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商品サービスを、僕たちはどう作るか/令和のヒット戦略

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

「今の時代、商品のネーミングだけ、パッケージだけのリニューアルじゃ、どうにもならないと思って」。そうお考えになって、弊社にたどりつく企業経営者が多くいらっしゃいます。事実は真逆で、ネーミングだけで、パッケージだけで、中身はそのままで大復活する商品サービスは山のようにあります。

グーグルのトレンドワードで、最近再びヤマをつくり始めているキーワードに「君たちはどう生きるか」があります。今から4年前の2017年にたいへんヒットしたコンテンツですので、覚えておられるでしょう。「君たちはどう生きるか」は、今からおよそ80年前に書かれた「本」です。

この本は1937(昭和12)年7月に出版されました。著者の吉野源三郎氏は1899(明治32)年に生まれ、1981(昭和56)年に82歳で没。児童文学者であり、編集者として手腕を発揮しました。岩波書店の雑誌「世界」の初代編集者を務め、岩波文庫創設に尽力した人で、「君たちはどう生きるか」は、戦争前で不安な世の中を生き抜く若者へ向けて書かれた一冊です。

そして大復活。2017年にマガジンハウスが漫画化し、さらに小説化。サイズを変え、新しいカバーをデザインし新装刊しました。これが当たって、今を生きる子供、親、祖父母、三世代消費を促しました。漫画版・小説版合わせて累計発行部数267万部、2018年の一番売れた本となりました。

時代が変わって「令和」、コロナ禍2年目の今年、再びヒットの予兆があります。この5月12日には、マガジンハウスの雑誌anan(アンアン・2021/5/19号 )にて、再び「君たちはどう生きるか2021」というテーマで特集企画が組まれています。

何度も甦る「君たちはどう生きるか」のリニューアルはパッケージ化が特長です。この場合の「パッケージ」には2つの意味があります。ひとつは誰もがイメージする「外装」。シンプルに、本のサイズ、カバーデザインを変え新装刊によるリニューアルで成功しました。

もう一つは「ソフトウエア」としてのパッケージです。ソフトとして「漫画」というカタチでパッケージ化されました。さらに今、映画が製作されています。2023年公開予定でスタジオジブリの宮崎駿監督が7年ぶりに『君たちはどう生きるか』を映画化すると発表されています。

吉野源三郎氏の企画=歴史的名著は、パッケージのリニューアルだけで何度も何度でも大復活し、ヒットを生み出しています。このように、ネーミングだけ、パッケージだけで大復活する商品やサービスがあります。5年7年と一向に注目されない埋没商品も、ネーミングとパッケージのリニューアルで飛ぶように売れるようになるのです。

ただし1点だけ、大切なことを忘れなければ、の話です。商品サービスに「核心」があるかどうか。「核心」です。「核」ではありません。広辞苑では、核心とは「物事の中心となっている大切な所」と説いています。「心」が入っているかいないかで、言葉の意味が大きく変わってきます。その商品には「心」がありますか? 「核」だけになっていませんか? 受け手であるわたしたち生活者、人間そのものに、人の心に訴えてくる強い哲学・思い・メッセージが考えられていますか? 「核心」とは、最強の「コンセプト」に他なりません。

吉野氏が企画した「君たち・・・」の核心。それは、「いついかなる時代環境におかれても、自分の生き方を決めるのは、自分だけ」という、本質的なメッセージです。背景には、中国大陸で盧溝橋事件、ヨーロッパではドイツにヒトラー、イタリアにはムッソリーニが登場。第二次世界大戦前夜の頃です。吉野氏は次代を担う子供たちにとって「希望」となるよう、この本を書いたのです。一冊に希望を託したのです。そして、この最強のコンセプトがあるから、時代を超えて愛されているのです。

21世紀は「人新世(じんしんせい、ひとしんせい、英: Anthropocene)」と定義されています。ノーベル化学賞受賞者のドイツ人化学者パウル・クルッツェンによって考案された「人類の時代」という意味の新しい時代区分です。

人類が地球の生態系や気候に大きな影響を及ぼすようになった時代だと示唆しています。わたしたちの欲望に基づく「生産」と「消費」が地球環境を壊している、ということが明らかになって、現在のエコやサステナトレンドにつながっています。

厳しい言い方をすれば、「核心」がない商品はゴミ同然です。地球に循環しないものであれば害悪ですらあります。自社都合のコンセプトは地球とお客様を痛めつけるだけです。いい商品とか悪い商品があるのではなく、あるのはいい社長と悪い社長です。

わたしたち大衆はバカではありません。商品サービスのいい悪いを実はよく知っています。コロナ禍、ますます「わたしにとって大切」な商品サービスを欲しています。本質的な商品やサービスを欲しています。

生活者は、間違えたり失敗したくないと思っています。だからあなたとあなたの会社を観察し、検索し、検証しています。どんな考え方をし、どんな行動をし、どんな姿勢、態度であるかを知ろうと、検索し続けています。

最強のコンセプトは、時代を超えてゆきます。核心のある商品サービスは、ネーミングだけ、外装だけのリニューアルでも、新しい商品サービスとして生まれ変わります。強く深く生活者の心をつかんでゆきます。自社の商品は「商品コンセプト」だけで、自信をもって売ることができますか?

YES!  胸を張ったその先にビジネスを飛躍させる新たなパラダイムが待っているのです。

 

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