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孔子が教えるリーダーの9つの心構え

SPECIAL

親子経営コンサルタント

ビジネス・イノベーション・サービス株式会社

代表取締役 

オーナー社長と後継者のための、「親子経営」を指導するコンサルタント。みずから100億円企業を築くも、同族企業ならではの難しさや舵取りの大変さで苦しんだ実体験を指導。親から子へ失敗しない経営継承の極意として「親子経営」を伝授する。

孔子が教えるリーダーの9つの心構え

今日は私の子どもたちにリーダーの話しをしよう。
第5話

【リーダーの9つの心構え】

 私は12、3年前から、あることがきっかけで中国古典四書と云われる『大学』『論語』『孟子』『中庸』を何度も読み続けた。そのなかで大変多くのことを改めて学ばせてもらった。

もっと早くに読んでおけばよかったのにと思ったが、人生遅きに失することはないと自分に言い聞かせてきたものだ。その『論語』のなかで「君子の九思」というのがある。君子のあるべき姿を孔子が説いている。

今日は、リーダーのあるべき姿として九思を紹介しておく。

  1. リーダーは人や物事を見るとき、先入観や評判に惑わされることなく、本来の素の人物や物事を見るように努める。
  2. リーダーは人の話しを聞くとき、己の私心や先入観に捉われることなく、賢く聞き分ける。
  3. リーダーは苦虫を噛み潰したような仏頂面をせず、常に穏やかで笑みを絶やさぬようにする。
  4. リーダーは偉ぶることなく、いつも謙虚で恭しくあれ。
  5. リーダーは自分の言葉の重みを自覚、上滑りするような軽い言葉を慎み、心から誠実に話すよう努める。
  6. リーダーは事を成そうとするとき、過つことなく執り行えるよう慎重かつ果敢に取り組む。
  7. リーダーは分からないことがあれば、知ったかぶりをせず誰にでも聞くようにする。
  8. リーダーは怒りに任せ、後先考えず軽はずみな行動をしてはならない。
  9. リーダーは目先の利益に目を奪われることなく、それを得ることが正しいか、間違いかを慎重に判断する。

私はこの九思を初めて読んだ時、二千年以上前に語られた言葉とは到底思えなかった。まるで現代の経営者に向けて語られているように感じたからだ。

時代は変わる。技術も変わる。ビジネスモデルも変わる。だが、人の本質は二千年前も今も大して変わらないのだろう。だからこそ、古典は色褪せない。

若い頃の私は、経営とは知識と戦略で勝負するものだと思っていた。もちろん、それも大切だ。だが、長く経営をしていると分かってくる。最後に組織を支えるのは、人間力だということを。

どれほど優れた戦略を掲げても、人が離れれば会社は成り立たない。逆に、多少不器用でも、人が支えてくれる経営者は簡単には潰れない。その違いは何か。

私は「人として信頼されるかどうか」だと思っている。九思には、その本質が詰まっている。

たとえば、三番目の「穏やかで笑みを絶やさぬようにする」という教え。これは単なる愛想笑いの話ではない。経営者の表情ひとつで、組織の空気は大きく変わるということだ。

社長がいつも不機嫌なら、社員は顔色を窺うようになる。意見を言わなくなる。挑戦しなくなる。逆に、トップが穏やかであれば、組織に安心感が生まれる。安心感がある組織には、知恵も活気も生まれる。

また、七番目の「知らないことは誰にでも聞く」。これも大事なことだ。人は立場が上がるほど、知らないと言えなくなる。だが、本当に危険なのは、知らないことではない。知らないのに知ったふりをすることだ。

私自身、若い頃は随分と見栄を張ったものだ。経営者なのだから、何でも知っていなければならないと思っていた。しかし、ある時気づいた。 出来る経営者ほど、よく聞く。

社員の話しを聞く。お客様の声を聞く。若い人の意見を聞く。時には自分より年下の者にも頭を下げて教えを請う。それが出来る人ほど成長していく。逆に、自分は何でも知っていると思った瞬間から、人は成長を止める。

そして、九番目の「利益に目を奪われぬこと」。私はこれが特に重要だと思っている。経営をしていると、利益を優先したくなる場面が必ず出てくる。数字に追われればなおさらだ。

だが、その利益は本当に正しいのか。誰かを不幸にしていないか。社会に恥じることはないか。そこを見失ってはならない。目先の利益を優先して信用を失えば、最後にはもっと大きなものを失うことになる。

結局のところ、会社経営とは「どう生きるか」の延長なのだと思う。顧客を騙して儲けるのか。お客様を大切にしながら利益を出すのか。社会に必要とされる会社を目指すのか。それらはすべて、経営者自身の人間性に繋がっている。

齢70を迎え私は思う。人は年齢を重ねるだけでは成長しない。学び続け、反省し続け、己を律し続けて、ようやく少しだけ人として成熟していくのだろう。だから私も、未だに学びの途中だ。

孔子ほどの人物ですら、生涯学び続けたという。ならば凡人の私など、なおさら学びを止めてはならない。

君たちも、もし将来リーダーになるなら、知識や技術だけを追い求めるのではなく、人としてどうあるべきかを常に考えてほしい。

リーダーとは、人の上に立つ者ではない。人から見られる存在だ。その姿勢、生き方、言葉、振る舞い、そのすべてが周囲に影響を与える。だからこそ、まず己を磨く。孔子が教えるのは、結局そこなのだと思う。

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