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SDGsにまつわる誤解と本来的な取り組み方

SPECIAL

マインドポジション経営コンサルタント

株式会社アトリオン

代表取締役 

マインドポジション経営コンサルタント。社員と顧客の心に占める貴社の位置づけ―「マインドポジション」をアップし、業績向上を目指す仕組み構築のスペシャリスト。30年にわたる中小企業のブランディングと組織開発の経験を背景に、マインドポジション経営実践プログラムをオリジナル開発。時代に合わせて組織を刷新したい経営者や、2代目、3代目社長、社員の力を引き出して社内の体制を再構築したい経営者に高く評価されている。新しい切り口に基づく事業の見直しと組織の再開発を通して業績の2ケタ成長を実現するなど、持続可能な企業の成長に向けた力強い支援に定評。株式会社マインドポジション経営研究所代表取締役

先日、中小企業が集まる地方の会合で配布された資料を見ていて、「SDGs(環境活動)」という文字を見つけ、SDGsが中小企業で広がらない理由がわかったような気がしました。

今さらいうまでもなくSDGsは国連が提唱する2030年の持続可能な開発目標を指します。社会貢献活動と同じとざっくり捉えている方も多く、さらには環境保護と同義と言われて頷く方も多いでしょう。

大企業と中小企業では、取り組む姿勢の温度差が大きく、都市部と地方でも温度差が大きい。となると、地方の中小企業ではほぼ関心がない、あるいは環境活動と同義と捉えられていても当然と言えます。

中小企業の関心が今ひとつ薄い理由は、利益との関連性が見えないところにあります。「それやって儲かりますか?」という世界です。

たとえばSDGsの一番目にうたわれている「貧困」の問題。海外では途上国の貧困問題が取りざたされますが、日本国内でもシングルマザーや非正規社員といった社会的弱者の貧困問題はあちこちで見られます。そして、それは、誰がなんといっても、人道的な観点からなんとかすべき問題です。

だから行政が補助金を出して子供食堂を開催したり、余った食材を寄付してもらって必要な家庭に送るといった活動が行われています。でも、それはあくまでもボランティア的な活動であって、儲けは産まない。だから、こういった問題に企業が向き合おうとしたら、社会貢献活動の一環としてしか関わるしかない。美談にはなりますが、お金は産まないわけです。

ところが中小企業が、確たる理由により、利益を生み出す事業として「貧困」の問題に取り組もうと考えると、それなりに道は開けてきます。

たとえば、シングルマザーが貧しいのは、育児などの時間的制約から、教育の機会にも恵まれず、賃金の安いパートタイムの仕事にしか就けないからと仮説を立てます。

であれば、まずは時間的制約を取り払うために、相互に助け合える住環境を作る。たとえばシングルマザーしか入居できない共同住宅を作り、相互に助け合うことを条件に安く貸し出す。あるいは、賃金の安いパートの仕事から脱却できるようオンラインの教育インフラを整備し、ITなど人材需要が高い業界に転職するためのレベルの高い知識を身につけてもらう……

妄想すればキリがないほど事業プランが出てきます。ブレスト形式で妄想を膨らめれば、アイデアがアイデアを生んで思いもよらない事業プランに仕上がります。そして、そこに貴社がすでに持っている強みや資産が埋め込まれていれば、実現の可能性は高まります。そして、次に、一番重要な、お金の産み方を考えていくわけです。

さて、ここで疑問を持たれた方もおられるでしょう。「なぜ、そこまでしてSDGsにこだわらなければならないのか」と。

よく引き合いに出されるのは、「私たちは地球何個分の生活をしているか」という話です。地球が賄いきれる資源のなかで生活をしていれば、地球は持続可能性を担保できます。その量を超えていると、明らかに、どこかの時点で地球は破綻します。

ただしこれだけでは、中小企業が事業としてSDGsに取り組む決定的な理由にはなりません。地球を持ち出されてもスケールが大きすぎて、現実的なレベルで実感できないのです。

では、どう考えるとSDGsが経営に使える道具になるのか。

私はマーケティング戦略の一環として考えます。マーケティング戦略は、ターゲットとする顧客を獲得するために、商品・サービスや価格、販路、販売促進などに一貫性をもたせて実施する戦略です。このうち商品・サービスに付加価値をつけ、広く賛同を集めて、その結果事業を発展させることが、SDGsのゴールが指し示す課題解決の有り様だと考えるのです。そしてその延長線上でブランディングに役立つと位置づけています。

難しすぎてよくわからないけれど、直感的にビジネスチャンスを感じる方、ぜひお声がけください。中小企業での事例もあります。次は貴社が試みる番です。

 

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