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ブームで終わらせない「アップサイクル」の本質戦略

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

「コザキ先生、今年、やってみたいことの一つはアップサイクル商品の開発です。地元の企業から出る廃材を活用してみたいと思っています。が、何から手をつけていいのか、なかなか難しいですね」と話すのは、製造業のK社長です。

アップサイクルとは、廃棄品、使い古しのアイテムを魅力的な商品に再生し、生き返らせることです。わたくしどもが提唱している商品リニューアルの発想そのものです。2021年12月にリリースされオレンジページの調査で、3人に1人が「アップサイクル」を認知、アップサイクルに興味のある人が65.3%とのこと。「身近な商品で試してみたい」という前向きなデータが出ています。

冒頭のK社長がアップサイクルに興味を持つようになったのが、若手社員が廃材を活用したバッグや洋服を愛用していることを知ったのがきっかけです。「コザキ先生、お恥ずかしい話、リサイクルとか興味がなかったんですよ。貧乏くさいっていうイメージしかなかったんで。そしたら、若い社員が、社長、それ違いますよって言うじゃないですか」とK社長。社員に、今は「アップサイクルの方がおしゃれなんです」と言われ驚いた、と。

以来K社長は、「アップサイクル製品」が気になって、奥様のK夫人に「アップサイクルって、知ってる?」と聞いてみたのです。K夫人は趣味人で、最近はキルト製作に夢中です。夫人は、K社長の問いかけに、目を輝かせて「もちろん!」と応え、自室から自分の作品を持ってきました。

何とK夫人が持ってきたのは「アップサイクルキルト作品」。わが子のために手作りした幼稚園バックのハギレなど、使い古しの生地で作っているキルト作品だったのです。夫人はK社長に差し出して、アップサイクルについて滔々と説明し始めたということです。夫人の話を聴きながら「これ、いけるかも! 」と確信しはじめ、冒頭のご相談に至りました。

今、資本力のある大手企業を中心に「廃材」や「使い古しの商品」を活用した商品リニューアルが急増しています。世界的に見ても、循環をコンセプトとにした新しい経済思想、「ドーナツ経済」や「サーキュラーエコノミー」が提唱され、注目されています。今後ますます、おしゃれでデザイン性の高い「アップサイクル製品」が当たり前になってゆくでしょう。

また日本では、DNAとして「RE」の精神=いきかえらせる思想、が無意識のなかに根付いています。例えば、江戸時代はリサイクル社会であることは周知の事実です。太古から森羅万象に神が宿っていると考えられ、物を大切にする文化があります。現代であっても、その根っこには「使い捨て」は「勿体無い」ことだ、という考え方が宿っています。

とはいえ、廃棄物や使い古したアイテムを商品として昇華させるためには、社長のひらめき、「発想」だけでは、お客様の幸せや喜びにはつながりません。商品化にあたっては、注意が必要です。多くの中小企業経営者がまちがってしまうのが、自身の「ひらめき」「発想」から、最短距離で商品サービスを創ってしまうことです。確かに商品サービスは発想がなければ、生まれることはありません。ですが、一番たいせつなことは「仕組み」です。ていねいに表現すれば「考え方の仕組み化」が必要なのです。一っ飛びの商品化は大火傷になります。

K社長には、気持ちを落ち着けていただき、階段を一段ずつあがっていくような、プロセスを作らなければなりません。お客様が「それ」を手に取ったときの“嬉しそうな表情”から逆算した仕組み、工程をプロセス化することが最も重要なのです。でなければ、一発屋で終わってしまいます。一発屋こそ、「勿体無い」ことであり、そのアクションによって今まで構築してきた企業イメージを一気に下げてしまいます。

K社長の目のつけ所は、悪くないしまちがってはいません。むしろK社にとっての伸びシロです。いよいよ情報革命が実務レベルで動き出し、産業構造が変わり、経済が変わり、人々の意識革命が生じているのが、今という時代です。人口も変化し、これからの5年、10年くらいは「正解のわからない」時代です。K社長のように「発想のタネ」を、ひとつふたつ、三つ四つと次々蒔くことが求められています。

ゆえに「仕組み」です。たくさんの発想を、商品に昇華させるために思想の「商品リニューアル工場」が必要不可欠です。思想の商品リニューアル工場とは、「考え方の循環」をプロセス化することです。

つまり、自社は何によって憶えられたいのか、自社の使命と存在意義、情熱。その情熱やミッションを「行動」にかえるのが商品サービスです。商品化。世界の潮流、トレンドとの親和、自社ブランドの確立、伝える技術、伝え方の技法、販路。人とのつながり、人があつまる場づくり、バーチャルな空間づくり、ファンとのつながり。ファンが楽しむための「応援エンタメ」の創造、ファン同士のつながりづくりなど、ひとつ一つが独立しているのではなく、すべてがつながっています。つながりの中で、お金というエネルギーが循環し、お客様の笑顔が循環しています。以上のように、「考え方のつながり」をつくることなのです。

アップサイクル製品は、今は「トレンド」的な位置付けです。が、世界の流れをみても、「そうせざるを得ない」状況になってゆき、意識革命の足音が聞こえています。トレンド的発想をきっかけに、自社の本質、土台や基盤をつくりかえることをしておかなくてはなりません。それは、人員配置や設備をいじることではありません。経営者の「心の革命」が必要です。社長ご自身の考え方が問われているのです。

K社長、いっしょに考え、次の100年の土台を構築していきましょう。新しい経済の中で活躍できるK社を目指して、本質的な商品リニューアルの思想を自社の言葉で考えてみましょう。そして永続的に社会に求められる商品サービスづくりの「仕組み」を根づかせ、新しい時代を生き抜くために事業のモデルチェンジを成していきましょう!

 

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