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クライシスを乗り越える“商品リニューアル”の仕組み方

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

新型肺炎の拡がりによって危機的状況を迎えている今、わたくしたち経営者が持つべき視点は、より高次元な「カミ視点」です。「カミ」とは「上」であり、神様の「神」です。わたくしどもでは、自社商品サービスを3つの視点から思考する「3視点技法」を提唱しています。「カミ視点」を持つことによって、より高い視点から自社と自社商品サービスを俯瞰することができ、混迷の時には自ずと進むべき方向が視えるだけでなく、ネガティブな出来事が逆転するアイデアに出会うことがあります。

新型肺炎の拡大が、わたくしたちに示しているヒトの姿、そこには商売において学ぶべきことがあります。デマ、差別、衛生必需品の不足、SNSでの情報発信の姿勢など、火事場でのリアルな姿があります。一方、世界中で情報共有が求められている危機的状況ですが、デジタルを上手に活用することは難しく、むしろ情報の精査が問われ、「断絶」の状況を浮き彫りにしています。

市場の空気感から一転して今、地域の小さな公園や広場などには、子供連れの家族の姿が見られます。不要不急の外出は避けて、といわれても、子供たちを家に閉じ込めておくことは現実的ではありません。近所の公園であれば、交通機関を利用しなくてもよいですし、開放的な場所で親子がのびのびと遊ぶことができます。

同じように、近所の散歩、ジョギング、身近な場所でのソロ(単身)キャンプなどにも人気が集まっています。そんな中、アウトドアメーカー大手の「モンベル(Mont-bell)」が昨春発売した“書道セット”が注目されています。ネーミングも楽しく「野筆(のふで)」と言います。野筆は、従来の「ペンケース」と「携帯毛筆セット」の商品リニューアルです。ウリは製硯師(せいけんし)の青栁貴史氏とのコラボレーションです。

そもそも、製硯師の青栁氏は、日本にただひとり人の硯を造る職人です。氏によれば、硯とは世界最古の筆記具であり、地球が1億5000万年かけて生み出した「石」から切り出された地球の一部である、と説いています。こうした世界観を持った青柳氏とモンベル社が共同開発した野筆ですが、スレート状の硯、筆、墨、水挿しなどをコンパクトで、おしゃれなペンケースにまとめた商品です。

実際に自然の中でハガキを書く野筆ユーザーにとって、絵や俳句にくらべ一筆の書ならパパッとできるのが魅力となっています。例えばウィルス感染対策で、外出ができない時でも、近所の散歩のついでや、家族で出かけた公園で楽しむことができます。ちょっとした日常のなかに「特別な時間」が生まれるのが野筆の魅力です。

何より、SNSでの交流が当たり前のご時世、毛筆の手紙やハガキが届いたことで喜ばれたり、インスタグラムにあげた写真が映える、と話題になったり、コミュニケーションが深まることもあり、野筆を持ってあんなこと、こんなことしてみたい・・・、と日常にプラスアルファの高揚感が生まれ、行動につながってゆくのです。

カミ視点でみれば、野筆は「生活必需品」ではありません。かといって、たくさんの人と遊べる「娯楽商品」でもありません。だれかの悩みを解決し、お腹をいっぱいにすることもありません。ひとひとりのヒトが、ただ自分のために楽しむだけのアイテムです。世の中にまったくもって必要とされていないアイテムです。そういう商品が注目され、話題になって、実際に入荷待ちがでるほど「欲しい」と思う人がいるのです。コロナウィルスで不安を抱え、消費を我慢している時でさえ、だれかが、ネットショップで購入しているのかもしれません。

冒頭のカミ視点に戻って問います。ヒトは、わたくしたちは、何のために生きているのでしょうか。着るため、食うため、住まうために生きている・・・子孫をのこして、繁栄するため、発展するために生きている? が、野筆のように、生活に必要とされていない、まるで何の意味もない商品が、今わたしたちの興味関心をとらえて離さないのです。それはどうしてでしょうか。

わたしたちの「心」が求めているからです。何不自由ないモノあまりの時代、いちばん欲しいものは「心」の飢えを満たしてくれるものなのです。わたしたちは衣食住の満足を得るかわりに、心の満足をトレードオフしたのです。今、お金や時間を遣ってでもほしいものが、心の琴線に触れる商品やサービスなのです。

先行き不透明な時、時代だと言われ続けていますが、有史以来先が透明だった時代があったのでしょうか? 新型ウィルスの発生と拡大によってわたくしたちは問われています。「何のために御社は存在しているのですか」と。原点を見直すチャンスが、まさに今です。

商品は磨けば輝くダイアモンドの原石」。弊社の商品リニューアルコンサルティングの哲学です。どんな会社にも必ず「原石」が潜んでいます。輝くダイアモンド商品に必ず生まれ変わります。経営者にはこの原石を再発見する「眼力」がなくてはなりません。この原石を見つけて磨き上げるのだ、という執念、想いが必要不可欠なのです。

わたくしどものコンサルティングでは、およそ半年で「ダイアモンド商品」が出来上がり、作り方の仕組みを御社内に構築します。かつてヒットした主力商品も、サービスも、レシピも、原石のひとつです。多くの会社が自社の原石にはまったく無頓着で気づいていないものです。原石はゴロゴロと足元に転がっています。モンベルも「アウトドアライフたのしくする」というアウトドアメーカーとしての定石を基盤に、書道セットを開発し注目されていることをもう一度思い出してください。

他社がやっていることを追随しても意味はありません。お客様に見透かされるだけです。原石を再発見しましょう。埃をはらって磨き、カットし、新しい方向から光をあてた商品は必ずや輝きます。原石は必ず自社の中にあります。だれかの心をワクワクさせたり、ドキドキさせたり、なぐさめたりすることで、心を躍動させる商品やサービスを世に送り出しましょう。いよいよ、輝くときが来ています。原石である既存商品が、今か今かと待ち望んでいます。

 

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