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業務システムの導入における「お試し」の重要性とは?

鈴木純二
SPECIAL

顧客接点強化による成長型IT導入コンサルタント

ベルケンシステムズ株式会社

代表取締役 

顧客接点の強化を軸に、業績に直結するIT導入を指導するスペシャリスト。世に無駄なIT投資が横行するのと一線を画し、顧客の利便性向上、新規取引先、深耕開拓、利用促進…などを主眼に置いた、実益のIT活用と投資戦略を、各会社ごとに組み立てることで定評。

鈴木純二

自社の業務システムを、パッケージソフトウェアにするかカスタムで開発してもらうか、について迷われるケースが多いと思います。会社によって、もしくは考え方によってどちらを選ぶかは決まってくる訳ですが、そのどちらにも必要なことが今回のテーマの「お試し」です。そのお試しについての必要性の質問を受けましたので、簡単にご説明します。

本コラムでは幾度となく言及していますが、業務システムを導入する場合、どんなソフトウェアを選ぶか考える前に、まずは現在の業務プロセスの可視化が必須です。これ無くして業務システム導入が成功することは無い、と言っても過言ありません。なぜなら、「どんなシステムでも完全自動ということはあり得ず、社員とソフトウェアの協働作業となるから」です。

この協働作業がぎくしゃくする様では作業効率も上がりませんし、そもそもうまく動くはずもありません。どの部分をソフトウェアが実行し、どの部分を人間が手作業もしくは考えたり社内で協議したりするのかを明確化しなければ、どんな素晴らしいソフトウェアを導入しても使い切れるものではないのです。

さて、業務の可視化ができ、今後の業務はどのようなプロセスが良いのか方針や考え方・要求機能概要が確定でき、それに最適なソフトウェアを選定できたところまで進んだとしましょう。その際にどうしても考えなければならないのが「お試し」です。

ソフトウェアの選定が終わっている段階ですから、当然「このシステムが完成したら自社の業務はこのような姿に変革する。その効果も予測できる。」という状態のはずです。ところが、実際に導入したとき「うん。確かに要求した機能は搭載されている。でもどうも使い勝手が悪いなぁ。なぜこんなに画面を渡り歩かないといけないのだろうか?」といったことが発生し得るからです。

これは、自動車を選ぶときの試乗に似ています。カタログや止まっている実車を見ると、その仕様や性能・機能は頭では理解できます。しかし、実際に乗ってみると「どうもしっくりこない」といったことが起こり得ます。「少し加速が鈍いなぁ」とか「後方視界が少し良くないなぁ」、「第一どうも乗っていて疲れてくるなぁ」といった言語化できない不満や疑問が顕在化するはずです。私も過去に試乗無しで契約してしまったことがありますが、納車された後に少なからず後悔しました。通常長期に渡って乗り続ける自動車ですから、「相棒」のように相性が良くなければなりません。しかしどうも相棒にはなってくれない。

こんなことが業務ソフトウェアと担当社員との間で発生してしまうと、それこそ当初ねらっていた効果が出なかったり、最悪の場合使えない、といったことが発生し得るのです。当社のお客様の中にも、過去のシステム導入で同じ失敗を経験されている会社も一つや二つではなく、かなりの数です。

それは具体的には・・・

新規の取引を始めるとき、顧客マスター登録をしてから見積り作成機能に行くが、顧客マスターを全部登録しないと見積りできない

新規のお客様の情報を最初から全部把握するのは手間がかかるから使いたくない

とか

入力項目が大幅に増えてしまった。カットアンドペーストが簡単にできる表計算ソフトの方が便利だった。

といった、漠然とした不満が原因となって、徐々に使われなくなってしまったのです。

「機能はきちんと揃っているのに使い勝手が悪い」といった導入後のトラブルを未然に防ぐため、「お試し」は必須の作業なのです。パッケージソフトであれば、そもそも完成品が存在しているので導入プロジェクトの初期段階で「お試し」ができます。カスタムで開発する場合には、お試しができるまでの期間が長く、その段階に至ると既に予算をある程度使ってしまっていることになりますので、「お試し」はしにくいものですが、例えば模型の様なお試し画面を作ってもらうことは可能です。お試しの為に経費がかかる可能性はありますが、お試しなしに本番導入してしまうのはリスクが大きすぎますから、カスタム開発の見積りを依頼する段階でソフト開発会社に事前に依頼しておくべきです。

お試しをすることによって、システム導入のリスクを大幅に小さくすることができる。これを実践していただくことで、導入プロジェクトの成功率が上がるものなのです。

 

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