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IT人材採用難?に思うこと

SPECIAL

顧客接点強化による成長型IT導入コンサルタント

ベルケンシステムズ株式会社

代表取締役 

顧客接点の強化を軸に、業績に直結するIT導入を指導するスペシャリスト。世に無駄なIT投資が横行するのと一線を画し、顧客の利便性向上、新規取引先、深耕開拓、利用促進…などを主眼に置いた、実益のIT活用と投資戦略を、各会社ごとに組み立てることで定評。

鈴木純二

世の中「IT人材採用難」だという報道があふれています。挙げ句の果てに「優秀なIT人材には新卒でも年収1,000万円以上」というお話も飛び出しています。確かに高度な技術を持つ技術者であれば高額な年収で雇用され、大きな活躍の場を与えられるべきだと思いますが、果たしてそんな人材だけが望まれているのでしょうか?IT人材難にはどこか違和感を覚えます。

IT人材難というキーワードで報道機関のサイトなどをざっと見ていると、どうやら「AI、ビッグデータ、IoT、セキュリティなどに関する高度な技術を持ったエンジニアが足りない、引っ張りだこになっている」という傾向にあるようです。確かにこれらの知識や経験が豊富な人材は引く手あまたでしょうし、活躍の場もどんどん増えていると思います。

しかしそれはそのような分野で最先端のサービスや製品を生み出す企業の困りごとなのではないかと思います。つまり、それ以外の多くの「ITを使う普通の企業」側にとってみれば、必ずしもそのような人材を集めて組織化する必要性は無いからです。これら大半の企業においては、はやり言葉を使わせて頂くと「DX推進」ができる人材が必要なわけです。

ここで、DX推進とはいったい何か?ですが、自社の製品やサービス、業務をフルデジタルに変えてゆくことを意味すると私は定義しています。言い換えると、「自社の製品やサービス、業務を知り尽くし、かつ、IT動向に詳しい人材であり、アイディアを具体的に形に持って行ける、新しいモノ好きで思考が柔軟な人」が優先的に必要になるのです。

この種の職種では必ずしもソフトを開発できる人が必須な訳ではありません。最適なものを探してきて価値を評価できる人であれば良いのです。つまり社内人材をその方向に育成すれば大抵の場合は対応可能なのです。高度なIT技術を持つ人材を集めるのは、その後であり優先順位は一つ、二つ下がります。高度な技術を持っている人や会社は社外にありますし、いったんその外部の力を借りれば自社のデジタル化は進みます。社外の力を借りて可能となることがきちんと理解できるようになってはじめて、自社に高度なIT人材が必要となるのです。

それに考えてもみて頂きたいですが、例えば製造業の会社の場合、技術者として新入社員を採用する際には、その人の伸び率やコミュニケーション能力を評価して選んでいるはずです。会社との相性も見なければならないでしょう。大学などでどのような成果を上げたか?も聞くかもしれませんが、よほど高度な成果を上げていない限り、参考程度にしかならないはずです。

ところが、IT人材の場合は新卒であっても技術を求めてしまう傾向にあります。工学部卒の学生と、情報工学部卒の学生。両方エンジニアの卵です。工学部卒の学生を自社製品の設計部門の人材として採用する場合は人となりを評価し、情報工学部卒の学生を社内IT人材として採用する場合は高度な技術を要求する。これはあきらかに偏った考え方としか言わざるを得ません。

IT専業や高度なデジタル製品開発を専業とする会社以外は、「色々な最先端の技術をうまく社内に取り込めるチカラ」が優先されるべきです。「当社もIT化しよう。まずはIT技術者が必要だ。」といった短絡的な思考に陥らず、柔軟な思考回路を持つ人材を採用したり、社員にITのスキルを持たせるように学習の場を与えるなど、地道なことを進めた方が絶対に良い成果をもたらすはずです。

報道の傾向とは全く違う持論を展開しましたが、新卒採用を考える際のヒントにして頂ければと思います。

 

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