目標を勝手に一人歩きさせないために

  成長支援部づくり 岩井徹朗 SPECIAL
岩井徹朗 SPECIAL

成長支援部づくりコンサルティング

ヒーズ株式会社 代表取締役 岩井徹朗

会社の大元となる「総務」を革新すれば、すべての事業部に影響を与え、顧客志向になり、驚くほど業績が伸びる。経営者が着手すべき、「成長支援部づくり」を指導。


目標を勝手に一人歩きさせないために

半期の経営方針発表会を前にしたクライアントさんとの打合せ。私からアドバイスさせていただいたことの一つが、「各方針の位置づけを明確にしましょう」ということでした。

仮に10個、今期の重点項目があったとします。しかし、その10個の項目が全部同じ位置づけにあるということはまれです。

10個のうち、1~3は前期から引継いで会社として取組むべき項目、4~5は重点項目1を達成するために必要となる項目、6~7は・・・というように各項目の位置づけは微妙に異なります。

銀行員時代の私の例で言えば、預金残高を期末で100億円増やす、信用保証協会付き貸出金の期中平残を3億円増やす、といったように、銀行の本来の業務に関わる預金・貸出金関連の目標もあれば、NHKの受信料の口座振替を新規で50件獲得する、法人の新規貸出先を30社獲得する、といった目標もありました。

NHKの受信料の口座振替で言えば、口座振替をする預金口座はメイン口座となる→
結果的に預金口座の残高も増えてくるという理屈に基づいています。また、法人の新規貸出先で言えば、新しい取引先を開拓していかないと、融資残高も増えないということがその背景にあります。

だから、それぞれの目的も、NHKの口座振替を獲得することで、預金残高も増える、法人の新規貸出先を獲得して、貸出金の残高を増やす、ということでつながっています。このため、このような管理項目を作って社員にやらせること自体はけっして間違いではありません。

しかし、注意しなければならないのは、目標は勝手に一人歩きするということです。

なぜ、面倒でもわざわざNHKの口座振替を獲得するのかを理解していないと、どうしても「上司がしつこくトレースするから、仕方なくやるかぁ」という受け身の姿勢になります。

また、将来的に貸出金を増やすことを念頭に置いて新規先を開拓するのであれば、無理やり頼み込んで「100万円でいいから、お付き合いで借りてくれませんか」というような営業は本筋からは外れます。

そして、口座振替で50件、新規の貸出先を30社という目標は預金を100億円増やす、貸出金を3億円増やすという本質的な目標に比べて、分かりやすく、管理しやすいです。このため、進捗状況を確認する普段の営業会議でも、トレースの焦点が簡単な目標の方に集中する傾向があります。

経営者は全体像が分かっているので、10個の項目を並べるだけで、全体の構図やつながりを掴んでいます。しかし、社員の場合は必ずしも会社の全体像が見えているとは限りません。

そして、分かりやすく、簡単な項目を重点的に取り組んで、難しいけれど、会社にとっては真正面から取り組むべき項目を後回しにしてしまう恐れがあるのです。これでは本末転倒です。

ある目標を設定する際には、必ず目的があります。そして、たとえ小さい目標であっても、突き詰めていくと、その目標をやる目的は会社が何のためにこの仕事をやるのかという大きな目的につながっているはずです。

目的なくして目標なし。目標なくして戦略なし。戦略なくして戦術なし。

掲げた目標の位置づけを明確にして、宙ぶらりんで中途半端な目標は捨てましょう。

 


【総務の革新】成長支援部づくりで業績を伸ばす経営視点
岩井徹朗

成長支援部づくりコンサルティング

ヒーズ株式会社代表取締役

岩井徹朗

執筆者のWebサイトはこちら http://www.basis01.com/

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