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顧客理解から始まる信頼構築 ~選ばれる中小企業の提案力とは

SPECIAL

トラスタライズ=信頼を対価に変えるコンサルタント

トラスタライズ総研株式会社

代表取締役 

企業の「信頼を対価に変える」専門コンサルタント。独自の「トラスタライズ手法」を用いて、見えない信用や信頼を、目に見えるカタチに変え、対価へと変えることで多くの経営者から注目を集めている。企業経営において社会・顧客双方の価値の創出が求められる時代にあって、「信頼」を切り口に、顧客企業が売上・利益を向上させられる手法の研究・提言を行っている。


顧客の目的や期待を理解し、価値提案に反映させる姿勢こそが信頼の起点となり、その期待に応え続ける仕組みづくりが、信頼・ブランド構築を加速させます。


「やっぱり、こちらが何をしたいのか、A社さんが一番わかってくれている気がしますね」

ご支援先でWebサイトのリニューアルに向けて業者選定をお手伝いしていたとき、社長がふと仰った言葉です。数社から提案を受け、まだ価格交渉も終わっていない段階ではありますが、すでに「信頼」と「期待」に差がついている。

つい先日まで、社名すら知らなかった各社の中で、この「差」はどこから生まれたのか。
今回は、信頼構築の起点となる「正しい顧客理解」について考えます。


■相手の目的や背景を正しく理解する

A社の提案には、他社と決定的に違う点がありました。

多くの会社は、デザインの良し悪しやSEO対策といった「自社の製品・サービス」を中心に、その考え方や実績などの話をします。もちろん、それ自体は悪いことではありません。

しかしA社は、まったく別の角度から入っていました。

「Webサイトを作り変えることで、本当に実現したいのは何ですか?」
「もしかすると、Web以外の手段の方がいい部分もあるかもしれませんね」

表層的なニーズではなく、その裏にある「目的」や「背景」を丁寧に確認しようとする姿勢、そしてそこから生まれるコミュニケーション
それらが、社長の「わかってくれている」という言葉につながっていました。

重要なのは、「きっとこうだろう」と思って終わらせないことです。
事実を確かめ、時には議論しながら相手の状況・期待・達成したいことを、相手と共通の認識にしていく。その1つひとつの積み重ねが、「この会社は信用できそう」という感覚に変わっていきます。

相手の期待を正しく理解しようとする「姿勢」を示すことで、知らない相手から信頼を得るための最初の一歩を築く。A社のアプローチはその典型でした。


■顧客理解を置き去りにすると、信頼は静かに損なわれる

こうした顧客理解が、本当はきわめて重要であるにもかかわらず、実際にはできていないケースは少なくありません。

そもそも「顧客を理解する」というプロセス自体を踏んでいない企業もありますし、ヒアリングしたとしても、「自社の製品やサービスの枠に合わない内容には触れない」ということも起きがちです。

しかし、この対応は損失につながる可能性もあります。
なぜなら、顧客は「自分の期待に誠意をもって応えようとしてくれているか」を敏感に感じ取るからです。

売りたいものを押し付けるような提案は、どれだけ理屈が通っていても、
「この会社は、こちらを見ていない」
という失望につながりかねません。

既に地位を確立した有名ブランドであれば、顧客の側から自分のニーズを合わせに行く、といったことも起こりえます。しかし、中小企業のビジネスの場合には、個々の顧客からの信頼を築き、評判を高めていく方が、長期的な収益性・成長性を高めるでしょう。

これは、薄利多売のビジネスであっても例外ではありません。
価格勝負の会社であっても、「他社より安い」という一点の期待に対し、徹底的なコスト管理や「最低価格保証」のような施策まで用意して応え続けています。

つまり、どんな戦略でも「どんな期待に応える会社なのか」を自覚し、その期待を裏切らない、さらには圧倒的に満たすための仕組みづくりや努力を行っているのです。

期待を正しく理解し、それに一貫して応えていく姿勢こそが、企業の信頼を静かに支えているといえます。


■事業モデルと提供プロセスを磨き上げる

顧客を理解した後に必要なのは、当然ながら「期待に応える」ことです。

一度契約をいただいたからといって、そこで信頼が完成するわけではありません。
むしろ、そこからが本当のスタートであり、期待に応える、もしくは期待を上回ることができれば信頼は積み上がり、下回れば減っていきます

信頼という常に可変的な資産を効率的・効果的に積み上げていくためには、最初のヒアリングだけでなく、

  • 提供プロセスの見直し
  • 価値を担保するための基準・仕組みづくり

など、組織としての磨き込みが欠かせません。もちろん、その際の焦点は、正しく作り上げられた「顧客理解」であるべきです。

ここを整えられる会社は、「理解した期待を確実に実現できる会社」と認識されるようになり、信頼構築が加速していきます。逆に、顧客の期待・自社の提供価値が曖昧なままでは、プロセスの磨きこみやメリハリのある提案ができず、信頼構築に勢いが出てきません。

 

理解する力 × 応える力

この両輪が揃ってこそ、企業の信頼は中長期的に積み重なっていきます。

顧客が本当に求めているのは何か。
自社の製品・サービスによって、どのような価値や未来を実現しようとしているのか。

顧客の期待をできる限り具体的に捉え、実際の行動として積み重ね、時間をかけて磨き上げていく。信頼とはその延長線上に生まれる結果であり、決して偶然の産物ではありません。

地道な作業のように見えて、ここを丁寧に行える会社こそが、最終的に選ばれる企業になっていくのだと思います。

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