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上昇スパイラルの原則

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商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

今、商品リニューアルは「見た目」が命。生活者から見て素敵な商品サービスであふれる今の時代、商品パッケージの見た目が生命線です。世の気分のちょっとだけ先を見て商品の「見せ方」をリニューアルすることがたいへん重要になっています。しかし一般的に“インスタを使って〇〇、動画を使って〇〇”という講座やコンテンツがフォーカスされ、それだけを取り出して「売上アップ」に帰着させる情報商材であふれています。

ITは道具です。こうした新しい道具を知っておくことは大事です。しかし大事なことは道具よりも、それを使う人の「考え方」です。ゆえに、わたくしの商品リニューアルでは「順番」を徹底してお伝えしています。「考え方」があり「見せ方」があり「伝え方」「売り方」がある。この順番を非常に大事にしております。

先日、消費財メーカーの経営者さまからのご相談がありました。既存商品をリニューアルして新商品としてリリースしたい、ということで試作品の企画書をお持ちでした。お話を伺っていると「最近〇〇がヒットしているみたいだからこんなイメージで・・・」と頭の中で、すでに「絵」を描いておられるようでした。

当コラムでもくり返しお伝えしていますが、モノが溢れている時代だからこそ基本に立ち返り、自社商品サービスの本質的な考え方を再構築することです。

食であれば、今のお客様が何をもって「おいしい」とし、何を求めているのか。その上で、誤差はないか、自社が「おいしい」をどう定義しているか。サービスとは、価値に対するプライシングの考え方はどうか。さらにSNSを通してすべてが筒抜けの時代ゆえパートナー会社との関係づくりの考え方はどうか(搾取しブラックになってはいまいか)。今の時代は企業姿勢までもが「商品サービス」として見られています。このような考え方を構築した上での「見せ方」です。

(2019年4月9日現在)、コンビニのローソンで販売しているスイーツ「バスチー」が大ヒットしています。バスチーは「チーズケーキ」の商品リニューアルです。要冷蔵スイーツで価格は税込215円。コンビニスイーツの中では高価格帯に位置しています。黄色いパッケージに黒の極太ゴシックで商品名が書かれ斬新です。「新食感」「新しさ」をコンセプトとし、若者世代をターゲットにしています。通常のヒット商品の倍ペースで売れ、同社の「プレミアムロールケーキ」が2009年に発売、大ヒットし当時5日間で100万個でしたが、バスチーは326日に発売し3日間で100万個突破。

バスチーはそもそもはフランスとスペインにまたがるバスク地方で食べられているチーズケーキから着想され、ローソンの商品開発担当者は「ヨーロッパ中をまわって“このチーズケーキだ! 売れる!!”と確信した」といった開発ストーリーを展開し、今までにはない「新商品」として売り出しています。

実際には、すでに東京にバスク風チーズケーキ専門店がありました。これはインターネットで調べればすぐわかることです。ですが、こうしたことを知っている人は一部のお菓子マニアとプロだけで、一般的には「パッケージ」を見て「今までなかったな」と感じれば、それが新商品として認知されます。

さらに「バスチー」という名前そのもののお菓子はありません。「バスク風チーズケーキ」を短くしたアレンジしたオリジナルの造語で、これも新しさを感じさせます。味わいもよく、山崎製パン製で商品自体の食感や味のバランスは良好、誰からも愛されるリピートする価値のある商品となっています。半熟カステラとして人気があったポルトガルの伝統菓子「パン・デ・ロー」にも似ていて、スイーツ好きの40代以上のマニアにとってはどこか懐かしさがあります。若年層と40代以降の層も両方とれる商品リニューアルです。

商品自体のおいしさ。そしてインパクトのあるパッケージデザイン、わかりやすいネーミングといった見た目のトレンド感。さらに今、発酵商品である「チーズ」が再注目されていて、日本酒とのマリアージュが話題になっています。トレンドをつかんだ商品で、ヒットへの工程がしっかりとできています。

大手企業の場合、新商品開発といっても新たにラインを増設すれば3,000万は下らない数千万単位の設備が必要となり、失敗は許されないのが現実です。何よりコンビニスイーツの中でもチーズケーキは当たり外れのない人気商品。おそらく既存チーズ商品、既存ラインを活かしてという「お題」だったのではないかと想像できます。

企業の事情はどうであれ、このヒットから受け取ることのできるエッセンスは、時代が変わってもわたくしたち生活者は「新しい何か」と出会いたがっている、ということ。そして商品リニューアルのアイデアは無尽蔵だということです。基本的な考え方、知恵と工夫、決断、マーケティングの徹底、事実と検証と改善、情熱と執念と習慣と、、、すべてがつながっている包括的な仕組みがあってこそ「リニューアルヒット」が生まれるのです

しばらくの間「バスチー」の類似商品が増えるはずです。しかし人の興味は移ろってゆきます。付け焼き刃でヒット商品を「真似る」「パクる」といった姿勢では、企業は進化してゆきません。その先にあるのは「死」です。まったく違う次元で「新しく」生まれ変わることが要請されています(もちろん「真似る」は「学ぶ」の語源であり、考え方の定義によってはとても重要な姿勢だと考えています)。

大手企業であろうとヒットを出すために悪戦苦闘し、日々商品リニューアルによって事業を進化させるべく努力をし、実践しています。中小企業においては、弱みこそが「強み」です。大手企業では決してできない、やりたくてもやれないユニークな独自の商品リニューアルを構築することができます。とてつもない宝を秘めています。他社のヒット商品をパクるといった視野狭窄ではなく、視点をあげることです。成功も失敗も過去事例のエッセンスを取り出すことがコツとなります。付け焼き刃か本質か。御社の未来は、経営者であるリーダーの考え方がすべてなのです。リニューアルヒットを飛ばしましょう。可能性は無限大です!

 

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