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F社長の奥様の頑張りも限界。社員数が10名から20名に増える時に、意図して社長が取り組むべきこととは。

2020年2月27日 年商10億事業構築 矢田祐二 SPECIAL
SPECIAL

年商10億事業構築コンサルタント

株式会社ワイズサービス・コンサルティング 代表取締役 矢田祐二

指導暦18年、これまでに200社以上の実務コンサルティング実績を持つ経営コンサルタント。「10億円事業構築」に強みを持ち、直近5年では、導入後数年で年商数億が10億越えをした企業は20社以上と驚くべき成果を出している。

当コンサルタント開催セミナーがあります。

F社は、健康系サービスを展開しています。この日のコンサルティングも、夫婦でのご参加です。

席に座るとすぐにF社長が、口を開きます。
「昨日、お客様からのクレームがありました。終わったらすぐに戻って、そのスタッフ達と話さねばなりません。」
F社でも、会社が大きくなる過程で、多くの問題が起きていました。

「このような場合、少しきつめに話をしたほうが良いのでしょうか。」
そう言われるF社長の横で、奥様が下を向いています。まるで、彼女が叱られているようです。


人を動かすためには、二つの段階を踏む必要があります。
一つは、「スタート」の段階です。もう一つは、「継続する」という段階です。
それぞれに必要になるものを知り、それぞれに手を打っていきます。

スタートという何かを始める段階では、『巻き込み』が必要になります。
人を動かすためには、本人のやる気と納得感を引き出す必要があります。
人は、「自分が何かを生み出す場合」に、やる気が起きるものです。また、その取り組むべきことに納得できた時に、受け入れることができます。

この『巻き込み』で有効な手の一つが、次のものになります。
『案の作成から依頼する』


「新たに採用のためのホームページを作りたい。企画書をつくってほしい。」
「電話注文の受け方を、マニュアルにまとめてほしい。」

そして、その際には、その意味や背景も伝えておきます。
「今後も仕組化を手伝ってくれる人材を採用していきたい。自社の考え方をしっかり解ったうえで応募してほしい。」
「増える注文に対応するために、コールセンターのスタッフをどんどん増員したい。そして、交代で休めるようにもしたい。」

本人がその案をつくることで、その仕事をより深く考えることになります。そして、自分が仕組みづくりに参加していることを感じます。その結果、その後も、その業務に興味と責任感を持つことになります。

そして、『継続』の段階に移ります。
継続のためには、その『仕掛け』が必要になります。
・採用のためのホームページの更新予定を、行動計画書に入れておきます。
・マニュアルの更新と勉強会を2か月に一回行います。スケジュールに入れます。これによって、すべてのマニュアルが毎年見直しされることになります。

予め、人との繋がりを準備しておくことで、強制力をつくり出すことが出来ます。また、目覚ましを仕込んでおくことで、忘れを防ぐことができます。

この、スタート時の『上手な巻き込み』と継続のための『仕掛けづくり』ができて、一つの施策が定着し効果を発揮します。それも、社員の手によって、です。

この『巻き込み』と『継続のための仕掛け』が下手な社長は多くいます。
・採用のためのホームページを社長と業者で作成します。
社長と業者で進めるために、社員はそれを「他人事」と受け止めます。その後も、採用関係のことに興味を持つことはありません。

・注文を受ける時のマニュアルを「つくってください」と指示を出します。その際に、その趣旨や狙いを伝えません。
そのため、やる気が起きません。言われたから作っている状態になります。その結果、創造力の全く感じられないものが出来上がってきます。「自分は言われたからつくっている。この仕事は社長のもの」という認識です。

そして、『継続』のための仕掛けを設けません。
・その結果、ホームページの更新はされないことになります。トップページには、2年前の日付で「リニューアルしました!」の文字があります。社員は、「その仕事は社長のもの」という認識のままです。そして、「社長は、やることをやっていない」と信頼を失い続けています。

・完成したマニュアルで、読み合わせをしました。講師は、社長です。そして、「気づいたら更新してください」、「皆、普段から見るように」と伝えました。
その結果、使われないマニュアルになります。「元のデータがどこにあるのか解りません」、「誰も直そうとはしません」、数か月後には、「誰も見ていません」。

ホームページも、マニュアルも、『社長』に残ることになります。そのようなことを至る所でやってきました。その結果、『考える仕事は社長、作業するのが社員』という構造が出来上がっています。立派な文鎮型組織が出来るのです。管理者も現れません。

社員は考える機会がないので、育つこともありません。それどころか、仕事や会社を「自分事」として認識しないのです。会社は『社長のもの』なのです。社員が、本当の意味で『真のメンバー』にならないのです。

