環境貢献を「語れる価値」に変える国際規格
「西田先生、ウチが手がけている仕事はどう考えても環境に貢献しているはずで、ぜひそれを明らかにしたいんです。」初めて会社に伺ったとき、新幹線の駅から会社までの道すがら、支援先の社長さんはクルマのハンドルを握りながらそう話してくれました。
このようなご相談は、実は珍しいものではありません。長年にわたり省エネや効率化、品質向上に真摯に取り組んできた日本企業の間では、「自分たちの仕事は確実に環境に良い影響を与えているはずだ」という実感が広く共有されています。特に製造業を中心に、現場改善や技術革新を積み重ねてきた企業ほど、その思いは強いように感じます。
一方で、ものづくり産業が必ずしも経済の中心ではない欧米の先進国では、こうした議論はこれまでどうしても二義的な扱いを受けてきました。環境対策と言えば、まずは排出量を減らすこと、削減目標を達成することが優先され、「どれだけ社会にプラスの効果をもたらしたのか」という視点は、なかなか表に出てこなかったのが実情です。
実際、CO2排出量を可視化するための国際的な方法論として広く用いられているGHGプロトコルでは、環境貢献度そのものを評価・表示する指標はカバーされていません。あくまで「どれだけ排出したか」を正確に測るための枠組みであり、「どれだけ世の中の排出削減に寄与したか」は射程外だったのです。
こうした状況に一石を投じる動きとして、このたびIEC(国際電気標準会議)が「IEC 63372」という新たな国際規格を発効させました。この規格は、製品やサービス、技術がもたらす環境貢献を、一定のルールに基づいて算定・開示するためのものです。これに沿って情報開示を行うことで、これまでは一企業の意見や主張にとどまっていた環境貢献を、公的な基準に基づいて可視化できるようになりました。これは、日本企業が長年培ってきた強みを、国際的に「通じる言葉」で語れるようになるという意味で、大きな前進だと考えています。
ただし、この規格に基づく開示にはいくつか注意すべき点があります。その代表例が、GHGプロトコルに基づいて算出したCO2排出量と、環境貢献量を混ぜてはいけない、というルールです。たとえば「当社は事業活動による排出量が3000トンで、省エネによる貢献が5000トンだから、差し引き2000トンの環境貢献をしている」という計算ができたとしても、「当社のCO2排出バランスは2000トンの環境貢献です」と表現することは認められていません。排出量は排出量、貢献は貢献として、明確に区別して示す必要があります。いわば、いいとこ取りの表現はNG、というわけです。
その他にも、貢献量の算定にあたっては、比較対象となるベースラインの設定をどうするのか、二重カウントをどう防ぐのか、算定範囲をどこまでとするのか、といった点について慎重な整理が求められます。少し専門的に聞こえるかもしれませんが、裏を返せば、それだけ信頼性の高い情報開示が可能になるということでもあります。
省エネや再生可能エネルギーの導入だけでなく、循環経済すなわちリサイクルの高度化、材料の歩留まり管理、長寿命化設計など、「ウチの取り組みも環境貢献として評価できるのではないか」と感じておられる経営者の方は、ぜひ一度当社にご相談ください。排出量の算定と併せた環境貢献度の査定を自社の強みにする方法を、お値打ち価格とスピード感を大切にしながら指導させていただきます。これまで長いこと現場で積み重ねてこられた努力を、きちんと“語れる価値”に変えていく。そのお手伝いができれば、これほど嬉しいことはありません。
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