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お客様にとって自社商品が「OnlyOne」になるたった1つのこと

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

コロナ禍、マスクや抗菌スプレーなど「必需」とされてきた衛生商品ですが、この一年で生活者の手に行きわたりました。すでに売り場やネットでは、関連アイテムがあふれています。そして、巣ごもり関連の商品サービスはまだまだ花盛りで伸びていくでしょう。ちょうど一年前に提案していた「移動販売スタイル」も、いまや活況となっています。

わたしたちが生きている21世紀、ペストやスペイン風邪といった前時代のパンデミックと異なることは、モノや情報の伝播の速度です。古めかしい言い方をすれば、商品サービスはあっという間に「コモディティ化(Commodity)」し、似たような商品であふれ、廃れていくスピードが速くなっています。

コロナで、音楽や映画、観劇、そして観光などが「不要不急」ではない、とされました。しかしこうした見方は、落ち着いて考えてみれば、激しい思い込みです。コロナであろうとなかろうと、モノであふれる今、生活者にとってほとんどの商品サービスが「不要不急」ではない、間に合っている商品サービスなのです。ですから、緊急事態宣言の延長を背景に、生活者は不安感から貯蓄と節約意識を高め、「AもBもCも似たような商品。だったら価格の安いところで買う」という行動になっています。

一方、これからの潮流は「ESG経営」です。生活者が企業を見る時、ESG経営の取り組みをしているかどうか、うわべではなく「誠実になされているか」をチェックする時代に入ってきています。ESGとは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の頭文字です。中でも地球環境に対する配慮は、多くの生活者が意識し、行動を変えている過渡期です。商品の機能がどんなにすばらしくても、地球環境に過度な負荷がかかる商品サービスは選ばれなくなります。

3月7日の日経新聞「NIKKEI The STYLE」で「土器のある風景」や「土に帰るスニーカー」が取り上げられていました。今「土」に関わるアイテムが注目されています。目に見える記事としてのアウトプットは、わたしたち生活者の中にひそむ欲望や願望、潜在意識の表出です。

テレビ、ネットなどからスピーディに情報を取って、時代の空気を敏感に感じ「地球の負荷にならない商品サービス」を選ぶ。そんな情報リテラシーを持った生活者が今後は増えていきます。国内外問わずです。わたくしたち企業は「何のために商品サービスをつくるのか」という、ものづくりの背景がこれまで以上に重要になってきます。

さらに、ESG経営に基づいた商品サービスを市場に出してゆくことができたとしても、あっという間に新しい商品にとって代わられます。つまるところ、生活者にとっては「AもBもCも同じものなら・・・」という状況になり、価格競争の循環になることは明らかです。

と、以上のような背景をスポットコンサルティングにいらした社長にお伝えしていたところ、「じゃあセンセイ、真似されたり盗まれたりしないアイデアとか発想とか、そういうものはありますか? どうやって真似されない商品にリニューアルすればいいのですか? 」という質問があがりました。

真似されたり、盗まれたりしないもの。そんなもの、あるでしょうか? すでにアインシュタインが指摘しているように、アイデアというものは、既存のアイデアの組み合わせです。そして、アイデアはやがて組み合わされていく「宿命」をもっています。

しかし、ぜったいに組み合わせることができないものがあります。それは「動機」です。なぜ自社が、あなたが、その商品サービスをつくるのか。なぜ社長が人生をかけてまでその事業をやるのか。アイデアが立ち上がり、カタチにし、仕組みを回してビジネスになるまで常識的には3年。その間、社長を突き動かすもの。その「動機」です。「動機」は、真似できないし、だれも盗むことができません。

なぜなら、動機にはあなただけのストーリーがあるからです。これまでどんな人生を歩んできたのか。失敗、挫折、ハンデ、どん底、底から這い上がってきたプロセス、時間。出会ってきた人、憎んだ人、目標にしてきた人、師。そして成功。あなただけの物語、あなただけの必然。あなただからこそ、その商品サービスをつくる意味、そして使命。それで世界を変えていくのだ、という強い想い。

このユニークさ(unique=語源はone)は唯一無二です。だれも盗むことはできません。真似することもできません。組み合わせることができません。「あなただからその商品サービスをつくる意味がある」ということが、きわめて重要です。ご自身のストーリーを動機として、きちんと昇華させることが問われています。逆に言えば、それがなければ、市場に商品を投入することはやめましょう。

使命のない商品をつくること。それは、地球の負荷になるばかりです。情報リテラシーの高い今の生活者は、簡単にそれを見破ります。社長の大切な時間そしてカネの無駄となり、自社も生活者も地球も、だれも幸せにはならない投資となってしまいます。動機がないとするなら、商品サービスをリニューアルしてはなりません。

本日の日経新聞の記事で見つけた言葉があります。それは、「大切なものはひそかに続く」。商品サービスもまた然り。「この商品は必ず、お客さんの幸せにつながる。だから私が、自社がつくるのだ! 」、そんな使命からものづくりをしてきた会社は、時代環境をものともせずロングライフです。節目節目で、その動機に共感し応援してくれるお客様が出現し、支えていくからです。

今、社長がやるべきこと。商品のアイデアを考えること、トレンド合わせること、競合商品との差別化を考えること、DX活用、補助金申請のために事業の再構築を考えること、そんなことではありません。「私はこういう人間です。だから、この事業を通して、人生をかけて、世界をこう変えていくのだ! 」という殺気、魄こそが、自社を揺るがす「鬼」をも味方につけていくのです。

商品サービスをつくり、売っていく、買っていただく、自社のファンになっていただく。そして、そのファンの人たちが自社にとってかけがえのない「仲間」になってくれる・・・。このシンプルな仕組みを突き動かしていくために、強い、あなたならではの「動機」が必要なのです。自社商品サービスをつくりたいと思う、その「動機」は何ですか? 言葉にすることができていますか?

 

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