透明資産経営|空気を設計できない経営者は、やがて「数字の奴隷」になる。

ー管理しているつもりが、管理されている構造
こんにちは。企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する空気感を意図的に設計し、運用する仕組みのことです。透明資産経営とは、売上や利益といった結果を直接追いかけるのではなく、それらを生み出している構造そのものを扱う経営です。
空気を設計できない経営者は、最終的に数字の奴隷になります。これは比喩ではありません。実際、多くの会社で起きている現象です。社長は数字を管理しているつもりでも、いつの間にか数字に振り回され、短期的な変動に一喜一憂し、長期の視点を失っていきます。その背景にあるのが、空気の未設計です。
ー数字は結果であって起点ではない
経営者にとって数字は重要です。売上、粗利、営業利益、キャッシュフロー。これらを見ずに経営はできません。しかし、数字は常に過去の結果です。今日の売上は、昨日までの行動の総和です。ところが、空気を設計していない会社では、この当たり前の前提が崩れます。
売上が下がると、焦る。
利益が落ちると、慌てる。
予算未達になると、会議が増える。
もちろん対処は必要です。しかし、数字に反応する経営が続くと、組織は常に後追いになります。なぜ下がったのかを議論し、どう戻すかを考える。その間に、空気はさらに萎縮します。
数字が悪化したとき、現場は何を感じるでしょうか。責任を問われるのではないか、評価が下がるのではないか、という不安が先に立ちます。この不安が空気として広がると、人は挑戦をやめ、守りに入ります。その結果、数字はさらに伸びにくくなります。
ー管理が強まるほど、主体性が消える
数字に振り回される経営の特徴は、管理の強化です。KPIを細分化し、報告頻度を上げ、チェックを増やす。一見すると合理的です。しかし、管理が過剰になると、現場は自分で考えなくなります。なぜなら、基準はすでに数字で与えられているからです。達成か未達か。上か下か。白か黒か。この単純な評価軸が空気を支配すると、行動は「評価されるかどうか」に最適化されます。ここで失われるのは、創意工夫です。数字に直結しない改善は後回しにされ、短期的な成果が優先されます。数字が経営の目的になった瞬間、経営は縮みます。本来、数字は成果を測る道具にすぎないのに、いつの間にか目的そのものにすり替わります。
ー空気を設計しないという選択
では、なぜ多くの経営者が空気を設計しないのでしょうか。理由は単純です。数字は見えるが、空気は見えないからです。数字は報告書に載り、グラフで示せます。しかし、空気は体感でしか分からない。会議の温度、発言の質、挑戦の頻度、本音の有無。これらは数値化しにくい。だから後回しにされます。しかし、見えにくいからこそ、最も強い影響力を持っています。空気を設計しないということは、自然発生に任せるということです。自然発生の空気は、必ず「安全側」に寄ります。責任を避け、波風を立てず、現状維持を選びます。その空気の上で数字を追えば、当然、数字も保守化します。
ー数字を追わない会社が数字に強い理由
逆説的ですが、空気を設計している会社ほど、数字に強くなります。なぜなら、数字を直接追っていないからです。追っているのは、行動の質です。挑戦の量です。仮説の回転速度です。空気が挑戦を歓迎していれば、失敗も増えます。しかし、同時に学習も増えます。改善のスピードが上がります。その結果、数字は後からついてきます。数字を目的にした組織は、短期的に整いますが、長期的に痩せます。空気を整えた組織は、短期的に揺れますが、長期的に太ります。この違いは、時間が経つほど顕在化します。
ー社長が握る構造のハンドル
数字の奴隷になるかどうかは、社長がどこにハンドルを握っているかで決まります。数字そのものを動かそうとするのか、数字を生む構造を動かそうとするのか。構造とは、空気を意図的につくる仕組みのことです。
どんな発言が歓迎されるのか。
どんな挑戦が評価されるのか。
どんな失敗が許容されるのか。
これらが空気として共有されていれば、数字は結果として改善します。逆に、空気を放置したまま数字を追えば、管理は強まり、主体性は失われ、やがて社長自身が数字に追い立てられます。
ー経営の主従関係を取り戻す
数字は経営の結果であり通信簿。かならず原因があります。しかし、空気を意図的に設計していない会社では、数字がすべてになります。達成未達のプレッシャーが空気を支配し、社長の判断も短期化します。空気を設計できる経営者だけが、数字との主従関係を取り戻せます。数字に振り回されるのではなく、数字を使いこなす。結果に一喜一憂するのではなく、構造を磨き続ける。経営とは、数字を管理することではありません。数字を生む空気を設計して運用することです。
その順番を取り違えた瞬間、経営は数字の奴隷になります。
その順番を正した瞬間、数字は味方になります。
どちらを選ぶかは、常に社長次第です。
ー勝田耕司
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