「社員とコミュニケーションが取れない社長」に共通する問題
不動産業を営むM社長に、こう相談されました。
「先生、社員とコミュニケーションがとれないのです。どうすればいいでしょうか。」
私は、事前に頂いた書類を確認します。
そこには、しっかり整理された文章が書かれています。
私は答えました。
「社員とコミュニケーションを取る必要などありません。その問題は、1年後には自然に消えているはずです。」
多くの社長はコミュニケーションが苦手
社員との会話が続かない。
何を話していいのか分からない。
会議をしても、結局自分ばかり話している。
面談で、「何かありませんか?」と振っても、「特にありません」と何も出てこない。
社員も緊張しているのか、会話が盛り上がることはありません。
このとき、多くの社長はこう考えます。
「自分はコミュニケーションが苦手だ。」
「もっと話し上手にならないといけない。」
そして、コミュニケーションの本を読んだり、研修を受けようと考えたりします。
そのとき私は、こうお伝えします。
「それは、社長のコミュニケーション能力の問題ではありません。」
会社のコミュニケーションの目的は3つ
会社におけるコミュニケーションの目的は、次の3つしかありません。
1.設計 2.依頼 3.実行
会社の仕事は、すべてこの流れで回っています。
まず 設計する。 次に 依頼する。 そして 実行を確認する。
そして、「コミュニケーションを取る理由」も、このどれかです。
雑談でもなく、雰囲気づくりでもありません。
あくまでも、会社のコミュニケーションとは「仕事を進めるためのもの」なのです。
話が続かない会社の共通点
では、なぜ話が続かないのでしょうか。
理由は明白です。
話す材料がないからです。
例えば――
設計であれば、検討書や企画書があるはずです。
依頼であれば、方針書やマニュアルがあるはずです。
実行であれば、計画書や実績管理表があるはずです。
しかし、多くの会社にはこれがありません。
つまり、話すネタがないのです。
だから、会議では抽象的な話になります。
「どう思う?」
そう聞かれても、その社員には基盤となる知識や背景が不足しています。
そのため「特にありません。」(よくわかりません)と返すしかないのです。
結果的に、社内は、そんな会話ばかりになります。
社員も何を話していいのか分かっていないのです。
問題はコミュニケーション能力ではない
冒頭の面談の場で、私はM社長に聞きました。
「コミュニケーションの不足、それは会社全体に言えることではないですか?」
M社長は、少し考えこみ、そして頷かれました。
会議も打合せも日常のやり取りも、すべてがうわべだけのコミュニケーション です。
あれから1年が経ちます。
M社長は、突然に、言われました。
「先生、コミュニケーションの問題はなくなりました。」
社員との会話は増え、内容も深くなり、社員同士のコミュニケーションも活発になったとのこと。
どうやら、M社長のコミュニケーション能力は一つも上がっていないようです(笑)
つまり問題は、コミュニケーション能力ではないということです。
社員同士でも、話すネタがないのです。話す必要がないのです。
だから、コミュニケーションが盛り上がらないのです。
社員同士のコミュニケーションも、うわべだけのものになるのです。
社長がやるべきことは一つ
社長がやるべきことは、社員と上手に話すことではありません。
社員と話そうとする必要性もありません。
やるべきことは一つです。
「設計」という習慣を会社に取り入れることです。
検討書、企画書、計画書、マニュアル。
こうした「設計」があれば、自然に話すことは生まれます。
社員も話し合いに参加できるようになります。
「ここはこうしよう」
「これはこういう意味ですか」
「予定通り進んでいますか」
話題はいくらでも出てきます。
そして、そのコミュニケーションが、社長と社員の行動を生みます。
その結果、会社を前進させることになるのです。
設計を取り入れることで、コミュニケーションは自然に変わる
「社員とコミュニケーションがとれない」
そう悩む社長は少なくありません。
しかし、その原因は、社長の性格でも、話し方でもありません。
設計がないのです。
人は、「用がなければ話せない生き物」なのです。用が無くても話せるのは、極一部の人だけなのです。
設計がない会社は、当たり障りのない雑談で溢れることになります。
設計がある会社では、仕事のために会話が生まれることになります。
社長が取り組むべきは、コミュニケーションの改善ではありません。
会社としての、仕事の進め方なのです。
社長が設計を始めたとき、会社のコミュニケーションは自然と変わっていきます。
そしてそれは、会社そのものが変わり始めたということなのです。
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