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経営者が備えたい地銀再編への準備

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銀行活用で新規開拓コンサルタント

株式会社結コンサルティング

代表取締役 

銀行活用で新規開拓の仕組みづくりを行うスペシャリスト。31年間の銀行員経験で、法人4,000社以上を担当、審査部担当者としての企業審査は1,000社超の実績を誇る金融のプロフェショナル。
売上が倍増した雑貨メーカー、バックメーカー、新事業を立ち上げた化粧品メーカー、更には海外進出に成功した事例など、累計で100社以上のビジネスマッチングを成功に導いた実績を持つ。

「最近、頻繁に地銀再編のニュースがあり不安なのですが、経営者として何か注意しておいた方がいい点があれば教えてください。」──と非常にアンテナの高いとある経営者の方からのご相談です。

私からは、「取引されている地銀が、いつ合併・統合するのかわからないので、新銀行になってもきちんと取引が継続できるよう、あなたの会社の経営計画書、商品・サービスの特徴、地域での活動状況についてまとめておいてください。」と回答させていただきました。

というのも、地銀再編については、下記3つの施策からもわかるように、金融庁他の地銀再編圧力も高まっているため、ある日突然、あなたが取引している地銀が合併・統合するかわからない状況だからです。
その際に慌てず、しっかりと取引継続できるように準備をしておきましょう。

 

<地銀再編に向けての3つの施策>
 ①日銀の経営改善支援
 ②独占禁止法の適用除外とする特例法
 ③地方銀行に補助金を出す新制度の創設を盛り込んだ金融機能強化法改正案

特に、合併・統合する地銀の双方と取引をしている場合は、
a:どちらの地銀に取引を統一するのか
b:(既存地銀が合併・統合により圧倒的メイン銀行となるため)他にどの銀行をサブ銀行として取引を開始するのか
c:これらaとbを実行のため、また支店長以下の担当者が総替わりしたときに備えて、あなたの会社の経営計画書、商品・サービスの特徴、地域での活動状況についてまとめておきましょう。

 

上記の準備をしておくことで、ある日突然、これまでメイン銀行として取引していた地銀が吸収合併されても、支店長以下の担当者全員が総替わりしたとしても、新しく取引をしたい銀行へのアプローチでも困ることはありません。

確かに最近は、地方銀行について収益源の多角化や事業再編などについてのニュースが多いですよね。
2021年5月1日に三重県を地盤とする三十三フィナンシャルグループ(FG)傘下の三重銀行と第三銀行が合併して、三十三銀行が発足したばかりですが、2021年5月14日にも、2022年4月に青森県を地盤とする青森銀行とみちのく銀行が経営統合、2021年10月に福井銀行が同じ県内が拠点の福邦銀行を子会社化など、この経営者の方がおっしゃっていたように地銀再編が多数発表されています。

 

<ご参考>
 株式会社青森銀行と株式会社みちのく銀行の経営統合に関する基本合意について(青森銀行HPより) 

株式会社福井銀行と株式会社福邦銀行の資本業務提携契約の締結について~地域経済の発展に向けた包括提携(F プロジェクト)の加速と深化~

 

 また、5月16日の日経新聞朝刊でも、このような記事がありました。

「自民党金融調査会の地域金融に関する小委員会(片山さつき委員長)は、収益源の多角化や事業再編を地方銀行などに促す提言をまとめる。近く政府に示す。

地域金融機関に関して預金の貸し出しで収益をあげる経営は「収益低下が著しく限界にある」と指摘する。経営統合を「一つの有力な選択肢」と明記し、事業再編で経営を強化すべきだと唱える。」

「日銀の経営改善支援策、地銀8割「申請済み・検討」 上場60行、効率化の契機に」
地域金融機関の経営改善を促す日銀の新たな支援制度の適用を申請する地方銀行が相次いでいる。経費削減や経営統合に取り組めば、地銀が日銀に預ける当座預金に年0.1%の上乗せ金利がつく。上場地銀の7割にあたる50行以上が「申請済み」と明かした。「前向きに検討する」と答えた地銀も10行ほどあった。合計すると上場地銀の約8割にあたる。

多くの地銀は経費削減などの条件で申請する。制度では本業の粗利益に対する経費の割合(OHR)を22年度までに19年度比で4%以上改善しなければならない。長引く低金利環境や新型コロナウイルス禍で地銀の経営環境は悪化しており、21年3月期は約半数の上場地銀で純利益が減ったか最終赤字になった。」

現在、銀行業全体が超低金利などで非常に厳しい状況である中でも、特に地銀は地域経済の低迷や人口減少もあり厳しい経営環境が続いています。これまで、合併などによる再編も検討されてきましたが、公正かつ自由な競争を促進するために制定された独占禁止法が障壁となり、再編は進んできませんでした。

