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人を育てて儲けたいなら(2)リカレント教育の勧め

SPECIAL

環境戦略コンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

環境戦略アドバイザー。数々の多国間環境条約や、国連が提唱する2030年のための持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)を参照しながら、サーキュラーエコノミーなど企業として取るべき環境戦略や、環境対策を通じた長期収益構造の改善などをアドバイスしている。

前回は、産学連携を通じて新卒採用者に対する教育機会を提供することで人材確保と技術力向上を図る、という戦略についてお伝えしました。技術的なコア人材の確保と育成に向けた具体策、と言えるお話でした。

今回は、コア人材だけでなく社員全員が学び続けることで競争力を強化する、という方法をお伝えします。新たな競争力の獲得につながる投資には新技術の導入を伴うことが多いわけですが、そこには必ず人の問題が付いて回ります。

新しい機械をどう使えば良いのか、どう管理してどう整備するのが最善なのか。いわゆるノウハウの部分はメーカーが教えてくれたりマニュアルを読んだりすることで対応できるのですが、実はここで重要なのが「なぜそうするのか」をしっかりと理解できるかどうか、だということが意外に知られていないのです。

この部分があやふやだと、「なぜそうするのか?それはマニュアルに書いてあるから」という理解に止まり、その重要性をしっかり理解することなく仕事を進めることになります。中和工程の後で必ずpHをチェックするのは、万一中和剤の効果が十分でないと製品の品質に悪影響が出て、お客様を危険に晒すことにもなりかねないから、ということになります。つまり中和工程とは酸性とアルカリ性のバランスであることを理科の知識として分かってさえいれば、「なぜそうするか」は自明のことに当たります。しかしながら。

酸とアルカリは小学校から中学校の知識なので、問題になることは多くないかもしれません。でもこれが化学式であらわされる化学反応に関する問題だとどうでしょう?データのバラツキを見る分散や標準偏差は?いずれも中学校から高校にかけて習う知識ですが、ゆとり教育や文系理系の違いもあって、必ずしも広く世の中に認識されている知識だとは言えないのが現状なのです。

基本的な知識を持たずにマニュアル通りの操作しかできないようでは、何かあったときの応用が利かないばかりか、次に続く人を育てることもままならないはずです。なぜそうするのか?化学的に安定化させることで、環境への悪影響を予防できるから。標準偏差で見れば平均値ではわからないばらつき具合が把握できるから、ということになります。

中学や高校の知識と紐付けて説明することで、後輩への説明も納得感が高まります。いざ不具合が起きたときに「おそらく反応が不十分だからもう一度同じ工程を通さなくてはならない、そうしないと環境への悪影響が懸念される」と判断できるか、または「マニュアル通りに一回工程を通したからOKのはず」と言う判断で留まるかは、まさにこの部分にかかってくるのです。

では一体何を学べばよいのか?中学・高校の教科書はあまりに幅が広く、大学教授に相談するにはあまりに基礎的な話で相談すらためらわれることと思います。そんな時に頼りになるのが高等専門学校(高専)なのです。全国各地に配置された高専は、工業系の学科を中心として15歳~20歳の学生を相手に実践的な知識を提供する学校なので、企業が導入する新技術についても基礎となる分野の知識をわかりやすく解説してくれる先生方が揃っているのです。

企業との接点役になってくれるのが、多くの高専が持っている「技術振興会」と言う組織で、ここには企業の相談に乗ってくれるコーディネーターが配置されていて、さまざまな相談に対応してくれることになっています。

単発の相談でも良いのですが、せっかく高専との関係を構築されるなら、ぜひ社員向けの生涯教育(リカレント教育)の仕組みを作ってみては如何でしょう。技術の伝承や改善に必要なプロセスの可視化やデータの分析など、どのように行えばよいかという指導は高専が最も得意とする部分です。そしてそういう知識は現場の社員こそが実は最も欲している部分だったりするのです。

いまさら聞けない基礎中の基礎をしっかり提供することで、技術を人に教えやすくなる、ツボや勘所をしっかり押さえたメリハリのある仕事ができるようになる、改善提案も自信を持って出せるようになるなど、リカレント教育に期待できるメリットは意外と大きいのです。

ウチの会社でも高専との協力によるリカレント教育について検討してみたい、そう思われた経営者の方はぜひ当社info@officenishida.bizまでご連絡ください。高専との連携について当社はいつでもご相談に乗ります。

 

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