本物のコンサルティングをより身近に。

社内コミュニケーション改革の落とし穴

SPECIAL

顧客接点強化による成長型IT導入コンサルタント

ベルケンシステムズ株式会社

代表取締役 

顧客接点の強化を軸に、業績に直結するIT導入を指導するスペシャリスト。世に無駄なIT投資が横行するのと一線を画し、顧客の利便性向上、新規取引先、深耕開拓、利用促進…などを主眼に置いた、実益のIT活用と投資戦略を、各会社ごとに組み立てることで定評。

鈴木純二

昨今、電子メール以外のコミュニケーションツールの導入が企業で盛んです。企業向け社内SNS的なチャットツールもありますし、グループウェアの掲示板もあります。若手社員は物心が付いたときからすでにデジタルツールが身の回りにあり、スマホで遊びながら育ってきているので、そのような若手を中心にコミュニケーションツールの見直しが進むケースもあります。今回は、そのような最新ツールの使い方をちょっと誤ったがために散々な目にあった会社のお話をします。

「鈴木さん、実は社内連絡ツールで先日痛い失敗をしましてね・・・」とはコロナ禍前のある懇親会で行き会った社長さんの言葉。お話をお聞きすると、”若手社員から「メールは面倒。社内SNSにしましょう。値段も安いし。」という要望があり、そんなに便利なものなのであれば導入しようか、と軽い気持ちで許可してしまったが、導入直後から情報のやりとりがおかしくなり、送ったはずだ・いや見ていない、という感情的な対立まで生んでしまった”とのことでした。

実は今このようなトラブルがまさに急増中なのです。というのも、新型コロナの関係でテレワークが急速に推奨されるようになり、WEB会議やその関連ツールが広く普及したためです。実はこのようなツールの中にはチャット機能が無料で組み込まれているものもあり、実に簡単に始めることが可能なのです。しかし、通常社内にはメールでの連絡文化が残っています。しかも通常の業務ルーチンにメールという連絡手段が組み込まれてしまっていることが多く見られます。メールが「伝票送達手段」的に使われてきた、というわけです。そこにチャットという新たな社内トランシーバー的なものが無造作に入ってくると、

 AさんはメールでBさんに連絡した

 BさんはCさんとDさんにチャットでそれを連絡した

 CさんにはAさんの元のメッセージは伝わっていない

という至極単純な情報連携切れが発生します。

これが社内のあちこちで発生すれば、今回お話を頂いた様な社長さんの困りごとにすぐ発展してしまいます。ちょっと考えればすぐこのようなリスクがあることは気がつきそうですが、そのリスクを指摘したところで「考え方が古い」とか「IT化はまずは試せ、から始めるものだ」という正論で押し通されてしまいます。IT化にあまりに慎重になりすぎることは良くないことではありますが、最低限の運用ルールも決めずに新しいツールを使い始めることは失敗の素です。

経営を担っていらっしゃる方々にこれを言うのは釈迦に説法ですが、業務の仕組みを回すための情報伝達ルートは、その業務の根幹を成すことになるので、ルールなくツールを変えてしまう・追加してしまうことはそもそも失敗が目に見えていることなのです。

かといって、「チャットは導入するべきでは無い」とは言いません。いえ、是非どんどん導入するべきです。上記の通り業務プロセスにチャットを導入することはルールを変更しつつ使うべきです。しかし例えば勤怠連絡とか会議通知や会議録、その後に続くタスクの実施状況などは、即時同報性が高いチャットを使うと非常に大きな効果をもたらします。しかも、通常ルーチンワークには関係無いところで使っている限り、それほど厳密に運用ルールを決める必要はありません。このようなライトな連絡に対してまずは導入し、使い方や特性に慣れ親しみ、その後に業務プロセスルールを改定しながらルーチンワークに取り入れてゆくことが、チャットツールによる社内コミュニケーション力の改革が成功する鍵となるのです。

どんな組織であってもコミュニケーションの混乱は命取りになります。新しいITツールはインターネットから何の障壁も無く社内に流入し、いつのまにか使われていることもあります。経営者にとってはその利便性を享受し、うまく使っていく為の勘所が求められていると言えるでしょう。

 

コラムの更新をお知らせします!

コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。