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社長のための「部下育成ができる上司の条件」4つの視点

SPECIAL

独自の人材育成の仕組みづくりコンサルタント

株式会社トゥルーチームコンサルティング

代表取締役 

社内に本物のチームをつくり、「人材育成の拡大再生産」を実現させるコンサルタント。単なる形だけの組織ではなく、中小企業にとって最も大切な、社長と社員の「同志関係」づくりを基本とした、人材育成の仕組みづくりを指導。

小さな芽

最近、ご相談をいただいた企業(製造業)での事例を紹介します。

経営者の視点からすると、このような管理者をいかに育てる仕組みを備えるかが経営上のポイントとなります。

 

あなたの部下育成の優先順位は何番目か?

期の節目での工場の管理職が集まった会議での話です。
 損益と生産性から考えると、課題がなかなか出てこない様子です。しかし、現場では、重なる残業に対する労働意欲や社員モラールの低下、それに伴いミスロスが発生しています。

上司は現状に危機感を持ち、全体視点で考え、自分の部署の改善方針を考え、社員へのリーダーシップ・姿勢を示し現場改革をする必要があることは明白です。

 現場改革を実行し、その上で生産性の向上を阻害している要因は何か、ということが議論されなければなりませんが、現状ではそこまで視点が向いていないように感じました。

 ・・・端的に言うと、外部要因(製販の意見の相違、他部署、顧客の要望、経済環境の変化、などの責任にした議論)をいくら議論しても、工場のレベルは上がらない、という視点です。

 いつまでも、社長に言われた通りに、言われたことをやるというレベルを脱却する必要がありますし、社長がいつまでも指示を出さねばならない、その真意を本当に理解し未来に向けての成長をイメージした時、上司がまず仕事の姿勢を変えなければならないのですが・・・。

 しかし、この工場の場合、そこで話が断絶しているようでした。

 本音は「自分だけが変えても、部下含めて社員は変わらないのではないか?毎日部下にはこうしろ、ああしろと言っている。しかし、変化することはなかった」とある上司は諦めている様子でした。

 

スキルを教えるだけが部下育成ではない

上司だけが考えても改革は進みません。
 現場の社員と心を合わせ、全員で改革行動に取り組まなければ目に見える数字には現れてこないものです。

 では、どうすれば部下と心を合わせられるのか?

 そのためのベースにあるものは、部下との接し方、その方法を変えることであり、育成側の「人の育成に対する考え方」を変化させることに帰結します。

 この考え方を上司は真剣に再認識することから始めるべきです。

 上司は、部下育成とは「部下にスキルを教える」こと、と認識していました。しかし、今の工場のように社員モラールが低下している場合はスキルアップと共にそのベースである部下との「絆」、信頼関係の構築に焦点を当てなければなりません。

 現場改革をする上で、大切なことは、「社員との信頼関係が弱い場合、部下育成は機能しない」という原則です。

 仕組みとして構築している、例えばスキルマップやスキルアップ目標の運営に気持ちが入らない。すると、本人と部下の頭の中の優先順位が下がり、忘却されるとともに仕組みが形骸化していくという悪循環に陥ってしまいます。

 

部下育成ができる上司の4つの視点とは

 上司と部下の信頼関係を向上させる「必須の4ポイント」をお伝えし、上司の皆様に現状を再認識してもらいました。

 1・困難を乗り越える共通体験

2・良い点を認める(本音で)・・・操作主義は偽物

3・部下に責任を持たせる

4・部下の成長を真剣に願う

 

最低限、この4つの視点を持ち実践ができていなければ、上司は部下から信頼されるリーダーとはなり得ません。この4つの要素はいずれも目には見えないため、上司はその背中で示し行動を変えなければなりません。

 そのために、まずは、

1・部下一人一人の成長目標を描く

ここを部下の成長を考え真剣にやれなければ、そもそも部下との接点がありません。したがって、育っても育たなくても、部下にかける言葉もない。だから、面談が形骸化する。継続しないのは当たり前なのです。

 

2・毎週の面談で、指導も必要だが1つは「認める」ことから始める

人は、自分のことを認めてくれる人の話しか聞かないものです。褒めろ、と言っているのではなく、目標に対してその行動をした、という事実を「私は確かに認めたぞ」という意思を伝えることです。

 

→その上で、まずは本人の現状のスキルレベルの共通認識を持たねばならず、その判断基準を示さねばなりません。ここで、信頼関係が壊れないように、相手の現在を「承認する」という姿勢が上司には必要です。これは、「現状このレベルだから、ダメだ、頑張ってもらわないと、」という一方的な視点ではなく、相手の成長を信じ、それを責任持って支えるという覚悟が伴います。

 

(会話例)

「俺は(今の相手のスキルレベルは)こう思っている、しかし、この役割はお前は誰よりも頑張ってくれているのをいつも見ている、でも、これからの工場の未来を考えたら、もっとお前には活躍して欲しいし、責任のある立場、役職にもついて欲しいと真剣に考えている、だから、現状維持では俺は満足しない、今後は(いつまでに、という期限)ここまでは成長してほしい。この仕事を任せたいと思うがどう思うか?」

・・・上司に、部下を育て上げる覚悟がなければそもそも人の上に立つ資格などないのです。

 

 操作主義の弊害

 上司の会話の中から、部下育成の話になった時に「あいつは褒めとけばいい、うまく使うことだ」といった発言を時折耳にします。・・・これは危険な傾向で、社長は注意しなければなりません。

 人間とはこのように単純に、お手軽に信頼関係が深まるようにはできていません。人間には心があり、うわべでなんと言おうともその心を見抜くものです。

上司は、常に、言葉を弄するという方法論からは離れ、真剣に部下のことを考え、「困難をともに乗り越え、一緒に成長しよう」という姿勢を行動で示さねばなりません。

 部下育成とは、常に部下に見られている自分自身の言動を意識するということです。一朝一夕には人間は変わらないが、意識するかしないかは今ここからすることができると認識するかどうかです。

 

 目指すのは、「本物のチーム」

 ここまで、事例を交えてお伝えしてきましたが、

上司と部下の信頼関係のベースができていない場合、現場においてはこのような4つのポイントの浸透と習慣化ができうる仕組みを構築していくことが必要です。上司と部下が成長目標の進捗を確認できる仕組み、また上司同士においても定期的にお互いが自部署の部下の成長度合いを確認する仕組みです。

 その際、「自社の社風にあった独自の仕組み」を設けることが機能させるためにはとても大切なポイントです。

 構築した「仕組み」を動かすのは、目に見えない信頼関係の強い絆のある「本物のチーム」でなければ成果にはつながりません。

 社長はその信頼関係のレベルを見極めることが大切です。

 

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