透明資産経営|なぜ、成功した会社ほど衰退に向かうのか?
こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
ーかつての成功が、いつの間にか足かせになる
苦労の末に成功をつかんだ会社には、誇るべき歴史があります。ヒット商品を生み出し、独自のやり方を確立し、業界で確かな地位を築いた。その成功体験は、会社にとってかけがえのない財産です。ところが、その輝かしい成功が、時を経て、思わぬ落とし穴になることがあります。「このやり方で成功してきた」という自信が、いつしか「このやり方こそが正しい」という思い込みに変わる。市場が変わり、お客様が変わっているのに、過去に通用したやり方を変えられない。新しい提案には「うちのやり方はこうだ」と耳を貸さない。
気づけば、かつて成長を支えたやり方が、今は成長を妨げる足かせになっている。成功した会社ほど、その成功にしがみつき、変化に乗り遅れ、静かに衰退に向かう。──これは、歴史ある会社が陥りやすい、最も気づきにくい罠です。なぜ、成功した会社ほど衰退に向かうのか。それは、成功が、組織の中に「変わらなくていい」という油断の空気を生むからです。
ー成功は「正しさの証明」ではなく「ある時代の答え」にすぎない
ここに、決定的な勘違いがあります。多くの経営者が、過去の成功を「自分たちのやり方が正しい証明」だと受け取ってしまうことです。しかし、過去の成功は、あくまで「その時代の、その市場の、そのお客様に対して、たまたま通用した答え」にすぎません。時代が変われば、お客様の求めるものも、競合の動きも、すべて変わります。かつての成功が、今も通用する保証はどこにもないのです。
それにもかかわらず、成功体験は強烈な記憶として組織に刻まれ、「あのやり方で勝てた」という自信が、変化を拒む理由になります。皮肉なことに、大きく成功した会社ほど、この囚われは強くなる。失うものが多いほど、変化を恐れ、過去のやり方を守ろうとするからです。つまり、成功は、それを「ある時代の答え」として手放せる会社にとっては財産になり、「永遠の正解」と思い込む会社にとっては足かせになります。同じ成功体験が、向き合い方ひとつで、未来を開く力にも、未来を閉ざす重しにもなるのです。成功を疑える謙虚さこそ、次の成功を生む土台となります。
ー成功が連れてくる「3つの油断」
成功は、組織の空気にどんな油断を生むのか。三つお伝えします。
1つ目の油断は、「お客様の変化を見なくなる」ことです。成功している間は、お客様が支持してくれているように見えます。だから、お客様の小さな不満や、ニーズの変化に、目を向けなくなる。「うちの商品は支持されている」という思い込みが、お客様の心が離れ始めているサインを見えなくします。気づいたときには、お客様はとっくに別の選択肢へ移っています。
2つ目の油断は、「新しい挑戦をしなくなる」ことです。成功したやり方があると、それを守ることが最優先になります。新しい試みは、成功を崩すリスクとして退けられる。「今のままでうまくいっているのに、なぜ変えるのか」という空気が、挑戦の芽を摘みます。挑戦をやめた組織は、変化する時代に取り残されていきます。
3つ目の油断は、「異論を受けつけなくなる」ことです。成功した会社では、過去のやり方に異を唱える声が、煙たがられます。「成功を知らない若手が、何を言うか」と。こうして、変化を促す貴重な声が封じられ、組織は過去の成功の中に閉じこもります。異論が消えた組織は、自らを更新する力を失うのです。
ー変化し続けるのは「言葉」と「評価」の空気
透明資産経営では、空気を「言葉」「関係性」「評価」「行動」「場」という五つの構造から設計します。成功の罠から抜け出す鍵は、言葉の構造と評価の構造にあります。「このやり方で成功した」という言葉が、組織を縛っていないか。過去のやり方に挑む新しい試みが、評価され、後押しされる空気があるか。成功の罠とは、過去の成功を讃える言葉が支配し、変化への挑戦が評価されなくなった状態です。成功を疑い、変化を歓迎する空気を整えてはじめて、組織は過去の栄光から自由になり、次の成功へと進めるのです。
ー成功を讃えつつ、成功を疑う
では、経営者は何を変えればいいのか。過去の成功を否定することではありません。成功を誇りながらも、それに囚われない空気をつくることです。まず、過去の成功への感謝は持ちつつ、「これが永遠の正解ではない」と自ら口にする。次に、お客様や市場の変化に、常に目を向け続ける。「お客様は今、何を求めているか」を問い直す習慣を持つ。そして、過去のやり方に挑む新しい試みや、異なる意見を、歓迎し、評価する。──成功を讃えつつ、同時に成功を疑う。その健全な緊張感が、組織を変化に開かれた状態に保ちます。
ー成功を手放せる会社が、次も成功する
最後に、経営者にお伝えしたいことがあります。次の成功をつかむのは、過去の成功にしがみつく会社ではなく、それを「ある時代の答え」として手放せる、謙虚な会社だということです。今日、自社を振り返ってみてください。「このやり方で成功してきた」という思いが、変化を拒む理由になっていないでしょうか。お客様の変化を、見落としていないでしょうか。成功を讃えつつ、それに囚われず、変わり続ける空気をつくる。それが、栄光を次の成長へとつなげる、最も確実で、最も静かな一手なのです。
ー勝田耕司
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。


