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「過去の成功体験」が企業の衰退を招くケースとは?

SPECIAL

波及営業コンサルタント

有限会社 日本アイ・オー・シー

代表取締役 

取引先のネームバリューで次々に新規開拓を実現する「波及営業戦略」を体系化した辣腕コンサルタント。特に技術系のメーカー企業や、特殊な加工、取り扱い品、異色サービスなどを手掛けている企業の販売戦略の再設計、大きく売れるようにする仕組みづくりに定評。

「事業が衰退してしまう原因って、何が一番多いと思いますか?」

先週、顧問先の創業社長との酒席での会話。

事業が行き詰まる原因は色々とありますが、私は自分の将来の見通しを甘く見ること。また、過去の成功体験を踏襲すれば、また明るい未来が築けるはず!…という勘違いが放漫経営を除けば、一番多いのでは? と感じています。

今年、安売り旅行会社が倒産して話題になりまたが、あの例は最たるものです。

この本質を突き詰めて考えておくのは、ムダではなさそうです。

そもそも破綻した旅行会社のビジネスモデルは、景気後退期の「憂さ晴らし需要(?)」に対応した海外を中心とした格安パッケージ旅行だったのでは…と私は感じています。

このパッケージという概念にメスを入れてみます。

今は、消費者がネットで航空券を買い、ホテルを予約できる時代です。

自動翻訳もネットと連動している時代ですから、すこし手間をかければ自分の好みにあったプランニングが簡単に出来てしまいます。

数年前、妻が両親をアメリカのセドナに連れていきたい…と言い出したことがありました。パッケージツアーで予約すると200万円近くになりました。

ところが、フェニックスからレンタカーを借りて自力でいけば、格安で行ける。

4つ星ホテルに泊っても旅費の合計50万円強で楽しむことが出来た経験をしたことがあります。

パッケージ旅行は、余計なお世話のサービスがついているから、オーバースペックになりがち…。

結局、パッケージの本質は無知な消費者に情報という付加価値を乗っけているに過ぎないという見方もできるわけです。

現に、日本マクドナルド創業者の藤田田氏も書籍でこう書いています。

「日本人は計算ができない。ポテトいくら。ハンバーガーいくら。ドリンクいくら…とやると、計算できないから頼まない。人間心理として合計金額がわからないものは、意思決定を躊躇する。だからマクドナルドではセット料金を全面に打ち出している」と。

「分からないものは、意思決定できない」

これが購買行動の本質。

だから、わかりやすくする「セット」や「パッケージ」が売れるわけです。

ところが、時代の変化で、セットやパッケージにしなくも分かりやすくなれば、セットやパッケージの存在意義が薄まります。

海外旅行であれば、分かりにくいものは、「言語」であり「現地情報」です。

ところが、これもガイドブックやネットの充実、翻訳機の精度向上、はたまたクレジット会社などが付帯サービスとして提供している「現地で困ったときの電話翻訳代行」などでカバーできるようになりました。

分からないものが分かるようになる。

すると、消費行動というのは自然と勢いづくもの。

現時点で、この波の影響で冒頭の旅行会社が潰れたわけではありませんが、「過去の成功体験」というのは、時代の流れで陳腐化されたり、存在意義が薄くなるというのは、間違いのない「現実」。

「過去の成功体験」が時代の構造変化に侵されていなければ、過去の成功体験を踏襲することは、決して間違っていないと藤冨は考えます。

しかし、時代の変化によって通用しなくなっているとしたら…

その時は、頭を一度ゼロベースに戻して、現実を客観視できる状態にし、あらゆる確度から新しい成長プロセスを描いてみる必要があります。

時には、丸裸になって一から成功体験を積み上げる覚悟をもつ必要があるのかも知れません。

貴社の成功体験・事業環境は、時代の構造変化に侵されていませんか?

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