なぜならば、少数の事業者だけで、ある市場を独占、寡占(カセン)している状態になると、競争が有効に機能しにくくなるため、一定規模以上の会社が株式取得などにより合併・統合などを行う際には、公正取引委員会に届出・報告をする必要があるからです。

特に、地銀の合併の場合、特定地域(県内)の市場占有率が合併により一気に高まり、優位な立場を利用して貸出金利を引き上げるなど、公正かつ自由な競争がなされない懸念がある、と2016年2月に経営統合に合意したふくおかフィナンシャルグループと旧十八銀行は独禁法の審査だけで2年以上かかり、システム対応なども含めて合併までに4年もかかっています。

<公正取引委員会での過程 〜2018年8月24日公正取引委員会HPより〜>

株式会社ふくおかフィナンシャルグループによる株式会社十八銀行の株式取得に関する審査結果について
2016年6月8日 株式取得に関する計画の届出の受理(第1次審査の開始)
2016年7月8日 報告等の要請(第2次審査の開始)
2018年8月15日 全ての報告等の受理(意見聴取の通知期限:2018年11月14日)
2018年8月24日 排除措置命令を行わない旨の通知

この事例を受けて、地方銀行同士の統合・合併を迅速に行うために独占禁止法の適用除外とする特例法が2020年5月20日の参院本会議で可決、成立しました。

上記の他にも、合併や経営統合をする地方銀行に補助金を出す新制度の創設を盛り込んだ金融機能強化法改正案を2021年3月5日に政府が閣議決定しています。
支援対象となるのは合併・統合など抜本的な経営改革に踏み切る地銀や信用金庫などの金融機関で、補助金はシステム統合などの費用に充てられることになります。

地銀の合併・統合ではシステム面を中心に初期費用の負担が大きく、再編のハードルの一つとなっているため、合併1件あたり最大で30億円程度を政府が支援。
財源には預金保険機構の利益剰余金350億円を活用し、10件程度の選定を見込んでいるとのこと。

このように、地銀再編について大きく3つの対応がされていることからも分かるように、ある日突然、あなたが取引している地銀が合併・統合されるかも知れません。

この前、地銀の担当者が来たので、再編について聞いたけど「何もない」と言っていたので大丈夫じゃないの?!と思われている経営者の方もいらっしゃると思いますが、担当者レベルはもちろん、たとえ支店長であっても再編についての情報は事前に入ってはきません。

私が銀行員であったときも、合併の話を知ったのは新聞やテレビのニュースでした。
なぜなら、合併や統合する銀行が上場企業であれば、再編に関する情報はインサイダー情報に該当するため、内部の人間であっても、一般的な業務に携わっている銀行員が知っているはずがありません。

さらにもし、経営企画などで実際に再編にかかわっているのであれば、インサイダー情報保有者として管理し、情報を絶対に漏らさないように万全の態勢をひいています。
つまり、再編は突然にやってくるのです・・・

ちなみに、私が銀行に入行:銀行では入社ではなく、入行といいます:したときは、都銀13行(第一勧業、富士、三菱、住友、三和、三井、太陽神戸、東海、大和、協和、東京、埼玉、北海道拓殖)でしたが、その後、相次ぐ合併によりメガ3行(三菱UFJ、三井住友、みずほ)+りそなの4行に都銀は再編されました。

都銀の場合は、不良債権処理対応で13行から4行に再編されたのですが、地銀などの地域金融機関の場合は、長引く低金利環境・地域経済の地盤沈下に加えて新型コロナウイルス禍で待ったなしの状況になっています。

いくつかの地銀がコンサルティング業務や人材マッチングを強化する方針を出したり、中小企業支援で政府系金融機関と協働したり、ATMの共同運用やコンビニATMの活用など、新たな収益源の獲得やコスト削減に活路を見出そうとしていますが、小手先の対応では再編は避けられません。

このような状況をきちんと認識した上で、現状の銀行取引についても見直ししてみてはいかがでしょうか?

あなたの会社にとって、どのような銀行が必要でしょうか?
また、必要な銀行取引はどのようなものでしょうか?
あなたの会社の今後の発展のために、現在取引している銀行は本当に必要でしょうか?

新型コロナウイルスによる社会と経済の歴史的な大転換となる「ニューノーマル」時代を乗り越えて、更なる発展をしていくために、あなたも銀行取引を見直すことからはじめてみませんか?

弊社では、「銀行のネットワークを最大限に活用する営業紹介の仕組みづくり」に特化したコンサルティングをしており、銀行取引の推進・リレーション強化などのお手伝いもしております。

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