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今こそ先人たちの普遍的価値観に触れよう

SPECIAL

親子経営コンサルタント

ビジネス・イノベーション・サービス株式会社

代表取締役 

オーナー社長と後継者のための、「親子経営」を指導するコンサルタント。みずから100億円企業を築くも、同族企業ならではの難しさや舵取りの大変さで苦しんだ実体験を指導。親から子へ失敗しない経営継承の極意として「親子経営」を伝授する。

2018年に私の商業出版2冊目となる『親子経営 中国古典「大学」から学ぶ32の成功法則』(セルバ出版)が出ている。なぜこの本を執筆したのか。それには明確で判然とした理由がある。中国古典『四書』のひとつである『大学』には2000年という長い年月を経ても決して変わることのない価値観に基づく理念があるからだ。

『大学』がその根本理念としているのが「修己治人」である。人の上に立つ前にまず自分自身を修めることが大事だ。自分自身で己を律し己を高めるために修養しなさいと言っている。そうして己の人格に磨きをかけ、人格を高め形成することができて初めて人の上に立つことができるのだと言っている。

なお、人の上に立ってからもそれまで以上に己を律し、己を高め続ける努力をし続けることが求められるのだという。さらに人の上に立つ者には己の身を正すことが必要だという。言い換えれば人の上に立つということはそれほどの者でなければならないし、それほどの覚悟がなければ立ち得ないということだ。

私が『大学』を初めて読んだのはもう10年も前になる。きっかけはある友人がそれまでの人生で1冊の本を500回以上読んだことがある本が4冊あると言ったことだった。感銘を受けた私もこれからの人生で何回も読み返す本を見つけたいと思った。思い至ったのが『論語』だった。

『論語』を読んだとき、どうせならいわゆる四書といわれる『大学』『論語』『孟子』『中庸』を全部何度も読んでみようと考えた。それが私が『大学』を読み続けるきっかけとなった。『大学』を初めて読んだときの驚き、衝撃は大変なものだった。長年経営者として生きてきた私には特にそう思われた。

『大学』の本文はとても短い。原文は勿論漢文だが、読み下し文は20分もあれば読み通せるくらいのものだ。その短い文のなかに人の上に立つ者にとって必要なことすべてが書かれている。いうなら人の上に立つ者のひとりとする経営者にとって学ぶべきすべてのことが書かれていると言っても過言でないと思われた。

もっと早くに読んでおくべきだった。経営者として一度大きな失敗を経験している私だからこそ心底そう思えた。『大学』に書かれていることを一人でも多くの経営者そしてこれから事業を継承しようとしている後継者に是非とも読んでもらいたい。そう心から思った。

世の中には『論語』『孫氏』『韓非子』などの中国古典をビジネス書として解説した本が多く出ている。おそらく『大学』もあるのだろうと書店を廻ったものの1冊として見当たらず驚いた。世の中に『大学』をビジネスセンスで読み解いた本が無いのなら私が書くしかない、そう思って出版させてもらった。

私は学者でも研究者でもない。『大学』本文の一説一説から触発されたことを私のこれまでの経営者としての経験や、知る限りのビジネスシーンから様々な話題を提供したものだ。本文読み下し文をただ解説するのでなく他の四書五経のなかの関連する一説を引用することでより理解を深めてもらおうとしている。

『大学』本文からビジネスセンスで読み解いた32のビジネスエッセンスとして紹介している。長くなるが32のビジネスエッセンスを紹介しておこう。

第一章 経営の根本を問う

1.社長がまなぶということ

2.社長がコミットする

3.社長の仕事ここにあり

4.社長、家庭は大丈夫?

5.社長が身を正す

第二章 人間力を高める

6.社長が変われば会社が変わる

7.社長、革新を起こせ

8.社長に仁徳がない

9.社長は本質を見極めろ

10.社長は己を欺くな

第三章 経営者の正心

11.社長が独りを慎むことは難しい

12.社長が暇だと碌なことがない

13.社長の椅子は座り心地が悪い

14.社長の奥行と幅を創る

15.社長が感情を乱す

第四章 経営者の条件

16.社長の人物評がでたらめ

17.社長の人材育成大丈夫?

18.社長が親子経営を考える

19.社長、その一言、気を付けて

20.社長が社員を思いやる

第五章 経営者の醍醐味

21.社長が組織をまとめる

22.社長から社員の心が離れる

23.社長が真っ当であるとは

24.社長、その言葉、返ってきます

25.社長、善人はお嫌いですか

26.社長の人材採用、登用がすべて

27.社長は社員に目的地を示せ

第六章 経営の深まりと高まり

28.社長の傲慢が危ない

29.社長、徳治でお願いします

30.社長、それ以上、地位と名誉、要りますか

31.社長は要職に小役人風情を就けるな

32.社長、会社の本当の利益を考えよう

いかがだろうか。とても短い『大学』の本文から以上32もの経営者へのアドバイス、示唆、警鐘などが読み取れたことに驚かれたのではないだろうか。じつはもっと丁寧に読み解けばもう5,6のビジネスエッセンスが読み取れた。また機会があれば違った構成でビジネス書として『大学』をさらに深堀して本にしてみたいと思っている。

今回のブログは私の著書の紹介のようになってしまったようだが本来の趣旨はじつは他にある。ご存じのように相変わらず日本経済は低迷し続けている。1990年にバブルが崩壊し30年が過ぎた今もなおGDPが示す通り上向く気配がまるで見えない。追い打ちをかけるようなコロナ禍。

このような時代、多くの経営者が先行きを見通せず不安感が蔓延し閉塞感にさいなまれている。経営者として経営に自信を無くし、企業の存続を危ぶんでいる。経営者の多くがこれまで自分が正しいと思っていた価値観が間違っているのではと揺らぐ想いでいるのでははないだろうか。

そのようなときにこそ必要なのが先人たちの知恵であり価値観だと思う。人類のここ100年や200年といった知恵や価値観でなく2000年、2500年前から今も変わらぬ知恵や価値観といったものに触れることが必要なのではないだろうか。「孔子」「孟子」「釈迦」「ソクラテス」「プラトン」といった先人たちの今も変わらぬ知恵や価値観にこのような時代だからこそ今一度触れて欲しいものだと思っている。

 

 

 

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