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ペリーは急には来航しない

SPECIAL

成長支援部づくりコンサルタント

ヒーズ株式会社

代表取締役 

会社の大元となる「総務」を革新すれば、すべての事業部に影響を与え、顧客志向になり、驚くほど業績が伸びる。経営者が着手すべき、「成長支援部づくり」を指導。

問題の先送りは組織崩壊の兆し

作家井沢元彦さんの「逆転の日本史」シリーズ。

文庫本が出るたびに毎回買っているのですが、18巻の時代は幕末。黒船来航に関する話が中心です。本の中でたびたび出てくるフレーズが「幕府の対応は、稚拙にして愚劣」です。

ペリーの黒船来航については、「泰平の眠りを覚ます上喜撰 たった四杯で夜も眠れず」という狂歌に象徴されるように、我々は突然ペリーが黒船でやってきて日本を開国させたように思っています。

しかし、井沢さんは1853年のペリー来航の前に、1837年:アメリカ商船モリソン号の来航、1844年:オランダ国王の開国勧告、1846年:アメリカ遣日使節ビッドル艦隊の来航と、いろいろと手を打てる機会があったにも関わらず、幕府は問題を先送りし、有効な対応策を打たなかったことでその後の交渉で極めて不利益な立場に立たされたことを解説されています。

つまり、交渉を有利に進められるチャンスがいくつもあったのに、本来なら当然やるべきことをやらなかったがゆえに、不平等条約を結ばざるを得なかったので、「幕府の対応は、稚拙にして愚劣」という訳です。

さて、詳しい経緯は本を読んでいただくとして、問題が起こる予兆を見逃し、問題点を先送りすることで、結果的に大きな問題を引き起こすということは、会社経営においてもよくあります。

主力商品の売上が減少傾向にあるが、全体の売上はなんとか維持できている、資料請求の件数はあまり変わらないのに個別相談に申込む人が今月は少ない、客単価は上がっているが、来店客数は減っているなど、日々発生している事象をちゃんと捉えていると、問題の予兆が潜んでいることがあります。

以前ある加工業のメーカーさんでは、売上が伸びていたので、安心していたところ、よくよく調べてみると、加工する材料の価格が上がっていたので、売上高の数字自体は伸びていたことが分かりました。一方で、ライバル会社の攻勢もあり、売上高のベースとなる取引件数は減っていたことが判明し、早速しかるべき対応策を立てることになったのです。

この事例で言えば、増収増益の数字が出てもけっして安心できないということです。そして、問題への対応が後手後手になるというのは組織として崩壊する兆しが出ていることの反映です。

徳川幕府の「稚拙にして愚劣」な対応でもすぐに政権が崩壊しなかったのは、まだ時代が江戸時代だったからです。現代のスピード社会においては、「稚拙にして愚劣」な対応を続けている会社があれば、1年を待たずに倒産してしまう可能性が大です。

予兆が出ているのに、問題を先送りしていないか、月に一度は必ず点検しましょう。

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