最適なコンサルティングを今すぐ活用する!

今さらですが、IT化とDX化の違いって何ですか?

SPECIAL

工場の自動化経営コンサルタント

株式会社さくらブルー

代表取締役 

 社長不在でも社員だけで現場が回る仕組み構築により、社員だけで利益を出す「工場経営の自動化」のノウハウを提供する、経営コンサルタント兼2代目工場経営者。工場経営の傍ら、がんばる中小工場経営者向けに、経営コンサルタントとして工場経営の指導を行う。「工場経営の自動化」により、現場は社員に任せ、次のビジネス展開に専念する経営者を多数輩出。

ある社長から、こんなことを尋ねられました。
「今さらですが、IT化とDX化は何が違うんですか?」

ネットで調べれば出てくるようなものですが、わざわざ私のところに来て聞かれることからすると、IT化がうまくいっていないことは想像がつきます。
昔のことはあまり詳しく知りませんが、WindowsXPが出たころから、世の中が一気にIT化が進んでいったのを記憶しています。私もこの頃初めてのPCを購入しました。昔懐かしいSONYのVAIOで、もちろんOSはWindowsXPです。

インターネットの速度もまだまだ遅く、画像を取り込むのも一行ずつ色がついていき画面の下までいってようやく画像がくっきりするような状態でした。
これが今では、動画も一瞬で取り込むことができるようにまでなっているのですが、工場経営にその技術を活かすことができているでしょうか?
本来の表計算ソフトを、計算式を入れず、一覧表作成ソフトとして使っているという話も聞きます。

工場経営における「情報」の重要性

「IT」とは、直訳すると「情報技術」です。さまざまな情報を取り扱う工場経営であれば、使う場面はいくらでもある業種だと言えます。
顧客情報、取引先情報、受発注の情報、経理や財務の情報、社員の個人情報など、これらはどの業種でも取り扱うようなものでしょう。
工場特有なものといえば、製品を製造する上で必要な情報ですが、これも多岐にわたります。
製品の仕様やそれを作るための設備の仕様、使用する材料の情報や設備に使われる部品の情報、受注に対してどんな生産計画を立て、どのような人員配置で臨むのか、設備の生産能力や作業者の対応能力の情報も必要です。
社長やベテラン社員がこれらの情報を把握して検討し、指示が出されている、というのが大方の工場の仕事の進め方ではないでしょうか。

先に挙げた情報は例であり一部でしかありません。多くの情報がありますので、Infomation Tecnology(IT)を使うということはとても自然な流れです。
しかし実際の現場では、IT化が進んでいない工場はまだまだ多く、中小企業の DX 推進に関する調査(2024 年)にも、
「DXに取り組むにあたっての課題」として、

  • 何から始めてよいかわからない、
  • 具体的な効果や成果が見えない、

という、IT化が経営課題解決につながるとまだ考えられない、と言っているような回答が未だ上位に上がっています。
また、

  • 経営者の意識・理解が足りない、

という回答も1割もあり、しばらくIT化が行われることないと思われる工場もありそうです。
www.smrj.go.jp

IT化できない本当の理由

では、このようにIT化をせず、はるか昔に終わった作れば売れるという時代から、多品種小ロット生産を求められるようになり、限られた売り上げの中で高騰する材料、人材、経費でなんとかやりくりしなければならない現在の工場経営において、どのように現場を回しているのかというと、

  • たくさんの情報を、社長やベテラン管理者の脳みその中でシャッフルされ、
    「経験・勘・度胸」でエイっと指示を出す。

このような手法でなんとか回っているという工場は未だ多くあります。

昔のように通信速度がクソ遅いインターネット環境のような時代なら、自分で考えた方が早い、ということになることも理解できますが、今や何百ページもあるPDFを生成AIに読み込ませれば、ものの数秒で要約して読み上げてくれる時代です。
ヤバい遅れている、そろそろホントに何かしなければ・・・と思っている社長が多いのも事実です。

必要性は感じているけど何から手をつけたらよいかわからない、という言葉もよく聞きます。
たしかに、ITツールとひと言で言っても、ジャンルは幅広く、一つのジャンルの中でも種類が多すぎて何を選んだらよいかわかりません。
それはゴルフのクラブ選びと同じで、膨大な数の商品の中から、どれを買いかえればスコアがよくなるのかと考えるようなものです。

しかし、少し厳しいことを言いますが、このようなことを言われる方の多くは、解決すべき経営問題に気づいていない、さらに言えば、問題の原因を社員の能力の問題、意識の低さのせいにしているという場合が多くあります。
そして、たとえそれが大きな問題だったとしても、「生産性向上」という問題の解決にならない結論を追い求め、システム導入をしようとします。
何の問題解決にもつながらないだけでなく、システム導入がさらに問題を引き起こす状態を自ら作ってしまいます。

良いクラブを買ってもスコアがよくならなければ、自分のスイングに問題があるのではないかと自分の中に改善点を探すでしょう。システム探しもそのように、まずは自社の経営自体に改善点を探さなければいけません。
ゴルフで道具のせいにして次を買うということはあっても、システム導入で同じようなことはできません。


人と組織を変える力

社員に対して「なぜそれに気づかないんだ!」「やる気あるのか!」
と、そう思ってしまう時もあるでしょう。
しかし、人の気付く能力に頼った作業があれば、気付かない瞬間があってもおかしくありません。
やる気満々の日もあればそうでない日もあるのは社長も同じはずです。
この例一つとっても、社員が間違いに気づかず見逃してしまい、前述のセリフを言われれば、やる気は当然下がります。そのような状況なのにやる気満々です!と言い切る社員の方が不自然です。
人が見逃してしまいそうなことをPC側で処理してくれるシステムがあれば、そのようなセリフも言われず自信をもって作業に向かうことができるでしょう。

このようにIT化により職場の雰囲気、組織文化まで変えてしまうことをDXと考えれば、最初の社長の問いに対する答えになるのではないでしょうか。

コラムの更新をお知らせします!

コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。