空気で動く組織の力──業績を伸ばす「一体感・安心感・挑戦心」の呼吸法

 

空気で動く組織の力──業績を伸ばす「一体感・安心感・挑戦心」の呼吸法

 

こんにちは。企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。

 

「透明資産」とは、業績に影響を与える“空気感”を、偶然に任せるのではなく、経営として意図的に設計・運用する仕組みのことを指します。これを取り入れた経営は、お客様との絆を深め、社員同士の信頼を厚くし、商品・サービスの独自性を高め、持続的な成長をもたらす仕組みです。

 

人の呼吸は、「鼻呼吸」が大切だと、、、という話を先日、ある業界で超一流としてご活躍の方からお聞きしました。「鼻呼吸」の効果は様々なんですよね、、、さて、今日は企業の「呼吸」について書いてみますね。

 

多くの経営者は、数字や戦略、マーケティング、テクノロジーなど目に見える要素に注力します。しかし、それらを動かす“根源的な力”は別に存在します。それこそが、組織全体に流れる空気感です。

 

この空気感は、数字では測れない無形資産でありながら、社員のモチベーションやチームワーク、さらには顧客の体験価値にまで影響します。そして、業績を伸ばす職場の空気をつくるための一体感、安心感、挑戦心という3つの呼吸について解説します。

 

―１、なぜ空気感が業績に直結するのか

 

「空気感で経営が変わる」と聞くと、感覚的な話に思えるかもしれません。しかし、科学的根拠は明確に存在します。脳科学の観点から、人は協力的な関係にあるとき、信頼ホルモンと呼ばれるオキシトシンを分泌します。これが仲間意識や幸福感を高め、チームワークを円滑にします。逆に、不信感や恐怖心が蔓延すると、ストレスホルモンコルチゾールが分泌され、社員のパフォーマンスは下がり、離職リスクも高まります。つまり、空気感は脳内物質に作用し、人の行動をポジティブにもネガティブにも変化させるのです。また心理学の社会的学習理論によれば、人は他者の行動を観察し模倣します。したがって、互いに感謝を伝え合う職場では、その行動が自然に広まり、組織全体の協働が強化されます。こうした“見えない力”こそが業績を動かすのです。

 

―２、織を生き物にする「三つの呼吸」

 

組織をまるで生き物のように成長させるには、空気感の三つの呼吸――「一体感」「安心感」「挑戦心」を意図的に設計することが不可欠です。これらは、企業が力強く呼吸をするための三つの肺とも言える存在です。

 

①一体感の呼吸──「私たちの会社」という実感

 

業績が伸びる職場の共通点は、社員全員が自分はこの組織の一部だと感じる一体感にあります。単なる仲の良さではなく、価値観や目的を共有し、同じ方向を向いている状態です。この一体感を育む最大の要素は、社長自身の“言葉”です。創業の思い、困難を乗り越えた物語、未来への情熱を自らの声で語り続ける。これが社員の「なぜこの会社で働くのか？」という問いへの答えとなります。近年注目されるパーパス経営も同じ考え方です。給与や待遇だけでなく、社会にどんな意味を持つかを知ることが社員の誇りを生みます。その誇りが、部門を超えた協力を自然なものにするのです。あるIT企業では、新製品の発表会で社長が「この製品はお客様の小さな不便を解消するために生まれた」と語り、さらに若手社員がお客様の感謝の声を涙ながらに共有しました。その瞬間、全社員が「自分たちは価値を生み出している」という実感を共有し、一体感が社内を包みました。結果として品質改善や顧客満足度の向上に直結したのです。

 

②安心感の呼吸──心理的安全性が生む挑戦

 

次に必要なのが、社員が失敗を恐れず発言できる「安心感」です。これは心理的安全性と呼ばれる概念に通じます。失敗を個人の責任として追及すると、人は防衛本能から隠蔽に走ります。しかし、失敗を学びの資産と捉えれば状況は変わります。ある製造業の事例では、品質トラブルの際に“犯人探し”をせず、全社員で原因と改善策を話し合う場を設けました。ミスを報告した社員が称賛される文化ができ、問題が早期に解決されるようになったのです。また、経営者が任せる姿勢を示すことも大切です。細かく管理するのではなく、目標だけを示し方法は社員に委ねる。この空気感が自律性を育み、社員が本来持つ力を引き出します。安心感は土壌となり、そこから創造性や改善提案が芽吹いていくのです。

 

③挑戦心の呼吸──未来を切り拓くエネルギー

 

最後に必要なのは、現状維持を打ち破る挑戦心です。社員が「ここで成長したい」と思える空気感があれば、組織は自然と革新を続けます。挑戦心を育むには、社員の個性を尊重することが鍵です。ある企業では、社員が自分の関心に基づいたプロジェクトを自由に提案できる制度を導入しました。趣味の延長から生まれたアイデアが新商品につながり、大きな成果を出した例もあります。この成功体験は周囲の挑戦心も刺激しました。さらに、挑戦を称賛し感謝を伝える文化が重要です。たとえ成果に至らなくても、その勇気を認め感謝を伝える。感謝の言葉は脳にドーパミンを分泌させ、次の挑戦意欲を高めます。感謝が飛び交う職場は、挑戦が連鎖する職場になります。

 

―３、呼吸を整える羅針盤は「社長の在り方」

 

一体感、安心感、挑戦心――この三つの呼吸は独立して存在するのではなく、社長の揺るぎない在り方という羅針盤のもとで一つに統合されます。一体感は「私たちは一つ」という誇りを生み、安心感は「失敗を恐れなくていい」という土壌を育み、挑戦心は「未来を切り拓こう」というエネルギーを与える。この三つが有機的に連動するとき、組織は力強く呼吸し、透明資産経営の真価を発揮します。

 

―４、あなたの会社の“呼吸”は整っているか

 

会社も人と同じように呼吸しています。呼吸が浅ければ組織は停滞し、呼吸が整えば活力が漲ります。あなたの会社の空気感は、今どんな呼吸をしていますか、、、一体感はありますか？安心感は根付いていますか？挑戦心は芽吹いていますか？この三つを意図的に整えることこそが、業績を伸ばす最短距離です。数字の前に空気を整える――これが透明資産経営の核心です。

 

―勝田耕司