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PDCAで経営がうまくいくという幻想

  キラーサービス(特別対応の標準化) 中川洋一 SPECIAL
中川洋一 SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所 代表取締役 中川洋一

経営革新コンサルタント。特別対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特注ビジネス」づくりの専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

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PDCAを廻すことが大事だと巷ではよく言われています。使い古された用語ですが、近年ではビジネス本のネタになったりしていることもあり、よく目にしたり耳にしたりします。

計画を立てて、実行して、結果を評価・検証し、改善する…。

一見正しそうに見えますが、結論から言いますと、このサイクルをいくら廻していてもビジネスでの進化は見込めません。

そもそもこのPDCAという考え方は日本だけで使われている和製英語です。
「仕様(Specification)→生産(Production)→ 検査 (Inspection)」という、今では当たり前の品質統制のサイクルを提唱したシュワート氏。その弟子であるデミング氏が、
「設計(Design)→生産(Produce)→販売(Sell)→再設計(Redesign)」という、これまた今では当たり前の商品開発サイクルを提唱し、彼の日本講演を聞いた日本人がこのPDCAという言葉を思いついたと言われています。

そんなPDCAもその起源であるシュワートサイクルのように、品質管理といった限定的な領域で使われているならば問題はないでしょう。P:計画を立てて、D:作ってみて、C:検証(検査)し、A:修正する。この場合の計画とは仕様や合格基準ということになりますが、そういった基準がないと品質管理にならないのは当たり前の話しです。

しかしこのPDCAが経営レベル、事業戦略レベルで語られているためにおかしなことになっています。

巷で行われているPDCAサイクルというのはせいぜい以下のようなものです。

P:上(経営陣)が前年実績を踏まえて業績計画をつくる
 D:社員の尻を叩いて計画達成を迫る
 C:社員は未達の理由を捏造する(もしくはひたすら謝罪する)
 A:再びDを繰り返す

Cで計画が達成されたとしても同じことで、よくやったと社員を褒め、計画をさらに積上げてまた同じサイクルに入っていくだけのことです。

このサイクルの何が問題かというと、最初の出発点であるPの「計画」が、単にこれまでの事業の中身を踏襲した上での売上利益計画にとどまるということです。

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本来、そういった数字の計画というのは、まず事業戦略があり、それを戦術レベルに落とした打ち手の計画があり、その打ち手の成果の仮説が数字で示されるべきものです。しかし、実際は戦略レベルでの検討なしに、これまで通りの考え方で数字がつくられている場合がほとんどです。

そう言うと「いや、うちは戦略レベルで顧客開拓やコストダウンの方策についていろいろ考えていますよ。」と言われたこともあります。

しかし、もしその事業が、例えば自動車部品の下請け業だとしたらどうでしょうか。

親(または親の親)である自動車メーカー自体が単独で生きていくことは難しく、数年後には自動車メーカー同士の提携や複数企業のコンソーシアム形成といった流れはますます加速するでしょう。

車種が減り、台数が減り、またEV化で部品点数も減る。そうなったときに起こるのが下請けの整理です。そんな業界トレンドが見えている中で、量をこなす、コストダウン要請になんとか応じる、といった従来の戦い方では非常に危険ということは、もう大げさな話しではないということになります。

そうであれば、従来の下請け業での数字は追わずにむしろ減らして、その分今期は自社規格商品やサービスの開発に注力する、といった戦略オプションもあり得るわけです。

自動車業界のように100年に一度と言われるパラダイムシフトに直面した業界でなくても、プラットフォームの変化やニーズの多様化がますます進むこれからの時代において、戦略レベルでの思考を抜きにして、従来の事業モデルを踏襲した業績計画を出発点にすることは非常に危険です。

もちろん、数値目標を達成することのこだわりを持つことはビジネスにおいて非常に大切です。しかし、それはあくまで戦術レベルであり、社員レベルの話し。もし、今後の業界トレンドを見極めたうえで、自社の事業モデルが「負けの構造」であるならば、いくら計画のPDCAを早回ししようが見える化しようが、企業は救われないということです。

構造は主体に先立つ

いくら社員一丸で頑張っても、大きな産業構造の変化には抗えません。経営者は、社員とともに目の前のことに一所懸命がんばるという視点だけではなく、自分たちを取りまく潮流を見極め舵取りをするという視点を持つことが必須です。

神視点で現状と未来を客観視し、PDCAの出発点である「計画」、その大本である「戦略」から練りこんでいきましょう。

 

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儲かるキラーサービスを つくる社長の視点
中川洋一

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所代表取締役

中川洋一

執筆者のWebサイトはこちら http://ksli.co.jp/

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