組織の健康診断を疎かにすると、病巣は静かに転移する

「最近、社員が増えて、組織の実態が見えにくくなったんですよね。
以前は、よく知ってる社員ばかりで、気心も知れてたんですが、
最近は新しい社員も入って、何を感じているのか、分からないことが多いんです。」
社員との「個人的な関係性」が構築しにくくなってくると、
こういったモヤモヤを感じ始める経営者は少なくありません。
◆ 経営者から見えない水面下で、病状は静かに進行する
人間が、自分の健康管理を行う上で、まず行うことは、健康診断です。
「軽度異常」「要再検査・生活改善」「要精密検査・治療」といった診断結果から、
体のメンテナンスを意識的に行い、健康な生活が持続する努力をします。
しかし、会社組織だとどうでしょうか?
会社には、組織の健康度を診断する「義務」はありません。
その結果、「オレは分かってる」「そんなことは不要」とばかりに、
カン・経験・洞察力頼りとなっている経営者が、多く見られます。
社員数が20人程度だと、これで何も問題はありません。
しかし、社員数が50人、100人となってきた時に、
経営者は本当に、自社の組織・職場の状況を、
正確にタイムリーに把握できるのでしょうか?
スピード感の喪失、組織の官僚化、他責思考、コミュニケーション不全、等々。
経営者から見えない組織の問題は、放置されることで、
静かに、着実に組織をむしばみ、
事業の成長を阻害する、大きな要因になってしまいます。
◆ 組織の現実、実態が見えなくなる理由
実態が見えにくくなる理由は、多岐にわたります。
まず社員数が増えてくると、経営者との距離が近い社員から、
あるいは管理者からの情報に偏ります。
その結果、距離のある社員が置かれた職場の実態が、正しく伝わらず、
偏った情報だけで、分かったつもりになってしまいます。
自然と「見えること」「知っていること」だけに頼るのは、極めて危険です。
人間の体でも、顕在化した症状だけで判断すると、処置を誤ります。
また、時間の経過、人の入れ替わり、と共に起きる変化もあります。
ビジネスと組織が変化する中、職場の実態、社内の世論の軸足が見えにくくなり、
見誤ったまま突き進むと、組織の求心力は着実に低下します。
◆ 敵を見誤って、的外れな打ち手で疲弊する
特に、経営者にとって耳の痛い話となると、逃げてしまいがちです。
夜9時以降の大食い、飲んだあとの深夜の〆のラーメン、運動よりラクをする、
といった心地よい生活習慣に浸ってるうちに、悪化する健康状態と似ています。
経営者にとって耳の痛い話には、つい「事業環境が~」「最近の社員は~」
といった外的要因に、問題の原因を求めたくなり、
経営者の周囲のイエスマンたちも、表面的に同調します。
仮に、真の根本原因が「経営者のリーダーシップのあり方」であっても、
問題の根本原因に向き合うことなく、安易な他責の打ち手を繰り返すことで、
きちんと手を打っているつもりになると、組織は疲弊していきます。
◆ 組織の診断に必要なのは、多面性と客観性
経営者の気心が知れた社員からのインプットは、とても貴重です。
しかし、それだけでは、組織全体の情勢や社内世論を誤って捉え、
全員を戦力化する上では、マイナスにもなり得ます。
体の健康診断と同様に、重要なのは、
多面的な視点・指標による、客観的な評価です。
組織の健康状態も、いかに「特定の声の大きな社員」に偏ることなく、
「特定の主観的な見解」に頼りすぎないか、多面性と客観性の担保が不可欠です。
定量的な数値にならずとも、より多面的に状況を把握することで、
客観性は大きく高まり、次の打ち手の効果を高めてくれます。
「主観の集合は客観」と言われる所以です。
経営者が、自分の会社組織や、そこで働く社員の「健康状態」を、
継続的かつ的確に把握できていると、コミュニケーションや打ち手も、
おのずと「響く」内容となり、強い組織づくりの大きな武器となります。
あなたの会社には、組織の状況を客観的に診断する、継続的な仕組みがありますか?
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