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親子関係だけでなく兄弟姉妹の関係もまた厄介だ

SPECIAL

親子経営コンサルタント

ビジネス・イノベーション・サービス株式会社

代表取締役 

オーナー社長と後継者のための、「親子経営」を指導するコンサルタント。みずから100億円企業を築くも、同族企業ならではの難しさや舵取りの大変さで苦しんだ実体験を指導。親から子へ失敗しない経営継承の極意として「親子経営」を伝授する。

親子関係だけでなく兄弟姉妹の関係もまた厄介だ

今日は私の子どもたちに人間関係の機微を話しておこう。
第6話

【親子関係だけでなく兄弟姉妹の関係もまた厄介だ】

親子の関係が厄介なのは、これまで幾度も話している。それには理由があるという話もしたことがある。もう一度簡単に話しておこう。

それは親と子の間に確執ができることが多いからだ。ではなぜ親子の間に確執ができるのか。究極的な話をすると、親が我が子に執着するからだといえる。親が我が子を自分の所有物だと思い、自分とは違う人格を持った他者だと思えないからだ。

ところで、私のように親子経営企業のコンサルタントをしていると、親子関係だけでなく、もうひとつの厄介な関係が問題となることがある。

それは、兄弟姉妹の関係だ。兄弟姉妹にもいろいろな理由から確執ができることがある。兄姉が弟妹を慈しみ、弟妹が兄姉を慕う関係ができておれば、なんの問題もない。現実には兄弟姉妹が互いになにかを競い、奪い、争うことが多い。

親子関係、兄弟姉妹の関係はこのようにとても厄介である。

 私はこれまで、親子経営企業を数多く見てきた。そこで気づいたことがある。兄弟姉妹の確執というものは、表面に出ている問題だけを見ても、本当の原因は分からないことが多いということだ。

子どもの頃からの積み重ねがある。「あの時、兄だけ褒められた「妹ばかり可愛がられていた」「自分はいつも我慢させられた」「兄だからという理由で、何でも任された。」そんな小さな出来事が、長い年月をかけて心の中に積もっていく。

そして大人になり、会社の経営や財産、親の介護など、現実的な問題が出てきた時に、それまで心の奥にしまっていた感情が一気に噴き出す。だから厄介なのだ。

会社の問題を話しているはずなのに、いつの間にか子どもの頃の話になっている。経営の話しをしているのに、「兄さんは昔からそうだった」という話になる。私はそんな場面を何度も見てきた。

兄弟姉妹とは、それほど長い時間を共有してきた関係なのだ。だから、簡単には割り切れない。

他人なら、「嫌なら付き合わなければいい」で済む。しかし兄弟姉妹となると、そう簡単にはいかない。親がいる。家がある。会社がある。財産もある。

そして何より、同じ親から生まれたという事実が一生ついてくる。だから私は、兄弟姉妹だから仲良くしなければならないとは、あえて言わない。仲良くできれば、それに越したことはない。

しかし、それ以上に大切なのは、互いを一人の人格として尊重することだと思っている。兄は弟の人生を支配してはいけない。弟は兄の人生を羨み続けてはいけない。

姉は妹をいつまでも子ども扱いしてはいけない。妹も姉に対して、いつまでも過去の不満を抱き続けてはいけない。

それぞれが、それぞれの人生を生きる。そのうえで、困った時には助け合う。それくらいの距離感が、案外ちょうどいいのかもしれない。

そして、親子経営ではもう一つ大切なことがある。兄弟姉妹を会社の中で平等に扱うことと、公平に扱うことは違うということだ。

能力も経験も役割も違う者を、単純に「兄だから」「弟だから」と同じように扱えば、かえって不公平になることがある。大切なのは、それぞれに相応しい役割と責任を与えること。そして、その理由をきちんと説明することだ。

現実に私の顧問先の1社に兄が副社長、弟が社長という会社がある。先代である父親がそうすることを決断したのだ。兄弟それぞれの性格と能力の違いを考慮した上でのことだ。まさに苦渋の決断であったことだろう。

親が説明を怠れば、兄弟姉妹は勝手に想像する。「親は兄の方を評価している。」「どうせ私は期待されていない。」そんな思い込みが、やがて確執へと変わっていく。だから親もまた、子どもたちを一人ひとりの人格として尊重しなければならない。

幸いなことに私の顧問先では、兄弟が互いの能力の違いを認め合い、互いのポジションでの役割と責任を上手く果たし合っている。特に兄が弟の能力を素直に認め、譲る気持ちを持てたことが大きい。

親が兄弟姉妹を比較しないこと。これも大切だ。「お兄ちゃんはできるのに、お前は……」「妹の方がしっかりしている。」そんな言葉は、親にとっては何気ない一言でも、子どもの心には長く残る。

人間関係の難しさは、言葉にした側と受け取った側で、その意味がまったく違うところにある。だから君たちには、兄弟姉妹だから分かり合えると思わないでほしい。兄弟姉妹だからこそ、言葉にして伝える。

感謝しているなら、感謝していると言う。悪かったと思うなら、素直に謝る。それだけでも、関係は大きく変わる。

家族だから何を言っても許される。家族だから分かってくれる。それは、実は一番危険な考え方なのかもしれない。家族であっても他人である。他人であるからこそ、敬意が必要なのだ。

私は親子経営の仕事を通して、このことを何度も教えられてきた。親子も兄弟姉妹も、近過ぎるからこそ難しい。だからこそ、相手を自分の思い通りにしようとしないこと。

相手の人生は相手のものだと認めること。そして、血のつながりに甘えず、互いを一人の人間として尊重し認め合うこと。

これが家族の人間関係を壊さないために、私が君たちに伝えておきたいことなのである。

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