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管理者の人選基準の最大の一つ:その部下が育っているか。

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年商10億事業構築コンサルタント

株式会社ワイズサービス・コンサルティング

代表取締役 

指導暦18年、これまでに200社以上の実務コンサルティング実績を持つ経営コンサルタント。「10億円事業構築」に強みを持ち、直近5年では、導入後数年で年商数億が10億越えをした企業は20社以上と驚くべき成果を出している。

この日は、システム開発T社のコンサルティングです。T社長から、「管理者候補の2人について相談したい」とのこと。どうやら、判断に迷いがあるようです。
 
 社長は言いました。
「A君は、仕事はできるのです。ただ、彼の部下が育っていなくて。」
 
 少し間を置き続けました。
「B君は、周りからの信頼は厚いのです。でも、数字がもう一歩なのですよね。」
 
 私はうなずきながら、静かに問いかけました。
「社長、その“仕事”とは何を指しますか?」


人選で見るべきは「実際の仕事」である

管理者や後継者を選ぶとき、見るべきは実際の『仕事』です。
つまり、「どんな成果を上げているか」です。
 
 仕事とは成果です。実際に自分のチーム、自分のポジショニングで成果を出しているかどうかなのです。
 
 どれだけ性格が良くても、どれだけ努力をしていても、成果を出していなければ、それは「仕事」とは呼べません。確かに人間的な要素は大切ですが、それはその「仕事」を行うための一要素に過ぎません。

 

管理者の3つの仕事

 具体的な成果とは以下の三つです
 
 ・目標を達成しているか
与えられた数字・期限・品質を確実に果たしているか。
結果を出すために具体策を考え、提案し、行動しているか。
 
 ・仕組みを改善しているか
この先・今後、問題を起こさせないための仕組みをつくっているか。
再現性と効率を高める取組みを継続的に推進しているか。
 
 ・部下を育てているか
実際に部下が成長しているか。
そして、その部下が成果を出しているか。
 
 この3つです。逆に言えば、この3つができていなければ、それは仕事をしていないのと同じなのです。
 
 どんなに「頑張っている」「良い人」であっても、この仕事をしていなければ、管理者にはなれません。もっと言えば――好かれていなくてもいい。成果を出しているかどうか、それだけです。

 

管理者候補2人の比較

私は、先ほどの「管理者の人選基準」を社長に説明しました。
 
 T社長は2人をこう評しました。
「A君は、自分で頑張ります。残業も多く、責任感が強い。何でも自分でやってしまうのです。」
「B君は、部下からの人気はあります。ただ、感覚で動くタイプで、ロジックが弱い。仕組み発想がないのです。」
  
 私は黙って聞いていました。
やがて社長は、少し考えたあとに静かに言いました。
「そう考えると、どちらも“管理者の仕事”はしていません。」

 

もっとも見てはいけないのは「口」である

「やっています」「改善しています」──その言葉に惑わされてはいけません。また、それらしい説明もダメです。もっとも見てはいけないのは、“口”なのです。
 
 見るべきは、あくまでも成果。その中でも、最も確かな指標は「部下が育っているか」になります。部下が育っていないなら、やっていないのです。チームが育っていないなら、成果を出せていないのです。
今のままでは、到底管理者にあげてはいけないのです。

 

管理者の仕事とは何かを伝える

管理者の仕事とは何か。それを、社長自身が明確に言葉で伝えなければなりません。
「成果を出すこと」「仕組みを整えること」「部下を育てること」──この3つが“管理者の仕事”であると、はっきり伝えるのです。
 
 多くの会社では、これを全く伝えていません。結果、本人も何を期待されているのか分からず、“プレイヤーの延長線”で働き続けてしまう。それから彼らを本当の意味で評価できるのです。

 

提言:仕組みで「管理者の仕事」を伝える方法

ここで、急いで補足しておきます。
このコラムで言う「言葉で伝える」とは、社長が“口”で言うことではありません。あくまで、仕組みで伝わるようにすることです。
 
 業務基準書に、管理者の仕事を明文化する。
人事制度を「目標達成」「仕組み改善」「部下育成」を軸に設計する。
定期面談で、その実施状況を確認し、改善のアドバイスを行う。
 
 こうした仕組みを通じて、会社として「何を管理者に期待しているのか」を明示します。
仕組みがあれば、そこに再現性が生まれます。次の若い人も、同じように管理者の仕事を遂行するようになります。また、それが効率を生み、育成のスピードも早くなります。

 

まとめ:会社全体の管理者イメージを正せ

正しい軸を示し、それを仕組みに落とす。
これが、会社を成長させる第一歩です。
 
 そもそも多くの年商数億円規模の企業では、管理者だけでなく、社長自身も「管理者の仕事」の正しい認識を持っていないのです。
 
 そして、さらに問題なのは――会社全体の認識がずれてしまっていることです。
「管理者とはどんな存在か」というイメージそのものが違っているのです。それを正すためにも上記の仕組みが必要なのです。
 
 いつもの繰り返しになりますが、「管理者を育てるな、管理者が育つ仕組みをつくれ」です。
 
 
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