グリーン経営力獲得のスゝメ
「西田先生、教えていただいた計算方法を使って再生材の貢献度を可視化できるようになったことは本当に素晴らしいと思います。」
これは温室効果ガスの排出量算定と併せて、当社が勧める環境貢献度の計算をされている関西にある企業の幹部の方から直接伺った感想です。
私はこの言葉をとても嬉しく思いました。なぜなら、これまで「排出量を減らすこと」ばかりに焦点が当たってきた環境経営に、新たな視点が加わり始めていると感じたからです。
本来、再生資源の活用による環境貢献度は、CO2排出量の算定と同時に評価されるべきものです。地下資源の採掘を抑制し、既存資源の循環利用を進めることは、サーキュラーエコノミーの思想に照らしても極めて重要な取り組みです。しかしながら、現在世界で事実上の標準となっているGHGプロトコルでは、排出量の「算定」と「削減」が中心となっており、再生資源活用による貢献度という要素は基本的に織り込まれていません。いわば「守り」の指標は整備されているものの、「攻め」の価値が十分に見える化されていない状況なのです。
一方で、企業側のニーズは確実に高まっています。再生材の利用を増やし、端材を高度に再生し、循環型のビジネスモデルを構築している企業ほど、「その努力を正当に評価してほしい」という思いを強く持っています。こうした流れを受けて、新たにIEC63372という国際規格が発表され、これに基づいた環境貢献度の算定と開示が認められることとなりました。再生資源の利活用による環境価値を、一定のルールのもとで可視化し、社会に示すことが可能になったのです。
これは何を意味するのでしょうか。今後は、GHGプロトコルに従った排出量の開示と削減努力の内容を示すことに加えて、再生材利活用による環境貢献度を明確に訴求することで、市場から認められる機会が生まれるということです。排出削減だけでなく、「どれだけ循環に貢献しているのか」という観点が評価軸に加わるのです。これは単なる表示の問題ではなく、ビジネスモデルそのものの優位性を説明できるという意味を持ちます。
このメリットは、いわゆるリサイクラーに限りません。自社工程から出る端材を再生し再投入しているメーカーや、それらを集めて再生原料市場へ供給している商社にも及びます。IEC63372の枠組みに照らしても、再生資源の創出や循環への貢献が定量化できるのであれば、その価値を開示する道が開かれていると理解できます。これまで「コストセンター」と見なされがちだった工程内リサイクルや回収スキームが、「価値創出の源泉」として語れるようになるのです。
さらに重要なのは、こうした情報発信が金融市場に与える影響です。金融機関は今や、単に売上や利益だけでなく、ESGや気候変動対応の姿勢を重視しています。排出削減への取り組みに加え、循環型ビジネスによる環境貢献度を客観的な指標で示せる企業は、リスクが低く、将来性が高いと評価される可能性があります。情報開示の質が、資金調達環境に直結する時代になっているのです。
私は、守りの排出削減と攻めの環境貢献をともに生かす経営の力を「グリーン経営力」と呼びたいと思います。排出量取引市場を通じた削減義務が進む日本において、守りの対応は避けて通れません。しかし、それだけでは十分ではありません。サプライチェーンを構成する企業各社が、自らの循環貢献を語り、示し、評価される力を持つことが、これからの競争力の源泉になります。
環境対応はコストだ、という時代は終わりました。いまやそれは市場を広げるための武器になり得ます。再生資源の利活用を「やっている」だけで終わらせるのではなく、「見える化し、語れる価値」に変えること。その一歩が、企業の未来を大きく変える可能性を秘めています。
是非この商機を逃すことなく掴んでいただきたいと思います。当社はそのためのお手伝いをお引き受けしています。守りと攻めを兼ね備えたグリーン経営力の獲得こそが、企業にとって次の成長ステージへの鍵なのです。
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