孔子が教えるリーダーの9つの心構え

今日は私の子どもたちにリーダーの話しをしよう。
第5話
【リーダーの9つの心構え】
私は12、3年前から、あることがきっかけで中国古典四書と云われる『大学』『論語』『孟子』『中庸』を何度も読み続けた。そのなかで大変多くのことを改めて学ばせてもらった。
もっと早くに読んでおけばよかったのにと思ったが、人生遅きに失することはないと自分に言い聞かせてきたものだ。その『論語』のなかで「君子の九思」というのがある。君子のあるべき姿を孔子が説いている。
今日は、リーダーのあるべき姿として九思を紹介しておく。
- リーダーは人や物事を見るとき、先入観や評判に惑わされることなく、本来の素の人物や物事を見るように努める。
- リーダーは人の話しを聞くとき、己の私心や先入観に捉われることなく、賢く聞き分ける。
- リーダーは苦虫を噛み潰したような仏頂面をせず、常に穏やかで笑みを絶やさぬようにする。
- リーダーは偉ぶることなく、いつも謙虚で恭しくあれ。
- リーダーは自分の言葉の重みを自覚、上滑りするような軽い言葉を慎み、心から誠実に話すよう努める。
- リーダーは事を成そうとするとき、過つことなく執り行えるよう慎重かつ果敢に取り組む。
- リーダーは分からないことがあれば、知ったかぶりをせず誰にでも聞くようにする。
- リーダーは怒りに任せ、後先考えず軽はずみな行動をしてはならない。
- リーダーは目先の利益に目を奪われることなく、それを得ることが正しいか、間違いかを慎重に判断する。
私はこの九思を初めて読んだ時、二千年以上前に語られた言葉とは到底思えなかった。まるで現代の経営者に向けて語られているように感じたからだ。
時代は変わる。技術も変わる。ビジネスモデルも変わる。だが、人の本質は二千年前も今も大して変わらないのだろう。だからこそ、古典は色褪せない。
若い頃の私は、経営とは知識と戦略で勝負するものだと思っていた。もちろん、それも大切だ。だが、長く経営をしていると分かってくる。最後に組織を支えるのは、人間力だということを。
どれほど優れた戦略を掲げても、人が離れれば会社は成り立たない。逆に、多少不器用でも、人が支えてくれる経営者は簡単には潰れない。その違いは何か。
私は「人として信頼されるかどうか」だと思っている。九思には、その本質が詰まっている。
たとえば、三番目の「穏やかで笑みを絶やさぬようにする」という教え。これは単なる愛想笑いの話ではない。経営者の表情ひとつで、組織の空気は大きく変わるということだ。
社長がいつも不機嫌なら、社員は顔色を窺うようになる。意見を言わなくなる。挑戦しなくなる。逆に、トップが穏やかであれば、組織に安心感が生まれる。安心感がある組織には、知恵も活気も生まれる。
また、七番目の「知らないことは誰にでも聞く」。これも大事なことだ。人は立場が上がるほど、知らないと言えなくなる。だが、本当に危険なのは、知らないことではない。知らないのに知ったふりをすることだ。
私自身、若い頃は随分と見栄を張ったものだ。経営者なのだから、何でも知っていなければならないと思っていた。しかし、ある時気づいた。 出来る経営者ほど、よく聞く。
社員の話しを聞く。お客様の声を聞く。若い人の意見を聞く。時には自分より年下の者にも頭を下げて教えを請う。それが出来る人ほど成長していく。逆に、自分は何でも知っていると思った瞬間から、人は成長を止める。
そして、九番目の「利益に目を奪われぬこと」。私はこれが特に重要だと思っている。経営をしていると、利益を優先したくなる場面が必ず出てくる。数字に追われればなおさらだ。
だが、その利益は本当に正しいのか。誰かを不幸にしていないか。社会に恥じることはないか。そこを見失ってはならない。目先の利益を優先して信用を失えば、最後にはもっと大きなものを失うことになる。
結局のところ、会社経営とは「どう生きるか」の延長なのだと思う。顧客を騙して儲けるのか。お客様を大切にしながら利益を出すのか。社会に必要とされる会社を目指すのか。それらはすべて、経営者自身の人間性に繋がっている。
齢70を迎え私は思う。人は年齢を重ねるだけでは成長しない。学び続け、反省し続け、己を律し続けて、ようやく少しだけ人として成熟していくのだろう。だから私も、未だに学びの途中だ。
孔子ほどの人物ですら、生涯学び続けたという。ならば凡人の私など、なおさら学びを止めてはならない。
君たちも、もし将来リーダーになるなら、知識や技術だけを追い求めるのではなく、人としてどうあるべきかを常に考えてほしい。
リーダーとは、人の上に立つ者ではない。人から見られる存在だ。その姿勢、生き方、言葉、振る舞い、そのすべてが周囲に影響を与える。だからこそ、まず己を磨く。孔子が教えるのは、結局そこなのだと思う。
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