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IT化プロジェクトはベンダー任せにするな

鈴木純二
SPECIAL

顧客接点強化による成長型IT導入コンサルタント

ベルケンシステムズ株式会社

代表取締役 

顧客接点の強化を軸に、業績に直結するIT導入を指導するスペシャリスト。世に無駄なIT投資が横行するのと一線を画し、顧客の利便性向上、新規取引先、深耕開拓、利用促進…などを主眼に置いた、実益のIT活用と投資戦略を、各会社ごとに組み立てることで定評。

鈴木純二

先日お客様と話しをしている時に、「システム導入プロジェクトがスタートしているのに、どうしてそれを客である私たちが手間をかけなければならないのですか?」と質問を受けました。おっしゃる通り、プロジェクトの管理者はITベンダー側にいますし、その人が開発チームを率いて導入までの道筋を立てています。体制も作り、日程も立て、定例会も運営しているので、客である導入社から見れば「あとは任せておけばよいではないか」と思ってしまうことはよくわかります。しかし、それは大きな誤解なのです。

これはIT業界全体に言えることではないと信じていますが、実はプロジェクト管理者が立てている日程の中には、顧客側のタスクが入っていないことが非常に多いのです。想像してみていただきたいですが、システムを導入するには要件の整理が必要です。当然業務を説明する導入社側もその準備をしないといけませんので、「では業務手順を説明してください」と唐突に依頼されても対応不能です。ところが大体の場合、要件定義の会議の席上、どうしても今はそろえられない資料が必要だったり、ほかの担当者を連れてこないと説明できないことが発生するのです。これがタイムリーにできないと、プロジェクト全体の日程に影響します。

また、プロジェクト管理者によっては、導入者側の評価・確認日程を見込んでいないことが多くあります。考慮してあったとしても、1週間など現実的には確認しきれない期間しか読み込んでいない場合も多く、実際にその段階になって初めて導入者側から「無理!」という悲鳴があがることになります。これもプロジェクト全体日程の遅延や予算増に直結してしまいます。

私はそのような経験ばかりしていますので、

プロジェクト管理はITベンダー任せではいけない

導入者側もプロジェクト管理者を置き、タスクの整理や日程管理、そしてITベンダー側の進捗も把握するべき

と主張しています。

さらに、ITベンダーのプロジェクト管理者の中には、こんな人も混ざっています。「タスクとタスクの前後関係の考慮があまい」人です。

極端な例で説明すると、ソフトウェアでもなんでも「設計」は「作る」の前に終わらなければなりません。IT化の場合には導入者側の「設計確認」が必要になるので、「設計」、「設計確認」、「確認して変更されたものの修正」、「再度設計確認」、「作る」という順番にならざるを得ないのです。ところが、プロジェクト管理者の中には「設計」、「作る」というタスクしか考慮していない人が少なからず混ざっているのです。これでは導入者側の意見が全く反映できず、無理に意見を反映させようとすると、日程遅延や予算超過を引き起こしてしまいます。

そのようなこともあって、今回の標題の「IT化プロジェクトはベンダー任せにするな」という結論に至るわけです。当然管理者の中にはかなり熟練している人もいるので、そのような人がプロジェクト管理者になってくれたことが確認できた場合にはある程度任せることは可能です。しかし、その善し悪しは結局のところ「導入プロジェクト作業が全部無事に終わったときにしかわからない」ものなので、失敗をさけるためには石橋をたたいて渡る必要があるのです。

この記事がITベンダーの方の目にとまると怒られてしまいますが、すくなくとも私が出会ったプロジェクト管理者のうち、理想的に管理できるスキルと思慮を持っていた人はごく一握りだったことは事実です。「ベンダーを決定したから後は任せればよい」と判断するのは間違いの入り口です。是非お気をつけください。

 

 

 

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