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COP26と総選挙の距離

SPECIAL

環境戦略コンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

環境戦略アドバイザー。数々の多国間環境条約や、国連が提唱する2030年のための持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)を参照しながら、サーキュラーエコノミーなど企業として取るべき環境戦略や、環境対策を通じた長期収益構造の改善などをアドバイスしている。

いよいよ総選挙が今月末に迫ってきました。同時にニュースでは、来週末からCOP26がイギリスで開催されることも報じられています。それなのに、総選挙の候補者がCOP26や気候変動対策を論じる場面をあまり目にしたことがありません。論じられるのは、なんだか時期を逸した感もあるコロナ対策と経済ばかり。日本経済にかつてないほどの自己変革を求める気候変動対策が選挙の焦点にならないのは、与野党のどちらが勝ったとしても「やらなければいけない」、つまり争点にはなりえないほどの強い合意があるから、なのでしょうか?

残念ながら、そんな合意があると言う話は寡聞にして聞いたことがありません。他方で日本では気候変動を真正面から否定する声もほとんど聞かれなくなりました。かつて京都議定書の時代には「気候変動はまやかしだ!」などという威勢の良い声も聞かれたものですが、流石に世界中の科学者が「疑いようがない」とまで言う中にあって、堂々と反論する勢力は雲散霧消したようです。

諸外国のそれと比べて日本の政治システムが面白いと思うのは、たとえ課題が明快であったとしても、当たり前のようにやるべきことの合意を明示することはない、という点です。気候変動対策が好例だと思うのですが、キャッチコピーになったのは菅総理の「カーボンニュートラル2050」くらいで、そもそも「やる」ことの意思決定がスローガン化したり、政治的な論点と化すことはありませんでした。

欧州では「EUグリーンディール」という政策文書があり、そこには経済の発展と環境保護を両立させるための取り組み(デカップリング)や、それを推し進めるための財政的な取り組み(サステナブルファイナンス)との関係がしっかりと明示化されています。

この違いは経営者にとってどのような差になるのでしょうか?方向性が明確な分だけビジネスマンにとっては欧州の方がやりやすく見えるかもしれません。他方で日本のビジネスにとっては政治に指図されずに済むというフリーハンドが、捉えようによっては利点と見えなくもないのだろうと思っています。

世界が直面する喫緊の課題と、そこに目が行かない政治。その距離を埋めるものがあるとしたらそれは経営者の覚悟と才覚なのではないか。私は常々そう申し上げてきました。技術開発、市場対策、合従連衡、そして人材育成までも。勝つための戦略として気候変動を考える。これらを経営者の裁量で最大限工夫できる余地があるというのは意外と悪くない話かもしれません。政策のフリーハンドを最大限活用することこそ、チャンスの女神を捕まえることにつながるからです。

勘の良い経営者はすでに動き出しています。COP26と総選挙の間に距離があるのなら、そこにチャンスを見出すことに、経営者なら全力を注いでください。チャンスの女神の前髪を掴もうとする会社を、当社は全力で応援しています。

 

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