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今までのやり方が通用しない時の対応策

SPECIAL

「信託」活用コンサルタント

株式会社日本トラストコンサルティング

代表取締役 

オーナー社長を対象に、「信託」を活用した事業承継や財産保全、さまざまな金融的打ち手を指南する専門家。経営的な意向と社長個人の意向をくみ取り、信託ならではの手法を駆使して安心と安全の体制をさずけてくれる…と定評。

「みなさん、やっているつもりになっていませんか?」第一声から明るく、強烈なパンチを頂戴しました。

 

1.「つもり」になっていませんか

環境が激変する昨今、何かを変える必要に迫られている人は少なくありません。これまでとは違う環境に対応すべく自分なりに頑張っているけど、実は「課題に対応しているつもり」になってしまっている、ということはよくあります。

先日、ジャパネットたかたの元社長である髙田明氏の話を聞く機会がありました。冒頭の言葉から始まり、テレビショッピング同様の話しぶりで、一気に引き込まれます。

「私がやったことは一つです。現状を受け入れて、今を一所懸命に生きる。これだけです。」

「人間は未来に不安になる生き物。今ある現状は必ず良くなると信じてください。」

「今を一所懸命にやっていたら、必ずアイデアは出ます。」

現場で体を張ってきたリーダーの凄さというものを思い知らされました。テレビショッピングで商品が売れないのは、「自分はやっているつもりになっていて、実はお客様に伝わっていなからだ」と、100%自責です。

出来ているつもり、分かっているつもり、知っているつもり、つもり積もっていくうちに「落とし穴」に落ちる、ことは避けたいですね。しかし、自分で自分のことは案外分かっていないものです。

一人で悶々とするより信頼できる人に相談となりますので、名経営者には参謀役、番頭さん、女房役などの信頼できる第三者がいることも頷けます。しかし、現状を認識して頑張っていても、課題解決にいたらないこともあります。

オーナー経営者には経営に関することだけでなく、様々な課題が押し寄せてきます。もし、解決の道筋が見えない課題があるとすればどうすれば良いのでしょうか。

 

2.課題には2つのタイプがある

課題となるのが作業やツールの導入のレベルであれば解決は簡単です。しかし、社長が走り回っても解決するのが難しい問題もあります。これまでのやり方では解決しない問題があるときにどうすれば良いのでしょうか。

ご存じの方も多いと思いますが、課題には「技術的課題」と「適応課題」があります(R・ハイフェッツ )。

「技術的課題」とは知識・技術・ノウハウなどの既存の解決策で対応できる課題です。例えば、「チーム内の情報共有の促進のためチャットを利用する」などですね。

「適応課題」とは既存の解決策では対応ができない課題です。例えば、「社内のノウハウの共有化を進めようとしたが、組織の壁があって進まない」などです。

適応課題は組織(人と人との関係性)に関わる問題が一般的です。お互いが自分を正しいと信じるが故に起こる摩擦や問題をどう捌いていくか難しいところです。経営の中でもオーナー社長が腕力でエイッと解決できることが出来れば良いのですが、言いたいことが伝わらないですし、人はなかなか変わらないものですよね。

適応課題に対応するためにはコミュニケーションが大切なのはいうまでもありません。ではこのコミュニケーションの問題をどのように解決れば良いのでしょうか。

 

3.世界観を語る

適応課題に対応する方法としてナラティブアプローチという手法があります。ナラティブとは「語り」と訳されることもありますが、ここでの意味合いは「その語りを生み出す解釈や世界観」(宇田川元一)をいいます。

人との関係性において適応課題に直面した時に、「対話」を通じて自分のナラティブと相手のナラティブを理解したうえで、新たな関係性を構築していくことで、課題の解決を図るのがナラティブアプローチです。

例えば、同族企業(ファミリービジネス)は、経営、家族、株主という3つのサブシステムから構成されます。3つのサブシステムを構成するのは「人」に他なりません。このため、所有と経営が分離した上場会社などよりマネジメントの難易度は高いはずです。

3つのサブシステムが相互に影響を与えるファミリービジネスでマネジメントが最も難しいのが家族だと思います。家族という組織には共通の目的というものが基本的にありません。

会社という利潤の獲得を目的とする組織であれば、ナラティブが違っていても向かう方向性は同じです。しかし、家族同士が異なるナラティブを持っているとまとめるのが容易ではありません。この問題は相続や事業承継のタイミングで浮上します。

かつては家制度、家督相続というモデルが家の中にありました。しかし、現行の民法では家族という規定はなく、婚姻、親子という枠組みになっています。扶養義務のある兄弟姉妹の間でも、均等相続の下では相続財産をめぐって対立すら起きるのが現実です。

オーナー経営者の求心力が高いうちは家族の中には何事もないように見えます。しかし、その求心力を失った瞬間に崩壊するファミリービジネスは少なくありません。家族、経営、株主に加え、ビジネスに関係する人々全員を牽引するような「世界観」が求められています。

 

【まとめ】

困難な時代であることは間違いありません。きっと新しい世界観(ナラティブ)が必要なのです。それは、分かりやすいサクセスストーリーではないかもしれません。

日本という国は世界一の長寿国であり、同時に世界一の長寿企業大国です。エルメス、シャネル、ルイヴィトンといった欧米のファミリービジネスの歴史は200年に満たないのに対して、200年以上の社歴がある会社は1000社を超えます。

このまま現状どおりでは難しい時代ですが、我が国や社会、家族、会社に眠る知恵を再度確認して、新たな世界観(ナラティブ)を掲げて、今を一所懸命に生きることが求められていると感じています。

これから100年続く企業を目指して、新たな世界観を語っていきませんか?

 

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