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経営者とメンタルのアップダウン

SPECIAL

環境戦略コンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

環境戦略アドバイザー。数々の多国間環境条約や、国連が提唱する2030年のための持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)を参照しながら、サーキュラーエコノミーなど企業として取るべき環境戦略や、環境対策を通じた長期収益構造の改善などをアドバイスしている。

先ごろテニスの大坂なおみ選手が自身のうつ病を公開して話題になりましたが、立場や経歴に関わらず、人間であれば誰もがメンタル面のアップダウンと付き合わなくてはいけない宿命を持っています。経営者と言えどもそれは例外ではなく、どれだけ事業が好調でも、あるいは不調でも、メンタル的に良い時は良く、そうでないときはそうでなくなるものです。

ところがビジネスの展開はそんな要素にお構いなく、次から次へと待ったなしの意思決定を迫ってきます。そしてその意思決定が他者へ直接影響を及ぼす。今決めなければいけないのか?なぜ今なんだ?という思いを感じつつも、経営者がモノを決めないことには世の中が動きません。とはいえメンタル的に乗れない状態でモノを決めることには大きなリスクが伴います。やっぱりああすればよかった、今からでもなかったことにできないかな、どうしてあんなことを決めたんだ・・、後悔はメンタルが下がっていればいるほど大きく響きます。 

経営者でない普通の人も、メンタルのアップダウンと付き合わなくてはいけない点は経営者と変わりません。でも周りから見ていると、普通の人は上手く自分のメンタルと付き合っている人が多いように見えますね。実はそこには大きな違いがあり、タイミング的に逃げ場が少ない経営者に比べて、負荷やダメージを上手くコントロールするためのバッファ、あるいは逃げ場を持っているという例が少なくないのです。

必ず話を聞いてくれる奥さんや友達だったり、ペットあるいは趣味、神社やお寺、あるいは星占いだったりと、人によって逃げ場は違いますが、メンタルのアップダウンを上手く軟着陸させるための仕組みを、意図するとせざるに関わらず持っている、それを上手く使うことでメンタルと上手く付き合っている、ということなのです。

もちろん経営者も人間として特別というわけではないため、同様の仕組みを持っている人が多いのですが、「タイミング的に逃げ場が少ない」「他者への影響が大きい」という違いを吸収できるとは限らない中、厳しい事案ではオーバーフローしてしまうことがあり、そのダメージが意外に後を引くのです。

生産管理における設備保全の手法のひとつに「分解組み立て」があります。見かけ上は不具合なく正しく稼働している機器を、それでも分解して組み立て直す。そうすることで見えない傷を発見したり、微妙なズレや遊びを調整できる。何よりモノの仕組みを目で確かめることで、どういう理屈で機器が作動し、どういうふうに工程が進むのかを改めて理解することができる。一言で言えば納得度が上がるというわけですが、ここでご提案したいのはそれをメンタルマネジメントにも当てはめてみるということです。

逃げ場のオーバーフローがダメージの原因だとすれば、原因を取り除く、すなわちオーバーフローしないように逃げ場を強化したり、多元化するなどの方策を取ります。他者への影響については事前に想定できるものが多いことから、予防線を張る、あるいは緩和のための仕組みを設けるなどの対策を講じることができるでしょう。

メンタルマネジメントのために、ということを意識して、ぜひ一度逃げ場の分解組み立てと、影響緩和のための仕組み作りについて考えてみてください。奥さんとメンタルマネジメントについて話してみる。いつもの神社に「これはメンタルマネジメントにおける重要な逃げ場なんだ」と意識しつつお参りする。ペットと話すときに心の中で「お前のおかげでメンタルマネジメントが上手く行っている」と呼びかけるなど。多元化できればそれだけ備えを厚くすることができます。

影響緩和の仕組みについては、社内に信頼できるパートナーを置くのが常道です。副社長など経営の補佐役、あるいは右腕役がその任に当たる場合が多いと思います。この場合も意識的に「メンタルマネジメント上の配慮として」影響緩和への取り組みを期待する、ことを明示的に伝えるのが良いでしょう。

経営者と言えども一人の人間です。メンタルヘルスの問題が喫緊の課題であることを認識して取り組んでみてください。自らのメンタルヘルスにしっかり向き合おうとする経営者を、当社はいつも全力で応援しています。

 

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