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管理者や社員に、すべての情報を与えるのは間違い!?全社員で経営方針発表会、決算書をオープンにする、委員会を立ち上げる・・・に潜む問題とは

  年商10億事業構築 矢田祐二 SPECIAL
矢田祐二 SPECIAL

年商10億事業構築コンサルタント

株式会社ワイズサービス・コンサルティング 代表取締役 矢田祐二

指導暦18年、これまでに200社以上の実務コンサルティング実績を持つ経営コンサルタント。「10億円事業構築」に強みを持ち、直近5年では、導入後数年で年商数億が10億越えをした企業は20社以上と驚くべき成果を出している。

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M社は、年商4億6千万円が3年で9億円を超えるまでになりました。
3年前を思い出し、M社長は言います。
「ベンチャーごっこをしていました。」

その当時のM社では、次のような取組みをしていました。
・年に1回の経営方針発表会。その日は全社員が集まっての大盛り上がりのイベント。最後には、全員そろって写真を撮ります。
・社員教育のための取組みを沢山行いました。外部の研修はもちろんのこと、社長塾を開きます。終了後は、コンパを行います。
・社員の採用は、新卒がメインです。そのため非常に若い職場です。
・社長の日々や社内の様子をSNSにより発信します。
・テーマごとに委員会を立ち上げます。

これらの取組みや会社の雰囲気をM社長は、「ベンチャーごっこ」と表現をされたのです。そして、言われます。「それで事業は大きくなると信じていました。」


組織には、『情報統制』が必要になります。
情報を統制することで、組織を統制することを行います。各部門を適正に動かすことができます。また、それによりスタッフの働きやすさやモチベーションを高めることができます。その結果、組織として成果を上げることができます。

情報の流れや量をコントロールすることで初めて、社長は、組織を適正に動かすことができます。

経営層から管理者層、現場層(判断層と作業層)という上から下へという流れがあります。経営に関する情報は、経営層が一番沢山持つことになります。それに対し、現場情報は、主任や班長という判断層や作業層の現場スタッフが持つことになります。

その上下の情報の中心にいるのが、管理者層です。
経営層からの情報を、現場層のプラスになるように伝えます。量やその伝え方により、現場層がより効率的に稼働できるようになります。また、会社への信頼度を高めることもできます。

現場情報を、経営層にも上げます。経営判断に必要な情報を整理し、上に流します。その情報の出来やタイミングによって、経営層は、適切に判断を下すことができます。

この情報伝達のキーマンである管理者が機能しないと次のような現象が起きます。
・管理者層が、現場スタッフに会社への不信感につながるような情報を伝える。
・人間関係の相談や就業に関する要望などが、現場層からダイレクトに社長に伝えられる。
(これらは、管理者の問題でなく、仕組みの問題であることは何度もお伝えしてきた通りです。)

また、部門によっても必要となる情報は大きく異なります。営業部には熟知しておいてほしい方針も、管理部では耳に入れておく程度の方針となります。
お金に関するデータも、製造部と財務経理では、その「加工」の仕方が異なります。

組織内の情報は、膨大なものとなります。それを組織の全員が同じだけ持つことは到底不可能です。また、それは全く必要が無いことです。その組織内の情報を分担しているのです。それを「分業」と言うこともできます。

情報を統制できないと、弊害を起こすことになります。多すぎる情報は、人を惑わしたり、混乱を引き起こしたりします。その結果、目標に対する集中力を失うことに繋がります。情報統制のまずさが、組織の力の源泉である分業の機能を貶めることになります。

組織運営において、組織の構成員全員が、同じ情報を持つことは正しくないのです。情報統制、すなわち、情報の流れや量をコントロールすることは、組織運営の原則です。その仕組みを整え、その具合を調整することで、組織の活力を高め、成果を得ることができます。

年商数億から年商10億への変革をする時に分業の仕組みを獲得することになります。その分業の仕組みとは、情報統制の仕組みと言えます。

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情報統制の一環で、経営計画書を作成します。
そのため、経営計画書も、意図を持って作ることになります。

経営層や幹部層に、戦略的な目標の実現に向けて動いてほしいのであれば、経営計画書もそのようなつくりになります。全社的なビジョンから方針、今期の目標と行動計画、そして、その背景や狙いもしっかり伝えることになります。また、リスクや撤退条件、そして、使える資源や報告頻度なども含めます。この層に対しては、検討段階の内容も共有しておきます。数日を掛けることになります。

