる。一方で「混ぜる」という言葉で表現すると、メンバーひとりひとりの個性、スキルよりもチーム力を上げるため混じり合いこそが大切で重要なことになる。

もう少し具体的にいうと、東京オリンピックのころの日本女子バレーボールチームのあり方が「混ぜる」というイメージになる。大松監督という強烈なリーダーシップをとる監督のもと非常に厳しい練習に耐え世界一になった。スポーツ界においてしごきが当然とされたあの時代はチーム力を上げるために「混ぜる」ことが常識だったのかもしれない。

一方、今の男女サッカー日本代表チームを見ているとどうも「和える」ことでチーム力を上げているのではないかと思われる。メンバーひとりひとりの個性とスキルを尊重して全体としてチーム力を上げていると考えられる。以前の女子バレーチームと今の男女サッカーチームの目標は同じだがチームの在り様が違っているのだと思われる。

それが「和えられた」チームと「混ぜられた」チームの違いだと思う。どちらのチームも強いけれどどこかが違って見える。極端に言うなら「和えられた」チームはメンバーのひとりひとりの顔がクリアに見え、「混ぜられた」チームはメンバーひとりひとりの見分けがつきにくいといったところだろうか。

日本企業も同じようなことが言えそうだ。戦後から高度成長時代を超えバブルが崩壊するまで日本企業の企業マネジメントは一言でいうと「混ぜる」マネジメントであった。売り上げの拡大、成長及び利益の拡大、最大化が目標、目的でありそれらを達成するための組織が必要であった。

製品を作れば作るだけ売れる時代であったので製造現場では作業の平準化、効率化がひたすら求められた。営業現場では体力と行動力が必要とされ実績の積み上げを要求された。社員各個人の個性は無視され飛びぬけたスキルは必要なく平準化、効率化された作業を黙々とこなすことが求められた。

それに対し今の日本企業の多くはいろいろな原因で業績不振に陥っている。なかには当然円安の影響もあり好調な企業もある。少なくとも中小企業の大半は相変わらず業績が悪く苦しんでいる。これまでと同じような企業努力だけではどうしようもないと頭を抱えている経営者が多いのではないだろうか。

今一度、経営者が自社の社員のひとりひとりを見つめ直してみてはいかがだろう。社員各自に個性があり、それぞれに得手不得手があり、さらに他社員にはない独特なスキルが見いだされるかもしれない。まずは自社の社員の力量、資質をよく見極めることから初めてもらいたい。

そのうえでこれまでお話しした「和える」マネジメント、「和える」チーム作りをお勧めしたいと思う。各部署、各事業部などをチームととらえ「和える」チーム作りでチーム力を上げてはどうだろうか。そのためにはまず経営者がチームリーダーとして行動する必要がある。

そのうえで各部署長にチームリーダーとしての役割と責任を持たせる必要がある。「和える」チームのリーダーのあり方は「混ぜる」チームのリーダーのあり方とは多くの点で違うだろう。そのあたりを詳しく以降のブログで考えてみたいと思う。今回は「和える」という言葉がこれからの企業におけるチーム作りのキーワードになるということで終わりたい。

 

 

 

 

 

 

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