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社員の能力をつぶす会社の仕組み

SPECIAL

工場の自動化経営コンサルタント

株式会社さくらブルー

代表取締役 

 社長不在でも社員だけで現場が回る仕組み構築により、社員だけで利益を出す「工場経営の自動化」のノウハウを提供する、経営コンサルタント兼2代目工場経営者。工場経営の傍ら、がんばる中小工場経営者向けに、経営コンサルタントとして工場経営の指導を行う。「工場経営の自動化」により、現場は社員に任せ、次のビジネス展開に専念する経営者を多数輩出。

7月に入ったばかりだというのに、季節はいつの間にか真夏のようになってしまいました。
話は、世間では桜の開花時期の話題をはじめ、春を感じさせるニュースが多かった時期にさかのぼります。今となっては思い出せない心地よい春の陽気と同時に、この季節は花粉症で大変だっていう話題も多くなっています。

そういう私は、今年が花粉症デビュー。
鼻水はあまりないのですが、目が乾く感じに加えて、かゆくて仕方ありません。

花粉症による生産効率の低下で、何億円もの経済損失があるという試算も出ていましたが、たしかに、パソコンに向かい目を擦りながらのキーボード操作は、全くはかどりません。一旦目を擦って息を止め、その間に猛スピードで入力する、の繰り返しをしています。
さすがにこれでは仕事にならないと思い、人生初と言ってもいい、眼科に行ったときのことです。

違和感を感じさせる仕組み

近くには選べるほどたくさんの眼科があるわけではありませんが、そのいくつかの病院のホームページを見たり、SNSでの発信を確認するなどして、眼科を決めました。

都会のカフェのようにまずはカウンターでの注文からなのか、先に席につき店員さんに注文するのか、テーブルの上にあるタブレットからなのか食券なのかなど、仕組みのよくわからないところに入るのはいくつになってもドキドキします。

病院では、3密を防ぐためか、コロナ以降スマホから予約するところが増えてはきましたが、通常、玄関入ってすぐ受付があり、「診察お願いします」と言えば、だいたい間違いがありません。
ところがこの病院、入ってすぐ待合室。受付がありません。座って待っていようかと思いましたが受付をしなければ呼んでももらえないと思い、恐る恐る奥の方を見ると受付がふたつあります。
どちらに声を掛ければいいのかわかりませんでしたが、意を決して、左側の受付に向かいました。
決め手は勘です。
後でわかったのですが、どうやら左は通常の診察、右側がコンタクトレンズ専用の受付のようでした。

業務が行われる環境と業務の品質

受付の話はまだこれからです。
勇気を振り絞って、院歴の長そうな受付の女性に声を掛けました。
「初めてなんですけど、診察お願いします・・・」
とマイナンバーカードを差し出しながらお願いすると、返ってきたのは、
「まずはこれを読んでください。それでも良ければこの紙に名前をお願いします。」
一語一句あっている自信はありませんが、この文字のようにとても丁寧な対応には感じられません。

そして、渡されたのはくたびれたクリアファイルに入った、いつ印刷したのかわからないようなA4のコピー用紙。何が書いてあるのかの説明をまったくすることもなく、「それでも良ければ」という言葉。その出されたものを読むまでもなく、私には都合の悪いことを言われていて、それでもいいんならどうぞ、という空気が一瞬にして作られました。

目がかゆいのはすっかり忘れていましたが、せっかくここまで来たのですから、出されたA4用紙を読んでみました。

概要は、「この時期とても患者さんが多いので、少なくとも1時間以上は待たなければならない。医師もすべてに対応できないかもしれないので、周辺の眼科医院を紹介する」、というものでした。

たしかに待合室は座れない人でいっぱいです。柱にもたれかかって待つ人もいます。
私はただ目がかゆくて来ているだけです。目薬もらって帰ればいいやとしか思っていませんでしたので、大きな病気が潜んでいるかもしれないのでしっかり検査、診察してくださいと望んでいるわけでもありません。

結局、時間もないのでドラッグストアで薬を買って帰りました。

少しイライラしながら会社に帰って、目薬を差して落ち着いて考えたとき、気付くと「自分をイライラさせたのはなんだろう?」と考えていました。
・受付のある場所からわからないところから始まっているのか。
・ベテランの受付さんの態度にイラついたのか
・A4コピー用紙の内容に疑問を持ったのか
・結局診察してもらえずに無駄な時間を過ごしたからなのか
あれこれとこれまでの流れを思い出してみましたが、どれ一つとっても決定的な原因にはなりません。建物のせいでもありませんし、受付のおばさんのせいにしても始まりません。

業務の質を決めるのは個人の素質より会社の仕組み

これらの個別の事象は、大きな仕組みの中で起こっています。
この病院の場合だと、「目がかゆいだけで選ばれるかかりつけ的な病院である」ということが社会の仕組みから出来上がってしまっています。
このような外部環境のせいにしていても、これもまた何も始まりません。

与えられた環境の中で、自分の会社をどのような会社にするのか、という理念やビジョンのようなものがあり、それを実行するための仕組みがなければ、何事もすべて個別の案件に受け身で対応する、人任せな状態になってしまいます。

応対の丁寧な受付の方がいればイライラも少しは減ったかもしれませんが、冒頭の方ような人が配属されてしまう仕組みは、これは会社の長が意図せず作っているのです。丁寧な対応をしなさいと教育しても、あまり良いとは言えない、そうせざるを得ないような仕組みがあるのです。

このような仕組みづくりが、社長の一番の大きな仕事です。
結局、原因は自分にあると捉えなければならず、そう考えると私にとってのホントの原因は、自分がこの眼科を選んだことと、そんなことを気にする自分の心の持ちようなのかもしれません。

昔からやっているその作業、はじめて見る新入社員や取引先から見たらとても違和感を持たれているかもしれません。
そして、今起こっている問題、社員個人の問題ではなく、会社の仕組みに原因があるかもしれません。
心当たりはありませんか?

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