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“お客さまこそが最高のコンサルタント”の真意

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

秋の増税を機に商品アイテムの絞り込みをはじめ、商品リニューアルによるブラッシュアップ、新規商品投入など変革に取り組まれている企業が増えています。わたくしどもも、こうした流れを受けて、今秋から予定されている消費税率10%の税制変更を前に、生活者の「増税」に関する意識調査に参画しております。先日参加した消費者座談会でのことです。増税に関する質問をし、自由に意見を出してもらいます。こうした場合、ふつうの感覚で期待するのは、「秋から〇〇を買わないようにして、きりつめる」とか「△△を活用して節約する」といった具体策が次々と出てくるものだと考えます。

しかし、参加者の多くが口にしたことは、「使う量を節約したり、お金を倹約することは、いまや当たり前の感覚」「増税だからといって特に意識することはない」「今ままで節約倹約はさんざんしてきたこと。今までと同じ感覚」と話しておられました。さらに、お金を殖やす方法として「投資」をあげていました。

先日女性の就業者数が初の3000万人超えで話題になりました。これらから、イマドキの生活者=主婦たちは「倹約・節約」「投資」「働く」の3本柱を積極的に回しながら、「やりくりする」ナマの姿が浮かび上がってきました。

一方、世の中に出ている多くの意識調査の多くは「税率10%増税後、節約と倹約意識が高くなる」と伝えています。しかしお客さまの生活実感はもっと進んでいて、すでに倹約志向。「もう今までさんざん、きりつめてきた。これからも変わらない」という感覚です。.

確かに、100円均一、300円均一のお店は飽きられることなく、ますます進化しお客さまから絶大に支持されています。また、倹約したい時の“かさ増し”野菜として人気の「もやし」は、いまやほうれん草よりも生産量が高くなっています。東日本大震災直後、仲の良いママ友たちが「もやしばかり食べている」と言い“かさ増しレシピ”を交換し合っていたことを思い出します。「トレンドワード」で調べれば、この5年で「もやし」は上昇し続けています。メディアで話題になり、たくさんの人が反応していたことがわかります。

商品リニューアルを企画をするときに、生活者が「これから倹約する」と発想するか、「もうすでに倹約している」と発想するかは、大きな分岐点となります。仮に「生活者の“きりつめ感”はすでに当たり前の生活姿勢として定着している」。「きりつめ感が沸点に達している」という視点を持つだけで企画内容が変化します。10%税率増税ショックがあるのかないのかを見極めることで「だれに・なにを・どのように」提供するかが変わってきます。

一方、作り手の現場では、多くの経営者さまが「自社の成功事例は〇〇」といった過去の成功ヒストリーを非常に大事にしておられます。商品サービスを提供している企業としては当然の姿勢です。しかし、商品リニューアルにおいては、過去の成功事例、成功体験が事業にとってプラスに働くことはありません。増税ひとつとっても、生活者のマインドに変化が生じています。

今の時代は褒めて伸ばす、長所を伸ばすことが讃えられる時代です。しかし、ビジネスにおいては真逆の姿勢が非常に重要です。わたくしどもでは、しっかりと「自社商品へのダメ出し」ができるようお導きしています。それはなぜか。既存商品サービスを買っていただけないのは、お客さまから見たときに「何かが違う」からです。嫌い、好きじゃない、興味がわかない、知らない、意味がわからない、といった、お客さまからみて「しっくりしない」何か、違和感やギャップがあるからです。

商品リニューアルに限らず、ビジネスの基本は「自分の間違いに気づく」ことです。視野を広げ、視点をあげて、自社商品を客観的に批判的にみることが必要不可欠です。自社商品に対するひいき目め、思い込み、常識を捨てることが「商品リニューアル成功のルール」です。お客さまに自社商品サービスの悪口、イヤな点、不快な点、嫌いな点を言っていただく仕組みがなければなりません。仕組みを作る前に、受けとめて、商品リニューアルの具体策に活かす積極思考、そして行動工程が構築されてなければなりません。

まずは、お客さまのナマ声に耳を傾けましょう。わたくしどもは、そのお客さまと企業をつなぐ“通訳”であり、代弁者です。「お客さまこそが最高のコンサルタント」だと考え、自社商品サービスを客観視する仕組みを構築することが要請されています。

 

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