社長は『上手な巻き込み』と『継続の仕掛けづくり』を身に付ける必要があります。それが出来ることで、個としての社員を動かすことができます。その結果、仕組みが定着するのです。

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F社は、この2年の間で急成長をしています。2年前には、スタッフ数は10名ほどでした。それが25名になっています。

規模の拡大に合わせ、雰囲気も変わってきました。
いままでは家族的な雰囲気がありました。その中心になっていたのが、社長の奥様であるKさんです。Kさんの明るさが職場全体を包んでいました。新人スタッフを気にかけ、優しくフォローします。お客様の様子を見て、「いかがされましたか」、「お元気でしたか」と声を掛けます。

スタッフ数も顧客数も増えることで、Kさんの目が届かない部分が増えてきました。採用して数か月で退職するスタッフが出ました。お客様とのコミュニケーションの回数も減っています。F社長もKさんもアットホームな雰囲気が、無くなってきていると感じていました。

それに合わせるように、問題が起きるようになってきたのです。それも、いままでは考えられない『低いレベルの間違い』が起きます。
今回のクレームも、その一つです。スタッフ間の報連相不足から、お客様に過剰な請求をしてしまったのです。

F社長は、語尾を強めて言います。「どうしてこんなことが気づけないのでしょうか。また、スタッフ同士も、おかしいと思っているなら、声を掛け合えば良いものを。」
急遽、問題の当事者数名を集め、話をすることにしたのです。隣のKさんが、小さい声で言われました。「すみません、私の力不足なのです。」

私は、F社長に、二つの進言をさせていただきました。
一つは、「書面でご説明ください」。
そして、もう一つは、「全員を集めて、説明してください」。

組織が組織として機能するためには、『全員が同じ考え方』を持つ必要があります。それらは、事業理念や方針、ルールというものになります。それらを共通で持っているからこそ、組織内で、役割分担も協働もできるのです。『組織の同じ考え方づくり』を意図して進める必要があります。

そのためには、まずは『文字』になっていることが前提です。『文字』になっていることで、それが『組織としての考え方』としてスタートが切れます。

そして、その決まったものを、『敢えて全員集めて伝える』ことをします。全員で説明を受けることで、『組織の全員が共通の考え方を持つ』ことを強く示すことができます。
全員を集めるため、それだけ時間も手間もかかることになります。それでも、その後の定着や実行力では、各段の差がでるのです。

F社長は、このような場合、「口頭」と「個別」で行ってきました。
口頭で伝えるために、組織の考え方にはなっていませんでした。それらの内容は、『個人のモノ』という認識になっていました。「会社での決まり事」ではなく、社長や奥様の「個人に紐づいた考え方」になってしまっていたのです。そのため、何か判断が必要な場合に、社長や奥様にいちいち聞くようになっていました。

そして、個別で伝えていました。「今後、このように対応してください。」
この内容は、その場にいないスタッフには、当然伝わりません。それ同等に問題なのが、説明を受けたスタッフが「この内容は全員に周知されたことである」と確信が持てないことにあります。確信が持てないことで、メンバーの間で余計な心理が芽生えます。「この人は、私と同じ前提を持っているだろうか。」

口頭、個別を繰り返してきた結果が、今のF社です。組織としての考え方がまとまっていません。個々のスタッフが適切な判断をすることができません。
10名の規模までは、それでもよかったのです。社長や奥様の目の届く範囲でした。それが、25名という規模では、到底無理になります。

スタート=組織としての共通の考え方を決める。
継続=組織としての共通の考え方を定着させる。そして、進化させる。
この意図を持つ必要があります。

方針書やマニュアル、規定を整備します。そして、それを、敢えて全員の『場』で伝えます。経営方針発表会、全体朝礼、研修会など。社長自ら、決定した考え方を、その意味や狙いと合わせて説明します。そして、更新します。そして、また、共有。その繰り返しです。

それにより、全員が共通の考え方を持つようになります。彼らは、納得と安心を持って、動けるようになります。そして、会社を『自分事』として考えるようになります。そこに、組織がつくられるのです。

年商数億円、社員十数名までは、口頭、個別のスキルだけで回すことができました。年商10億円、社員数十名の規模に進むためには、文字、組織に関するスキルが必要になります。ステージに応じた力を、社長は獲得する必要があります。

組織を意図してつくっていくことです。

 

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年商10億円への経営視点

年商10億事業構築コンサルタント

株式会社ワイズサービス・コンサルティング 代表取締役

矢田祐二

執筆者のWebサイトはこちら  http://www.yssc.jp/

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