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企業間連携を成功へ導くサーキュラーエコノミーの実践ポイント

SPECIAL

循環経済ビジネスコンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

循環経済ビジネスコンサルタント。カーボンニュートラル、SDGs、サステナビリティ、サーキュラーエコノミー、社会的インパクト評価などへの対応を通じた現状打破と成長のための対案の構築と実践(オルタナティブ経営)を指導する。主な実績は、増客、技術開発、人財獲得、海外展開に関する戦略の構築と実現など。

 「西田さん、おかげさまで営業の方向性が見えてきました。」先日とある会合で、サーキュラーエコノミーに取り組んでいるクライアントの責任者の方から直接伺ったご感想です。異業種の企業との連携交渉がスタートしたばかりの段階にあり、まさにここからが大事な場面だという会社さんです。

 

 企業間連携のむつかしさは、交渉が相当程度深化するまで「連携そのものが義務的なものとはいえない」点にあります。つまり、どれほど理念を共有し、将来像を語り合ったとしても、状況によってはいつでも見直され得るという不確実性が本質的に内包されているのです。これこそが、連携がいつも慎重に進められる理由であり、同時に乗り越えるべき最大の壁なのだと感じています。

 

 とはいえ、理念やビジョンの共有ができればお互い脈ありであることは確認できたことになる、とも言えます。恋愛で言えばラブレターの交換が終わったくらいでしょうか。お互いの企業文化を理解し、担当者同士の信頼関係が醸成されていく過程は、サーキュラーエコノミー型ビジネスの醍醐味でもあります。背景にある思想が理解されると、単なる取引相手だった企業が「同じ未来を描こうとするパートナー」に変わっていくからです。

 しかしそのうえでさらに重要になるのが、ビジネスプランの共有とリスク負担に関する合意です。

 

 ビジネスプランの共有では、提案者側が作成する“目論見案”が重要な基礎資料になります。サーキュラーエコノミーは従来の直線型のビジネスモデルと異なり、循環プロセス全体の設計が収益性に直結します。そのため、どこで価値が生まれ、どこにコストが発生し、どのように利益が積み上がるのかを客観的に評価し、両社で納得できる水準まで磨き上げることが不可欠です。

 

 同時に、リスクテイクの度合いについても並行して見極めておく必要があります。目論見案がどれほど魅力的であっても、事業リスクの整理が曖昧なままでは、最終的な意思決定にはつながりません。むしろ、リスクの所在と負担割合が明確であるほど連携は強固になり、パートナー企業にとっての安心感につながります。

 

 この段階で特に重要になるのが、「情報は漏れなく共有・吟味されているか」という視点です。提案者側から開示されるリスク情報が、十分に網羅的・包括的・微視的であるかどうかがポイントです。「こんな情報も出してくれたのか」と思ってもらえる姿勢こそが、企業連携では大きな信用につながるのです。

 

 そのためにも、為替、市況、景気などの外部環境を勘案した損益シミュレーションの実施が不可欠になります。連携の検討段階において、担当者がエクセルを駆使して精緻な損益モデルをつくるケースは珍しくありません。シナリオごとに収益がどう変動し、リスクの影響度がどこに強く現れるのかを定量的に示すことで、被提案者側は初めて事業の輪郭をつかむことができます。

 

 とりわけサーキュラーエコノミーのように、技術要素・物流要素・資源価格の変動などが複雑に絡むビジネスでは、数値モデルの正確さがそのまま意思決定のスピードに直結します。

 

 逆に言えば、この内容が不十分、あるいは被提案者の期待に沿ったものでない場合、せっかく理念共有の段階で盛り上がっていた連携にブレーキがかかることも珍しくありません。「あの会社は理念は立派だが、事業設計が甘い」と思われてしまうと、連携の熱量は一気に冷えてしまいます。理念とビジネスの“両輪”が揃って初めて企業連携は前に進むのです。

 

 ですので、提案者側としては、ビジネスモデルの可視化とビジネスプランの具体化に合わせて、リスク負担に関する情報開示に細心の注意を払うことが求められます。丁寧な説明と誠実な開示こそが、連携交渉を前向きなものにする最大の要因だと言っても過言ではありません。

 

 一般的な合弁事業では、このプロセスに引き続いて今度は被提案者側が自社担当分に関するビジネスプランとリスク負担の情報を遅滞なく共有します。ここで初めて、連携事業が具体的な姿を帯びながら本格化していきます。つまりこの段階のやりとりこそが、連携の成否を左右する最も重要なフェーズなのです。

 

 トップ同士の信頼関係をベースに、ここまでの協議を丁寧に積み重ねていくことができれば、事業のスタートはすぐ目の前に見えてきます。サーキュラーエコノミー型ビジネスは、社会の持続可能性に貢献しながら新しい市場を切り開く力を持っています。しかしそれを実現するには、企業連携という“新しい関係性の構築”が欠かせません。

 

 当社ではここまでを見通した伴走型コンサルティングを提供しています。企業間連携を通じてサーキュラーエコノミー型ビジネスを具現化したいという経営者の方は、いつでもお気軽にお問い合わせください。皆さまの挑戦が、社会と市場を同時に前進させる力になると確信しています。

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