トップ営業が会社を救う

今日は親子経営企業の強みを活かし、その真価を発揮する具体例の二つ目の話。
【トップ営業が会社を救う】
いつお伺いしても社長が必ず在社し、一日中、社長室に居るという経営者に時々出会うことがある。業績が思わしくなく、売り上げが停滞している。売り上げが右下がりになっている。にもかかわらず、いつもと同じ様に一日中社長室に居るという経営者がいる。
私が少し意見めいたことを言うと、返ってくる言葉が決まっている。「先生、うちは役員はじめ社員に任せていますから。私が今さら出る幕もないのですよ」と、宣う。
この経営者も創業からご自分で営業を必死になってやってこられてきたはず。会社が大きくなるにつれ組織が出来上がり、いつのまにかご自分が外に出て営業することが無くなってきたようだ。
役員、社員に任せることが経営者の役割だとでも思っているのかもしれない。親子経営企業のみならず一般大手企業においても、トップが自ら動くことの影響、効果がとても大きいことは言うまでもない。
特に親子経営企業企業においては、取引先が同じ親子経営企業であることは多い。よって、経営者同士の繋がりが、取り引きの最大の要因であることは当然のこと。企業のトップが自ら率先して動くことは、社員に緊張感と安心感をもたらすことになる。
例えば、社員が何度も訪問しているけれど、なかなか契約にまでいかず困っているとき、トップが同行してくれたことで成約に至ったなどというケースがあるだろう。また、大型案件の交渉には、初めから経営トップが直接関わり、成約に繋がっているということもあるだろう。
さらに、経営者が担当者と共に同行し、取引先に伺うことにはいろいろな効果がある。相手先担当者に、社長が同行し挨拶をすることで、相手先担当者の対応がそれ以降変化し、良くなることがある。
また、わざわざ取引先社長が担当者に挨拶に来てくれたということで、上司を呼び同席させようとしてくれたりする。なかには丁度、相手先経営者が在社しているからと、経営者同士を会わせてくれたりすることがある。
私自身、かつて商社を経営していたことがあるからかもしれないが、経営者はトップセールスマンであるべきだと思っている。営業担当社員、直属上司、そして経営者の三者がそれぞれの役割を担い、互いに連携を取りながら案件に取り組めばいい結果に繋がると確信している。
しかし、残念ながら結構多くの経営者が出社してからずっと社長室に籠ったまま出てこない。その経営者が会社を出るのは昼飯を食べに出るくらい。気にかかることがあると、役員、社員を社長室に呼びつけている。
私が知る経営者にも幾人かいる。好況のときはそれでもよかった。やがて、業績が停滞し始め、しばらくすると業績が右下がりに転じる。それでも、その経営者は社長室から出ることはない。
このようなケースでも、後継者が育っていれば、経営者に代わって営業することで何ら問題はない。ところがそうは上手くいかないことがある。得てしてこういう会社に限って、残念ながら、後継者がまた上手く育っていないのだ。
創業からいろんな苦難を乗り越え、業績が上向き、会社の規模が大きくなり、それなりの組織が出来ている。経営者が自ら動かずとも役員や社員が頑張ってくれている。今ではすっかり彼らに任せきっている。
ところが、昨今、どうも業況が思わしくない。さて、どうしたものか。そんなとき、会社のオーナーとして、今一度、重い腰を上げて欲しい。長年、社長室から動かなかった社長がまた、動き始めた。
聞けば、社長自ら取引先の社長を訪問し始めたという。役員たちもうかうかしておれなくなり、なにやらやたらと動き回っている。営業マンは取引先へ、上司の同行をお願いしている。会社全体の空気が何やら変わったようだ。
経営者のトップ営業が会社を救う。
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