それに対し、現場層の班長やスタッフに対しては、知っておいてほしいこと(守ってほしいこと)を伝えるための経営計画書になります。当社の事業定義や、会社のビジョンや方針、今期の重点目標など。それらは、幹部向けのものよりはかなり「粒度の大きいもの」になります。情報を絞ることで、メッセージが残るようにします。
そして、その共有のための会は、皆で頑張ろうという意欲向上や全員の共通認識を形成するという場になります。数時間となります。

「部門をどう動かしたいか」、「誰にどう影響を与えたいのか」により、経営計画書のつくりは変わるのです。そして、その共有の仕方も変えることになります。

組織を動かすためには、経営計画書の種類は一つでは足りません。経営計画書が、情報統制のツールである以上、その意図や対象に応じ、それを加工する必要があります。


その当時のM社長は、これらを「良い経営」と考え、取り入れていました。
・経営計画書は全員に同じものを配布。全員一緒に経営方針発表会。そして、社長の「考えていること」も多くを発表していました。
・そのイベントでは、社員の表彰があります。そして、全員での記念撮影です。涙を流す社員もいます。
・社員教育を沢山行いました。テーマは、人間性や生き方についてです。著名な講師も呼びました。その後は、社長や役員も参加してのコンパです。
・社員の採用は、新卒をメインとします。求人媒体で、「生き生き働く社員」、「チームワークの良さ」を発信します。
・アイディアや意見を出してもらうための会議を開きます。「職場生き生き」や「顧客満足度向上」というテーマの委員会を設けます。

社員数は、40名を超えていました。このころには、会社としての停滞を感じるようになっていました。売上げの伸びが小さくなっています。売上げが増えるとすぐに混乱します。

そして、生産性も落ちてきました。10名ぐらいの規模の時には、一人当たりの年間の稼ぎは1200万円ありました。それが、900万円まで落ちています。M社長は、疑問を持つようになっていました。
「事業を成長させることに、今の取組みは繋がっているのだろうか」

より組織が内向きになってくるのも感じます。打破するための意見を求めると、管理者からは「社員教育の強化」や「情報共有の場を増やす」、社員からは「お客様を感動させます」や「もっと頑張ります!」と返ってきます。

会社を去る社員も出るようになりました。それも優秀な社員から辞めていきます。

その当時を、M社長は次の様にように表現します。
「ベンチャーごっこ」

いまなら当時の取組みの不効率さや無駄さが解ります。今は掴めています。
・上位職者に必要なのは教育、新人に必要なのは訓練。
・経営計画書の「作り分け」と、経営発表会は2回開催。
・委員会を立ち上げる本当の目的。委員会で扱って良いテーマと悪いテーマがある。
・新卒である必要は全くなし。中途採用者の活用こそが会社を飛躍させる。
・管理者が機能するためには、必要な仕組みがある。
・決算書をそのままオープンにはしない。会社の数字は加工して渡す。

現在のM社に、当時のような浮いた感じは全くありません。
全員が黙々と自分の業務を行っています。業務は坦々と回っています。

3年が経った今、年商は9億を超え、生産性も1200万円に戻っています。
M社長は言われました。「今のほうが、社員は本当に楽しそうに働いてくれます。」

いまの世の中は、情報で溢れています。その情報を得ることも簡単になりました。
そして、その情報は、どれもが魅力的に見えるように加工されています。その情報の裏には、誰かの意図があります。

誰しもが、情報との付き合い方を学ばなければなりません。そうでなければ、惑わされたり、踊らされたりすることになります。

経営者は、更にそれを覚える必要があります。
経営者を取り巻く環境にも、情報が溢れています。その情報には、やはり誰かの意図があります。

何が経営の原則なのか。何が自社に必要なのか。
社会に影響を与える事業、多くの社員の人生が関わる会社、それを導く社長だからこそ、自身の情報統制が必要になります。

 

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年商10億円への経営視点
矢田祐二

年商10億事業構築コンサルタント

株式会社ワイズサービス・コンサルティング代表取締役

矢田祐二

執筆者のWebサイトはこちら http://www.yssc.jp/

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