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売上イコール?と言われたら(1)

SPECIAL

オルタナティブ経営コンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

カーボンニュートラル、SDGs、サステナビリティ、サーキュラーエコノミー、社会的インパクト評価などへの対応を通じた現状打破と成長のための対案の構築と実践(オルタナティブ経営)を指導する。主な実績は、増客、技術開発、人財獲得、海外展開に関する戦略の構築と実現など。

経営者にとって、「売上」は一年365日、片時もアタマから離れることのない数字です。昨対比、前年同月比、先月比、その他あれこれ切り刻まれた数字が常に行ったり来たり。経営者である以上、むしろその状態こそが正常だと言えます。では、「売上イコール、と言われたら何と答えますか?」と聞かれたら、皆さんはどう答えますか?

お勉強的に言えば正解はたくさんありまして、もちろん「利益プラスコスト」でも、「入金額マイナス手数料」でも良いわけですが、ここはやはり「客数×客単価」という、いわば王道の方程式を連想していただきたいところです(むろん、業態によって異なりますので、これだけが正解だと言うわけではありません)。

しかし王道というからには、ある程度多くの経営者がこの方程式を第一に考えている、つまり多数の経営者にとって、売上とは客数と客単価の掛け算であるという点は押さえておきたいと思います。この方程式から、売り上げに関する経営者のお悩みは、突き詰めて言えば「客数」と「客単価」の両方またはいずれか一方に関わっているということがわかります。

少子高齢化の進む日本においては、高齢者市場や少子化対策市場だと客数が増えることもあるのかもしれませんが、ここしばらくの間、一般的な市場のサイズはどこも縮小しつつあります。田舎の不動産市場も、都会の生鮮市場も、スポーツカー市場もゴルフ市場も、皆軒並み小さくなり続けているわけです。

これに対して、客単価のほうは必ずしも下がってばかりとは言えなくなりました。最近のインフレが及ぼす影響で、多くの市場では相場が上がっているのです。

このような変化に経営者がどう対応すべきかを最大公約数的に考えてみましょう。まず、客単価についてはインフレに歩調を合わせることで「値上げ」ができそうな気配が漂います。本当にそうかどうか、は検証してみないとわかりませんが、すでに多くの事業者が値上げに踏み切っているという事実は動かしがたいものがあります。

もしも運よく値上げができたなら良いとして、残念ながら少なくない例では思った通りの値上げができない、逆に値下げ圧力を受けるところすらあるのが現実ではないでしょうか。

では、客数のほうはどうでしょう?こちらは営業努力でカバーできる部分も少なくありません。ですので、多くの経営者が営業強化に舵を切るのです。でもちょっと待ってください、市場は小さくなっているのに、そこで営業強化戦略を取ったとしても、必ずしも上手く行く保証はないのでは?

そう思われたあなたはとても健全です。その通り、市場は縮んでいます。だとすると客は奪い合いになるはずで、そうなると決まって先方から出て来るのが「値下げ圧力」だったりしますよね。

でもここで、縮小する市場にあっても客を増やせる方法があるとしたらどうでしょう。そんな方法があるのか?はい、あるところにはあるんです。

古くから日本では「ウチと取引するならあそことは縁を切ってね」というような、垂直統合的な縛りが幅を利かせて来ました。自動車メーカーの「ケイレツ」に代表されるこの商業文化はいたるところに存在しています。たとえどんなに良いものを売っていても、系列のお客様に買っていただくことしかできなかった、と言う事例があれば、そこに一つのチャンスがあるのです。

これまでのお客様から文句を言われずに、堂々とその競合へ売りに行ける。いわば系列破壊を実現するためには一つ大きな課題があります。それは、「お客様も競合も、納得するだけの価値」を御社が提供できるかどうか、という課題です。

たとえば典型的なライバル会社と思われていた花王とライオンが、洗剤パッケージのパウチを巡る資源循環について共同開発を行っている事例があります。EVを巡るインフラ開発について自動車メーカー同士が連携を組むと言う事例もこれに近いものと言えます。

いずれも「社会善」を強く打ち出せるフィールドでの話なのですが、この点をクリアすれば、そこに広がるマーケットはケイレツ知らず、縮小知らずの新たな成長機会なんだと言うことがお分かりいただけるのではないかと思います。

もうお分かりかと思いますが、売上イコール客数×客単価、だったらぜひ客数を上げましょう、そのためのキーワードは「社会善」なんですよ、と言うことに尽きるのです。もう少し詳しい説明は次回に譲ることとして、今日のところは「社会善」の意外な使い道をお知らせしました。

 

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