社長塾と社内学校──空気で伝える教育が会社を変える透明資産経営


社長塾と社内学校──空気で伝える教育が会社を変える透明資産経営
こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
経営とは、理念を語ることではなく、理念が空気として社内に流れている状態をつくることです。そしてその空気を最も濃く育む場所こそ、「社長塾」と「社内学校」とお伝えしてます。
この2つの教育は、透明資産の5つの構造の1つでもあるのですが、実は似て非なるものなのです、、、
社長塾は「在り方」を教える場。
社内学校は「やり方」を教える場。
この両輪が噛み合ったとき、会社の文化は言葉でなく空気で動く組織へと進化します。
―社長塾、在り方を伝える「哲学の共有空間」
多くの社長が「社員教育」を外部に委ねようとします。もちろん、スキル教育や資格研修においては外部講師の力を借りることも有効です。しかし、理念や哲学──つまり、なぜこの会社が存在するのか?を伝えるのは、社長以外にいないのです。
経営学者ピーター・ドラッカーはこう言っています。
「文化は戦略を朝食にしてしまう」。
どれほど優れた戦略を描いても、それを動かす人間の在り方が伴っていなければ、組織は動かない。社長塾の役割は、まさにこの在り方を磨く場にあるのです。
例えば、ある中堅食品メーカーでは、毎月1回、社長が全社員に向けて90分の「哲学講話」を行っています。テーマは「なぜ我々はこの地域で商いを続けるのか」「感謝とは何か」「誠実な商いとは」「私が経営で大切にしていること」など一見抽象的ですが、参加した社員の多くがこう語っています。
「社長の言葉を聞くたび、自分の仕事が誰かの笑顔につながっている実感が湧く」。
これはまさに透明資産経営に他なりません。
空気としての理念が社員の内側に宿ると判断の基準が揃うのです。指示を待たずとも、正しい行動を選べるようになっていく、、、
心理学的にも、「内発的動機づけ(Intrinsic Motivation)」は、自分の価値観と会社の価値観が一致した時に最も強くなることが知られています。
つまり、社長塾は経営哲学の共有だけでなく、社員一人ひとりの働く意味を再定義する装置でもあるのです。
―社内学校──やり方を伝える「文化の運用装置」
社長塾が理念を伝える「頭と心の教育」であるなら、社内学校はそれを現場に落とし込む「行動の教育」です。
社内学校とは、単なるスキル研修ではない。
現場で起こるなぜを紐解き、どうすればを学び合う対話の場なのです。
ここで重要なのは、教えるのが外部講師ではなく、「同じ空気を吸っている社内講師」であることにあります。
例えば、ある飲食チェーンでは、毎月「社内学校」として幹部社員が講師を務める。講義テーマは接客、衛生、チームマネジメントなど多岐にわたるが、全員が共通して伝えるのは「理念をどう現場で体現するか」という一点です。
外部講師が伝える正解よりも、社内講師が語る実践の方がはるかに心に刺さる。なぜなら、同じ空気の中で働き、同じ悩みを知っているからなのです。
教育心理学者アルバート・バンデューラの「社会的学習理論」では、人は似た立場の人から最も影響を受けるとされる。つまり、社内講師の存在こそ、空気を通して学びを深める仕組みなのです。
社内学校が機能し始めると、「教える側」が最も成長する。
伝えるために整理し、実践を見直し、言葉に変える過程で自分自身がアップデートされる。
教育とは、伝達ではなく循環です。
理念が社長塾で発信され、それが社内学校で血流のように巡る。
これが、透明資産経営の教育構造なのです。
―「外部講師依存」からの脱却が文化をつくる
多くの企業では、教育を「外注」する傾向があるかもしれません。
確かに、外部の専門家は新しい視点や理論をもたらす。ですが、会社の空気感までは伝えられないのです。
透明資産経営では、空気そのものが価値の源泉です。
だからこそ、教育の主軸は社内に置くべきなのです。
スターバックスコーヒーが世界中で同じ温かさを感じさせる空気があるのは、マニュアルではなく、一杯のコーヒーの背景にある理念を全社員が共有しているからといわれています。彼らの教育はトレーニングセンターのマニュアルよりも、ストーリー共有が中心。
彼らの言葉で言えば、“We are not in the coffee business serving people, but in the people business serving coffee.”(私たちはコーヒーを提供する人のビジネスではなく、人を大切にするビジネスの中でコーヒーを提供している。)
この思想を支えているのが、内部の教育文化=空気の再生装置なのです。
―空気を教育する、透明資産経営の真髄
社長塾と社内学校は、知識を教える場ではない。
空気を伝え、再生する場なのです。
「空気を教育する」という言葉は一見抽象的だが、実際にはきわめて実践的な経営手法です。たとえば、社員同士が自然に挨拶を交わし、顧客対応に一貫した温度を感じる企業には、必ず教育された空気があるのです。
それはルールではなく感じ方の共通言語であり共感の基準値です。
脳科学的にも、職場の空気の質はオキシトシン分泌量と相関する。それは、安心感や信頼が高い組織ほど、社員同士の共感回路が活性化し創造性が高まる。
教育とはこの共感の回路を意図的にデザインすることなのです。
―社長自身が「空気の講師」になる
最後に強調したいのは、社長自身が最も重要な空気の講師であるということです。
社長が語る言葉の背景に人生がある。
社員はその「一貫性」を感じ取り信頼を築く。
どれだけ立派な理念を掲げても社長の言葉と行動が一致していなければ、空気は濁るのです。
透明資産経営においては、社長が空気の発信源。
社長塾はその源泉を言語化し、社内学校がその波紋を広げていくのです、、、
―まとめ、空気で伝える教育が、業績を変える
数字に表れないものが、数字を変える。
この真理を体現するのが教育による透明資産化です。
社長塾で理念の火を灯し、社内学校でその火を灯し続ける。
そこに外部講師のカリスマも、派手な制度もいらない。
必要なのは、同じ空気の中で同じ未来を見ている人が語ること。
そしてそれを聞いた社員が、自分もその空気を守りたいと思うこと。
この瞬間、会社の文化は見えない資産から再現可能な経営資産へと変わる。
社長塾と社内学校。
それは単なる教育制度ではない。
空気を意図的に経営する、最高の仕組みなのです。
―勝田耕司
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