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採用した人が次々と辞めていく。人が定着しない会社の特徴とは?

SPECIAL

年商10億事業構築コンサルタント

株式会社ワイズサービス・コンサルティング

代表取締役 

指導暦18年、これまでに200社以上の実務コンサルティング実績を持つ経営コンサルタント。「10億円事業構築」に強みを持ち、直近5年では、導入後数年で年商数億が10億越えをした企業は20社以上と驚くべき成果を出している。

この日は、クライアントM社長との会食です。
カウンターと2つのテーブルという店内では、大将とおかみさん、そして、大学生らしいアルバイトがきびきびと動いています。

M社は、システム業を展開しており、業績は順調に伸びております。
少し酔いも回ってきたころ、泣き顔をつくりM社長は最近の一番の問題を話し始めました。
「先生、3カ月前に採用した社員が辞めると言ってきました。うちは若い人が定着しない会社なのです。何が悪いのでしょうか?」

私は、少し間を置き答えました。
「それは愛ですね。少し愛が足りていないようですね。」
その言葉を聞いて、おかみさんも頬笑みます。


役を演じることが大切です。

我々は、一人の人間の中に、複数の役を持っています。
その時々に応じ、その役を使い分けています。

社員の前では社長という役を、取引先の前ではパートナー企業の代表という役をしています。また、母親の前では息子の役を、子供の前では親の役を、そして、旧友の前では過去と同じように悪ふざけをします。

我々の人生では、その時々にその役を新たに獲得する必要があります。
何かの役を獲得するために動くことを「勉強」といい、獲得できた時のことを「成長」といいます。

私は、社会に出たとき、立派な土木施工管理者が務まるように勉強をしました。
専門知識やスキルを獲得することで、成果の出せるコンサルタントとして成長することができました。役を獲得した結果、今があるのです。

その場その時に、その「役」としての立ち回りができない人のことを「未熟者」と呼びます。
見込客を前にして、雑談から商談にスムーズに移行できません。
経営者のパーティーに参加しても、自分から名刺交換に行くことができません。

我々は、いくつもの役を獲得し、使い分けることが必要なのです。
たまに「どれが本当の自分か分からない」と悩んでいる人がいます。それを悩む必要はありません。どれもが自分であり、どれもが必要な自分なのです。


会社では、それぞれがその役をしっかり担うことで、組織が運営されることになります。
部長、課長、主任、営業担当、製作担当、経理担当など、その役には名前が付けられます。

それは役職、役割と呼ばれ、それぞれの会社において「理想」がつくられることになります。
どのようなことをする人なのか、どのような態度や行動をするべきなのか、その姿が定義されるのです。

そして、それをしっかりできているかどうかを評価します。その結果を面談でフィードバックします。期待が持てる社員には、一つ上の役の理想を獲得するための研修を提供します。要件を満たした者を昇格させます。

会社におけるその役の理想をしっかり言葉で定義し、共有することが必要です。
社員や管理者は、そのイメージを持っていません。また、経験から自社とは異なるイメージを持っていることもあります。それが自然に一致することは無いのです。
その状態を放っておけば、社員や管理者が理想に近づくことは非常に遅い歩みになります。

世の企業の「管理者が機能しない」という問題の原因の一つは、ここにあります。
その管理者に就いた社員は、「管理者とは何をする人」かが解っていないのです。
冗談みたいな話ですが、これが真実です。

〇〇とは何をする人か。〇〇の業務は何か。〇〇の取るべき行動や態度はどうあるべきか。その役に就く人に、これらをしっかり伝えることがスタートなのです。

冒頭のM社でも、ここに問題がありました。
新入社員を迎え入れる部署の上司や先輩と、理想を共有できていなかったのです。
新入社員を戦力化するために何をしてほしいのか。また、教える時の態度はどうあるべきか、彼らにそれを伝えていませんでした。

そのため、彼らは「素」で新入社員にあたることになりました。
それは、不安な心を持った新入社員にとっては、非常に「冷たい」ものに感じられたことでしょう。

新入社員が辞める理由はこれしかありません。
「面倒見が悪い」です。
社員が定着しない会社や部署では、面倒見が悪いのです。
入社数カ月での退職の理由はこれしかないのです。

学生時代の部活動を思い出してみてください。
そこでの人間関係がよければ、その部は非常に楽しいのです。
もし、その関係が悪ければ、どんなに好きなスポーツでも、楽しくはないのです。

彼らは、M社に入社してすぐに気づきました。職場は暗く、殺伐とした雰囲気があります。自分が歓迎されていると感じることはできません。休憩時間に雑談は殆どなく、自分への気遣いの言葉もありません。
入社してすぐに会社を移りたいとは思いません。しかし、この状況が続くと思うと絶望しかありません。この過程を経て、彼らは辞めるという決断に至ったのです。

これが、採用した社員が次々辞める会社で起きている現象です。
「その部署、その上司の面倒見が悪い」のが原因です。この現象が起きた時には、その部署、その上司が「素」になっていると考えられます。
(社員が2、3年の育ったころに辞めていく現象の原因は、「この会社を見切った」ことにあります。)

新入社員を迎える部署と上司、先輩社員にはっきり伝える必要があります。
「役を演じてくれ」と。

面倒見がよい管理者や上司、先輩社員はどうあるべきか、を伝えるのです。
〇〇の作業から教えてほしい、毎日朝10分はミーティングしてほしい、イライラしない、面倒臭そうにしない、など、それを伝えるのです。それを伝えれば、彼らは「そういうものか」とその通りにやってくれます。意識できるようになるのです。

彼らも、新入社員を辞めさせたいと思っているわけではありません。それどころか、新入社員が数カ月で辞めていって、一番傷ついているのは彼らなのです。

彼らは、どんな役を演じればよいのか解らないのです。それどころか「役を演じる」という概念さえ持っていないのです。
だから「素」でやってしまっているのです。
それは、昔、自分が上司からされた扱いかもしれません。または、自分の親との関係かもしれません。部活動で先輩からされた仕打ちかもしれません。
彼らは、それしか持っていないのです。
その結果として、彼らの新入社員に対する態度は、「冷たい」ものになっていたのです。

M社の状況を聴き、私は「少し愛が足りていないようですね」という表現で答えました。
しかし、愛は十分あるのです。足りないのは、表現の仕方なのです。

さすがのM社長です。
すでに、仕組化の脳ができています。
「先生、トレーナーマニュアルをつくってみます。」
年商10億の社長の役を獲得しつつあります。

このM社長の返しに、カウンターの向こうのおかみさんが小さく「なるほど!」という表情をします。

役を知ることです。
そして、実際に演じてみることです。
すると、それも「本当の自分」に成っていきます。

社長も次の役を獲得するために勉強する、社員も次の役を獲得するために勉強する、そんな会社を作りましょう。

 

 

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