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110㎖に魔法をかける商品リニューアルの勝ち方

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

りぼんコンサルティング

代表 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

東京都内では、コロナ禍をきっかけに老舗菓子店の閉店が増えています。こうした「開店閉店情報」は、フェイスブックやインスタグラムなどSNSのタイムラインで流れ、シェアされています。ゆえに突如として閉店を惜しむファンたちが店の前にあふれ、長蛇の列になることが多いです。

この時、多くの店主がつぶやいてしまう言葉があります。それは「こんなにもお客様に愛されていたのか、とあらためて気づかされました」というものです。しかし、閉店の時に気がつくのでは遅すぎるのです。

お客様は「無言」です。何も言わずに商品やサービスを購入します。満足しなければ、無言でその商品サービスをクビにします。リピートしたりその店のファンになることはありません。その当たり前の事実を、ぜったいに忘れてはならないのです。楔として打ち込まなければならない事実です。

先日、東京新宿の百貨店で店舗を廻っていました。しばし広場で休憩していると、憔悴した50代の男性と、おとなしそうな30代の男性が静かに話をしていました。50代の男性は若い方に「先生、先生」と話しかけていました。白髪まじりのその男性は腕にロレックスの腕時計をしていました。「先生、これさ、いちばん稼いでいた頃の思い出」と話し、大事そうに撫でていました。この男性は最近失職し、家賃を支払えなくなり住む場所を失ったようでした。

ニッセイ基礎研究所の調査によれば、コロナ禍で25%収入減。副業や兼業が正社員にも広がっていると伝えています。若年層と女性の自死率も増加しています。国や自治体は、新型コロナウイルスへの対応もうまくいっておらず、ワクチン接種率も先進国中最下位。ワクチンの開発に至っては、基礎研究を大事にしてこなかった日本の姿勢が仇となって後手。「専門家も役人も実務能力ゼロ」と生活者に言われる始末です。

国の力が衰えているのか、それが伸びしろかどうか。未来はだれにもわかりません。わたしたちは、どんなことでもよく理解している、よくコントロールしていると思い込んでいます。ですが、2020年の春、コロナウイルスによってこのような事態になることはだれも予測することができませんでした。

それでもまだ、わたしたちは信じています。自分の業界がどう動いて、近い将来どうなっていくのか、発展なのか衰退なのか、どんな商品サービスが出てくるのか、おおよそ見当がつくと。しかし、実際のところは、何も知らないし、何もわからないのです。

1931(昭和6)年満州事変が勃発した頃、アメリカのジャーナリストで政治評論家のリンカーン・ステファンスは次のように述べています。

 

まだ何も完成していない。すべては、これから行われるのを待っているところだ。絵画の最高傑作は、まだ描かれていない。戯曲の最高傑作は、まだ書かれていない。最も美しい歌は、まだ歌われていない。この世界のどこにも、完全な鉄道、優れた政府、賢明な法律家は存在していない。物理や数学でさえ、ほんの端緒についたばかりであり、心理学、経済学、社会学はダーウィンの出現を待っている。そして、ダーウィンの研究は、次のアインシュタインを待ち望んでいる・・・

 

リンカーン・ステファンスは、「おおかた、まだ行われていないことばかりだ」と訴えているのです。

国や自治体が無能であることは「まだ行われていない」を示しています。ひるがえって自社です。お客様は無言です。自社にお客様が来ないのは「まだ行われていない」何かがあるからです。コロナ禍、客足が戻らなくなって、職人が高齢化し閉店の危機が迫っているとしましょう。わたしたちは、手を合わせ商売の神様にこう問います。「商売を続ける意味があるのか」と。

これは間違った姿勢です。あなたは、神様に問われているのです。「あなにとって商売はどんな意味があるか」と。わたしたちは、商売の神様に問われているのです。そして無言の支配者であるお客様に「続ける意味」を問われているのです。

アイスクリームブランドで首位のハーゲンダッツ。最寄りのコンビニエンスストアに行ってハーゲンダッツ社のカップアイスを見てください。カップの大きさも変わらず、中の素材も今ある原材料を活用し、タネも仕掛けにも目新しさもありません。しかしその世界観たるや無限大に広がっています。

今ヒット中の期間限定「バニラ&クランチチョコ」は、「チョコレートパフェ」がコンセプトです。パッケージのイラストは、ガラスの容器に、バニラアイスを敷き詰め、その上に生クリームを山のようにトッピング。チョコレートソースをかけてサクサクとした食感のクランチをトッピングしています。

どうやって、チョコレートパフェ的な世界観を、あの小さなカップの中で表現するのか。無謀な挑戦です。冷静に考えてみれば、どうかしています。しかし、食べてみればわかりますが、イメージを裏切らない工夫をしています。カップの底近くに、ジャリっとした食感の薄い板チョコレート層が入っています。混ぜて食べると、あのチョコパフェのふわっとした世界が思い出されます。あの小さな、わずか110mlの小さなカップの中で着地してみせました。

為政者、専門家、無能だらけの国であるからこそ、常に新しい考え方や解決策が求められています。自社商品サービスが、今、厳しい状況にあるからこそ、新しい工夫とチャレンジが求められています。ここからがチャンスです。だれもがマインドを冷やしているからこそ、熱い想いが際立ちます。お客様は無言です。だからこそ、自分たちから「伝える」のです。それをやらずして諦めるのはもったいないことです。

お客様の無言の「問いかけ」に対して、わたしたちはしっかりと答えていかなければなりません。商品サービスそのものが答えです。しかし、それだけではありません。例えば、オンラインでのやり取りひとつとっても商品サービスの一部です。お店を休業するときの無意識に書きなぐった挨拶文、文字、貼り方も商品サービスの一部です。休業の間のSNSでの文言、写真、お客様とのチャットも商品サービスの一部です。今ある商品をコロナ禍にあわせてリニューアルすることばかりではなく、社長の意識、考え方、文言、そして夢をリニューアルしアップグレードすること。これも立派な商品サービスの一部です。すべてが有機的につながっています。

まだ、行われていないことがあります。無言のお客様に、あなたは何と答えているでしょうか。どう声をかけているでしょうか。あなたの胸にはお客様の心を動かすだけの「熱」があるでしょうか。お客様の心の冷え込みに対して、どんな解決策を提供しているでしょう。自社の、自分の使命を考え、お客様に伝えることをしているでしょうか。お客様との接点を何が何でもつくる努力をしてきたでしょうか。わたしたちは、問われているのです。

お客様の人生につながる喜びを提供するために、その無言の支配者に対して、どう答えてゆきますか? お客様にとって「最高の喜び」は、まだ提供されていません。素晴らしい未来は、意図して経営者が創るのです。古い時代が後退するとき、一歩前に出るのが正しい戦い方です。社長であるあなたが、未来を創ってゆくのです。前へ出ましょう。

 

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