トップ > 第47話 社長の仕事は「ボトルネックを探し解消する」こと。

第47話 社長の仕事は「ボトルネックを探し解消する」こと。

  プラチナ社員づくり 園田信二 SPECIAL

「ソノダさん、うちの社員は皆が皆、”社長から言われなくても、自分たちでやってみよう・・・”という気概がなく、げんなりです。」顧問先の社長の言葉です。聞けば、毎月、毎月、納期には間に合わないし、ミスも多発しているのに、社員同士で話し合うわけでもなく、事態を放置している。会社や顧客に迷惑をかけているという自覚が無い・・・というのです。

私から「社員同士が、どのタイミングで、何を話し合うのか、決めていますか?」「社長が率先して、それを決めるだけで、社員のやる気も出てきますよ。」と申し上げましたが、社長はいまひとつ面白くないようです。

それもそのはず、納期が間に合わない、ミスが多発している・・・そうした状況を改善できるのは、社長が率先して、仕組みを作るしかないんですよ・・・、社員に丸投げじゃ上手くいきませんよ・・・と社長としての責任を自覚するよう促したわけですから。

実は、かくいう私も、前職において、300名余りの社員のシフト勤務表を作成する現場にいたのですが、勤務表を作成するスタッフの残業時間は異常に長いのに、寝食を忘れて作った勤務表も抜け穴だらけで、誰かが風邪で休んだだけで、勤務変更が多発し、勤務表がぐちゃぐちゃになっていきました。結果として、顧客にサービスが提供できなくなったこともありました。

毎月、毎月、そんな状態ですから、300名余りの社員もあきれ返って、勤務表を作成するスタッフをバカにするようになりました。そして、あろうことか、プライベートな事情を優先して、自分に都合の良い勤務アサインをごり押しする雰囲気が一段と強まり、一部の社員だけが得をする、全く公平感のない勤務割となっていました。異常事態が発生して、シフトが回らなくなって、スタッフが懇願しても、快く出勤してくれる社員は、ほんの一握りでした。

社員が自律的に課題解決にあたるためには、まず第一に”公平感”を確保することが肝要です。なぜなら、社員の間で「この現場で公平に扱われている」という感覚が希薄となれば、まずは、自己保身に走らざるを得ず、組織が抱える課題解決に対する当事者意識は希薄となるからです。

その当時の経営者たちは、こうした事態を目の当たりにしても、急激な事業拡大のためなのだから仕方ないとでも思っていたのでしょうか、「残業時間が規則を超えないように工夫しろ!」と声高に叫ぶことはあっても、なぜ、残業時間が異常な長さになっているのか・・・その本当の原因を探ろうとはしませんでした。

経営者のこうした態度は、社員には”現場に無関心な経営者”として映り、経営者に何を言っても無駄・・・という疎外感、不信感を彼らに抱かせ、経営者ではなく、会社外の組織(例えば労働組合)に頼る、訴えるという行動を助長するだけでした。

相談する組織を間違えると、ボトルネックの解消など全く関心がなく、社員の経営者に対する疎外感や不信感だけを利用して、労使紛争に引きずりこまれることもあるのです。

この職場では、公平感の希薄化→自己保身→経営者の無関心さ露呈→疎外感・不信感→労使紛争という、セオリーどおりのことが起ころうとしていたのです。

その後、辛くも労使紛争の激化に至らず済んだのは、「有給休暇を取得する手続きを適正化した」からです。異常な残業時間を生み出していたボトルネックは、「取り放題の有給休暇」だったのです。ほぼ全ての有給申請を実現しなければ、労働組合から攻撃される・・・、期限内にシフト勤務を完成させなければクビになる・・・という2つの恐怖に板挟みになって、スタッフはとんでもない残業をこなしていたのでした。

当たり前のことですが、有給休暇は直属の課長の承認が必要とし、課長に対しては、業務の繁閑や、有給の取得実績など、スタッフから必要な情報提供を行いました。情報提供を効率的に行うために、どのタイミングで、どんな情報の摺り合わせを行えばいいかを考えて、必要な会議を月次の工程の中に組み込んでいったのです。

社員の気概や自主性だけを求めるのではなく、ボトルネックを洞察し、直視して、必要な仕組みを作る。そうすることで、まずは、社長が率先して、社員の公平感を醸成する。これこそが社長に言われなくても自律的に働いてくれる社員を育てる土台になるのです。

 

月刊誌(無料)登録フォーム

×